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『HALO ~氷解無垢~』
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【にゃんこのおみちびき】
二日目は早朝からの捜索となりました。やはり手分けをして、まだ訪れていない古書店を端から覗いていきます。
ちょっと坂道。背の低いこじんまりとした、多種多様な店舗が並ぶ商店街。その何割かは古本屋さんです。
半ばシャッター街となっているようで、閉まっているお店も少なくありません。幸い、書店の多くは店を開けているようですけれど。
(ここは……閉まってるなぁ)
立派な、けれど少し汚れて剥げた看板を掲げた古書店に降りたシャッターを寂しげに眺めてから、綾花は次のお店を探します。
「……あれっ? クロワ?」
ふと。みゃあと鳴く、見慣れた黒猫の姿を見かけたような気がして、綾花はきょろきょろとあたりを見回しますけれど、
「気のせいかな」
愛猫を見つけることはできず、こくり、首を傾けました。
お店からお店へ。転々と、もくもくと。歩き続けます。そうしているうち、なんだかオアシスを求めて砂漠をさまよう遊牧民にでもなったような気分がして、やけに喉が渇いて、錆がかった自動販売機でペットボトルのお茶を購入しました。
こくこくと飲み下し、ふうとひと息。
「おー綾辻ちゃん。そっちどお? って、聞くまでもねーか」
「はい。今のところはまだ」
「いやはは。こりゃー大変だねえ」
時おり、つるぎと顔を合わせては情報を共有します。といってもほとんどは「あっちの店には無かった」「あそこの店は閉まってた」という後ろ向きな報告で、口にするたび焦燥感ばかりがつのりました。
あと何軒、残っているのだろう。
(次はこっちへ……)
書店を覗いては書棚をひととおり確認し、店員にも尋ねます。多くは親切に、たまのお客であろう綾花へ対応してくれました。台帳をめくり、バックヤードを確かめ、どこかへ電話をかけて尋ねてくれることもありました。
けれど、件の本が出てくることはありません。
HALO。ああ、氷解無垢。いずこにあるのでしょう? そもそも、本当にあるのでしょうか?
次の店へ。
また次の古書店へ。
次へ。次。次。次。
(見つけ……られないのかな)
棒のようになった足を止め、ひとつ息を吐いたひょうしに、ぽろり、涙がこぼれました。
(先生。珪先生)
そもそも、見つけてどうなるのだろう。あの本は先生に、安らぎや幸せをもたらしてくれるのでしょうか。どちらかといえば、イヤな記憶を蘇らせてしまうのでは。見つけるのが、本当に正しいことなのか。もしかしたら、このまま見つからないほうがいいんじゃないだろうか。
そんな思考が綾花の中を、ぐるぐるぐる。巡りはじめます。
(珪先生……どうして、さがしているんですか)
足は重くなり、心は惑います。
(新見 冬さんは……先生にとって、どんなひとだったんですか。珪先生。先生……)
ぽろぽろ。ぽろり。
(私は……)
自分の無力に、彼のなにげない微笑みが、たあいのない日常が、なんだか遠ざかってゆくように思えて。あのあたたかな日々が、幻のように溶けて消えてしまうように思えて。綾花は心の中、必死に呼び止めて、繋ぎ止めようとして。
くじけてしまいそうで。
ふみゃあ、と声がして。
「……えっ」
お昼も過ぎて、そろそろ日が陰りはじめる頃。
気がつくと、黒猫が綾花を見上げていました。
「く、クロワ? どうしてここに」
真っ黒毛並みに特徴的な瞳、しっぽ。見間違えようもありません。猫鳴館の自室で飼っている、ちょっと不思議なにゃんこのクロワです。
みゃあ。ふみい。
「あ。このお店は……」
クロワがちょこんと腰を落としているのは、今日の捜索をはじめてすぐに見かけた、あの本屋さんの軒先です。
先ほどは降りていたシャッターが、今は開いています。扉にかけられた小さな木の看板には達筆で、OPENの文字。
