this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
Who Knows What Love is?
1
2
3
4
5
…
6
つぎへ >>
「だって小生、恋したことないからね」
――衝撃の告白、というのではなかったと思う。
倉前 七瀬
は頭のなかで、
柏村 文也
の言葉を反芻(はんすう)する。
釣り堀に糸を垂れたら魚がかかったとでもいうような、予想の範囲内にとどまっている言葉だ。だけど実際に耳にすれば、やはり驚かずにはいられない言葉でもあった。
「どうぞ」
文也が押し出したカップを礼とともに受け取り、七瀬は窓に視線を流した。
今朝の予報は曇りだった。携帯に表示された雲のアイコンまで覚えている。けれど残念ながら外れたらしい。釣り糸のように細いものが降り、まばらながら勢いを増しつつある。
自分のカップを一口して文也は目を細めた。
「で、どうなったんだい?」
「どうって……うーん……」
「進展なし、かい?」
「いえ」
一度言葉を切って七瀬はカップの持ち手を回す。両手でカップをすくい上げるように持ち、熱い珈琲を口に含んだ。
うんと深くて、苦い。頭の冴える味だった。
ソーサにカップを戻す。
「先生に、好きの気持ちは伝えました」
「それはそれは」
歌うように文也は告げ、カップを大きく傾ける。
「でも、それでどうなったんでしょう、っていう気分です」
「というと?」
「何も変わっていないような気がするんです」
おやまあとでも言いいたげな表情のまま、文也はカップをもう一口した。
「それでよかったような、よくないような」
七瀬のまなざしはカップの内側にそそがれていた。琥珀色の水面に立った小さな波は、もうすっかり凪いでいる。
文也は無言のままカウンターの表面をなぞった。
困らせてしまったかな。悪いこと訊いたのかもしれないね。
でも七瀬くんは、本当に何も変わってないんだろうか?
沈黙が数秒流れた。五十音図の『さ』行だけで表現できそうな、か細い雨音すら聞こえる気がする。人によってはこの静寂を、気まずいものと感じるかもしれない。
しかしまもなく、
「……でも」
「恋って」
ふたりの声が重なった。
「おっと」
「あっ」
どうぞ、と手のひらを見せたのは文也である。
「つづけて。我輩は意味のないつぶやきをしようとしただけだから」
「いいんですか」
「むしろ『頼むよ』と言いたいね」
「僕の個人的な考えですけど」
「個人的? ますます聞きたくなったよ」
軽く咳払いして七瀬は言ったのである。
「恋って、行き着く先は『恋人』か『失恋』のどちらかじゃないんでしょうか」
ほうと応じながら文也は、空になった自分のカップに珈琲を注ぐ。
「僕は先生の恋人になりたいわけではないし、かといって先生に恋人ができたらこの気持ちを失(な)くせるかというと、それもできない」
話しながら七瀬は左右の手をひろげた。左手と右手の距離を狭(せば)めていく。
「だから」
と言ったとき七瀬の左手は右手と合一することなく、すれちがって離れていった。
「僕の気持ちには、行き着く先がないんです」
僕は先生が迷子になったら探しに行く。いつかのように。
七瀬は、想う。
でも、先生は僕がそうなったら探しに来てくれるだろうか――。
「初耳だね」
「行き着く先がないってことがですか?」
「いやいや、恋って行き着く先は恋人か失恋、って定義がさ。そういうものなの?」
七瀬の返答を求めず、待っててと告げ文也は書棚にむかった。鼻歌交じりで棚を物色し、あったあったと戻ってくる。
「困ったときの辞書頼み、ってね」
国語辞典だ。数十年は経た風の古いものである。表紙の箔押し文字は半分以上かすれて消えているし、ページはまるで紅茶で洗ったみたいに変色していた。引き慣れているのだろう、文也はぱらぱらとめくってカウンターに置いた。人差し指で項目を指し示す。
「『恋』、その定義はこの辞書によれば『
異性に強く惹かれて切なく思うこと
』とあるなあ」
「そうですか」
「でもこの定義、拙はそう思わないね。理由、わかるかい?」
七瀬はうなずいた。
「僕も」
かすかに言いよどんだが、つづけた。
「『異性に』、っていうところにひっかかっとーとです」
「だね」
ふふっと文也は笑った。
しかし七瀬の表情は硬い。傾ききった上皿天秤のようににこりともせず言う。
「せめて僕が女の子やったら、こんなに考えることもなかったんでしょうか。ただ好意を無邪気に伝えられたんでしょうか」
文也はこめかみを指先でかいた。
つまらないことを気にするじゃないか。
まあ、つまらないと言い切るのは、自分が恋に関して門外漢だからかもしれないが。
「ごめん。タラレバの話はよくわからないな。でもたぶん、どんな君であっても迷って悩んでると思うよ」
「そう……ですか」
「思うよ。だって、人はそう簡単に変わらないものだから。見た目がちがっていても、君が君であるのなら、やっぱり同じじゃないかな」
人はそう簡単に変わらない――口にして文也は、これは七瀬だけでなく、自分に対しても述べた言葉なのだと気がついた。
文也はもう一冊、今度はずっと新しい辞書を取り出してぱらぱらとめくる。こっちの辞書はケースに収まっていたし、紙もまだまだ真っ白だ。
「見つけた」
完爾(かんじ)として文也は、ページ開いて七瀬に示したのである。
「ごらんよ。さっきと同じ辞書でも最新版における『恋』は、『
特定の人に強く惹かれること
』となってるね。性別を限定していない」
「たしかに」
「ついでに、『切なく思う』って部分もカットされているね。恋イコール切なさ、ってのは短絡的すぎるもんねえ。やっぱり古いな、さっきの辞書は。古諺に『医者と味噌は古いほどいい』というのがあったと思うけど、辞書はねえ」
さて、と文也は丸椅子を引き、カウンターむこうに腰を下ろした。
1
2
3
4
5
…
6
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
Who Knows What Love is?
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
思ひ出語り、恋語り
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
2人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年01月04日
参加申し込みの期限
2023年01月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年01月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!