寝子暦1371年のハッピー・ハッピー・ハロウィン☆デイズ！｜リアクション

寝子暦1371年のハッピー・ハッピー・ハロウィン☆デイズ！

　日曜日の太陽は沈み、永遠につづくと思われた寝子島ハロウィン☆デイズ！　にも幕が下りた。
　謝肉祭は終わっちゃいないよ。
　キャットロードの路地裏、暗い目をして影から這い出す姿があった。
　身に帯びた身分証上は、葉利沢倫理子ということになっている。
　だが彼女はMalice、倫理子の肉体を乗っ取った者である。
　Maliceは鼻を鳴らした。
　古来、大きな合戦があったときは、荒ぶる魂を鎮めきれず女の肉体を求める兵がひきもきらなかったという。結果、敗残の地の住民には大きな災いがふりかかったのである。それが戦争の悲劇性であろう。寝子島の祝祭もいわば戦争とMaliceは考える。大きな感情同士が激突する宴であったのだから。
　当然、訪れるものだって同じだ。少々時代が進もうと、根底にあるものはかわらない。
　Maliceの足は街の暗いほう、饐（す）えた匂いがするほうへと向かっていく。
　この肉体を欲望にくれてやる。戦争終結直後の昂（たか）ぶりのただなかに投げ捨ててやる。男どもの欲望の巣くう場所に！
　もてあそばれている最中に意識を入れ替えて、絶望のどん底に落とし込んでやるよ。
　残酷な愉悦を感じ、Maliceはほくそ笑んだ。
　あの冬の夜のようにね！