「ここを……探せばいいの?」
綾花に応えるでもなく、クロワは後ろ足で頭をかしかしとやり、毛づくろいを始めました。
扉から漏れ出る、やわらかい電球色の光。かぐわしき古書のかおり。
しゅぱん! 振り向くと、クロワの姿はすでになく。
綾花はしばしぬるい風にそよがれて、手の震えが収まるのを待ってから、扉を押しました。
息を切らして書店へ駆け込んできたつるぎが見た綾花の顔は、喜びと戸惑い、そのどちらにも翻弄されて、なんだか疲れ切って見えたといいます。
「綾辻ちゃん……」
「────っ」
「あったんだね……? 見つけたんだね? 綾辻ちゃんが」
黒猫の導きと直感に従い、足を踏み入れた古書店。バロック調めいた洋装をばっちり着こなす品のよいおばあさんが営む、まるで純喫茶のようなレトロで洒脱なたたずまい。
並びに几帳面さが伝わる書棚を、目を回すようにして探して、探して。隅々まで探して。見つからなくて。
すがるようにおばあさんへ尋ね、親切にも招き入れられたバックヤードでしばし、ぐるぐると瞳をめぐらせて。
にゃあ、とどこから届く、聞き慣れた声。
はっとして顔を上げ、目に飛び込んできたのは、青い背表紙。震える手で書棚から抜き出し、ゆっくりと翻し、見つめてみれば。
陰る灰色雲。その切れ間から降りるまばゆい光芒。鮮やかな青い空。
『HALO ~氷解無垢~』。
新見 冬。
息が止まるかと思いました。締め付けられて。揺れて、膝が笑って、前のめりに倒れてしまいそうで。
「……あはは。泣いちゃったかあ、綾辻ちゃん」
知らずのうち、ぽろぽろと涙粒がこぼれて、かがんだ綾花の膝を濡らします。
「つるぎさんだって……泣いてるじゃないですか」
「あっはは、いやあ、だってさあ。ねえ? ああ、もう!」
照れ隠しか、つるぎは目元を指先でぬぐい、綾花の髪をくしゃくしゃとかきまぜました。
なんだかまだ、あまり実感が湧きませんけれど。珪先生がずっと探してきたという一冊を、綾花はその手で、取り上げたのでした。
「ふゆちゃんの本ね。なつかしいわねえ」
やわらかくしっとりと、寝そべるようになだらかな声をかけたのは、店主のおばあさんです。
綾花の腕の中に収まったその本を、懐かしそうに、目を細めて眺めて言いました。
「あの頃はよくうちへ寄ってくれたっけ。本が大好きでね」
「知ってるんですか? この本の作者さん……」
「ええ、常連のお客さん。といっても、まだ本を書く前のことだけれど。あの子が高校生くらいの頃かしら? ふたりで手を繋いで、よく遊びに来てくれて。私も若い子とのおしゃべりが楽しくってね、お茶をいただきながら、いつまでも本の話をしていたわ」
「……ふたり?」
思わず。口を挟んでしまいました。
とくん、とくんと、にわかに大きくなり始めた鼓動が、綾花を揺らします。
「そう、ふたりで。ふゆちゃんには年の離れたお兄さんがいてねえ、その息子さん……ふゆちゃんには甥っ子ね。とっても仲が良くて」
「ね、ねえおばーちゃん。その甥っ子くんの名前ってさ。もしかしてさあ……」
つるぎも気が急いてか、尋ねます。きっと半ば、答えは分かっていましたけれど。
おばあさんは思い出にとろけるような微笑みを浮かべて、教えてくれました。
「ふゆちゃんに、けいちゃん。ほんとうの姉弟みたいでね、とっても可愛らしかったわ。うふふふ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSS(500)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年12月20日
参加申し込みの期限
2022年12月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年12月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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