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Who Knows What Love is?
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思いを振り払うように七瀬は告げた。
「きょ、今日はどうされたんです? 急にここに来たのは」
なんだか声が裏返っていると思ったが、気取られていないことを祈った。
「ああ、雨に降られてしまってねぇ。傘がなくて」
ウォルターの口調は、普段と特に変化はない。
「ここへの道、忘れてたんだけど、運良く逃げ込む先が見つかったといったところだね」
今日はレコードを買った帰りなんだ、とウォルターは中古レコードショップのビニール袋を見せた。旧市街にある店らしい。
「レコードですか」
「うん。CDじゃないんだよ。アナログレコード、またの名をビニール盤。配信サービスも悪くないし、音を聴くだけならそれこそ動画サイトでも充分だけど、どうしようもなく好きな音楽は、やっぱり物理的に所有しておきたくてね。寝子島にいい店があって、定期的にチェックしてるんだ」
今日ねぇ、と言うウォルターの鼻息は荒い。
「ずっと探してたアルバムを見つけたんだよ。とっくの昔に廃盤で、彼らの地元セント・アルバーンズはもちろん、カムデン・タウンでも西新宿でも見たことがなかったのに、この寝子島の中古レコードショップに出てたんだよ。しかもthrowaway prices……ええと、日本語でなんて言うんだっけ? そう、『二束三文』だ。二束三文でだよ! 衝撃のあまり言葉を失ったよ」
日ごろのウォルターにはあまりない熱っぽい口調だ。興奮して日本語が出てこない場面も、七瀬にはこれまで見た記憶がないように思う。
「貴重なものなんですね」
いや、とウォルターは苦笑いした。
「世間的にはあんまりだろうねぇ。二束三文というのも、僕から言わせればの話だし」
「見せてもらっていいですか?」
いいよ、とウォルターは袋からレコードを取り出した。
冬景色の木立をつききる白い道路が描かれたジャケットだ。モノクロームの光景のようだが、赤い花と青い鳥にだけ色がついている。名画ではないかもしれないが、寂しさとノスタルジアが共存するような不思議な印象のイラストだった。どんなバンドのどんな音楽なのかは想像がつかない。
「ヴァインランズのセカンドアルバム、といっても知らないのが普通だねぇ。マイナーなまま終わったから。このアルバムを最後に解散しちゃうし。でも、僕の音楽嗜好に決定的な影響を与えた作品さ。CDでだけど、パブリック・スクールのころ夢中で聴いたもんだよ」
音楽好き、ウォルターの知られざる側面を知ったような気がする。
「どんな音楽です?」
「音楽性はなんというかな、サイケデリックだけどメランコリックって感じで、今で言うとNu gaze(ニュー・ゲイズ)になるのかな。だけどすごくポップなんだよ……あ、ごめん、僕、意味不明な言葉ばかり使ってる? ようは、『なんとも表現しようがないけど素敵な音楽』ってことで」
本当に好きなのだろう。ウォルターの口調はまるでティーンエイジャーだ。ほんの一瞬ではあるが、七瀬はウォルターが倍ほども年齢のちがう大人ではなく、同年代の友達のような気がした。
「伝わったかどうかはわかりませんが、先生をそんなに熱心にさせる音楽ってことだけは理解できました」
「ありがとう。はは、大人げないね」ウォルターは頭をかく。「青春時代の血が騒いだというか、我を忘れてしまったかも」
「いえ、一生懸命語ってくれる先生、楽しそうで、見ている僕も嬉しいです」
「そうかい?」
「そうです。よかったら一度、聴かせてください。その、ええと、ヴァインランズを」
「喜んで、と言いたいところだけど」
ウォルターはいささか申し訳なさそうにつけくわえた。
「僕のころだってこういうのは時代遅れって言われてたんだ。今の子には退屈かもしれないよ。がっかりはさせたくないなぁ」
がっかりなんてしないです、と七瀬は断じた。
「僕、ウォルター先生のこと、もっと知りたいから」
言ってから七瀬ははっとした。まるでドラマの決め台詞ではないか。それも、ヒロインが恋する相手に肌を許すときのような。
「倉前」
と言ったきり、ウォルターも二の句が継げないでいる。
七瀬は視線を外さなかった。恥ずかしさで顔から火がでそうだが下唇を噛んでこらえる。
嘘や冗談じゃないし、そうだと思われたくもなかったから。
静寂の時間を破ったのは文也だった。くつくつと笑って、
「ああ失敬。なんでもないよ」
首をすくめて手を振った。
普段表情の変わらない七瀬くんが、こんなにあからさまに狼狽するなんてね。
水を差したくはなかったが、つい反応してしまったのだ。
お詫びというわけではないけれど、と心中前置きしてから、文也は新たなカップをふたつテーブルに置いた。
「珈琲どうぞ。サービスだよ」
「ありがとうございます」
文也さん笑わなくたって、という気持ちもなかったわけではないが、それよりも七瀬は、あの刹那に生まれた緊張が、氷解したことに安堵していた。
もしもあのまま、ウォルター先生と見つめ合っていたとしたら――。
「死ぬなら二人で! ねエ、二人で!」
……。
いや、それはないか。
文也がウォルターに話しかけている。
「先生は紅茶のほうがよかったですかね?」
「いえ、珈琲も好きですよ。ごちそうになります」
七瀬は横目でウォルターを見る。
超然とした彼の物腰からは、彼もまた自分と同じく安堵しているのかはうかがえなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
思ひ出語り、恋語り
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
2人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年01月04日
参加申し込みの期限
2023年01月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年01月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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