グルメな風が、ふわふわほわわ～ん☆｜リアクション

グルメな風が、ふわふわほわわ～ん☆

　甘い甘いお菓子の家。
　どこを見ても、どこにいても、いろんなお菓子が降り注ぐ。
　楽しもう、甘くて美味しいひとときを！

◆
　最初にお菓子の家にたどり着いたのは白真白と芋煮紅美。
　甘い匂いに包まれて、チョコで出来た屋根にクッキーで出来た壁、飴で出来た窓ガラスの家を見つけた。
　にゃー、にゃーと猫型のクッキー達が２人を出迎えてくれたのは言うまでもなく。

「わー、わー！　すごい！　美味しそう！」
「これだけ食べたら口の中が凄いことになりそう……」
「でもこれ、私達みんなだけのお菓子の家だし、分ければ大丈夫かも？」

　紅美の言葉にポジティブな返しをする真白。
　これだけあるなら、みんなで分ければ大丈夫！　とニコニコ笑っていた。

◆
「いただきま～す……！」

　お菓子の家の飾りになっていたシュークリームを手にとって、高梨彩葉はぱくりとかぶりつく。
　口の中に広がるカスタードクリームの甘さと、口から鼻へと通り抜ける香ばしいシューの香りとバニラの甘い匂い。
　かと言って口の中に残るような強烈な甘さではなく、１つ食べ終えればスッと口の中から甘さが消えていく。

「美味しい！　こんなに美味しいシュークリームが世の中にはあるんだね！」

　思わず彩葉はもう１つ手にとって、笑顔のままにシュークリームを食べ進める。
　だって、味を記憶しておきたいと思うほどに美味しいから！

◆
「凄いね、このお菓子の家」
「誰が作ったのかわからないけど……夢みたいだ」

　七夜あおいはお菓子の家から剥がしたクッキーを八神修に１枚渡す。
　焼き加減も味も申し分ないお菓子のクッキー、いったい誰が作ったのか検討はつかない。

　けれど、この場所にいるというひと時だけは修にとってもあおいにとっても忘れられない時間。
　甘いお菓子に包まれた空間で、気になる人と一緒にいる……それだけでも充分。

「そういえば、この家のネコちゃんもクッキーなんだね？」
「確かに……」

　にゃーと鳴く猫の形をしたクッキーが、てこてこ、てこてこと修とあおいの周りを散歩する。
　なにをたべてるの？　なにをしているの？　と気になるようにクッキーは２人を見上げて、答えがなければまたてこてこと歩き出す。

「か、可愛い……」
「何がしたいんだろう？　ご飯かな……」
「ほらほら、クッキー、ここにあるよ～」
「にゃー」

　あおいがしゃがみつつクッキーを差し出せば、ネコ型クッキーはてこてことあおいに近づき、ぺこぺこお辞儀。
　ネコ型クッキー、そしてあおいの行動があまりにも可愛くて、修は思わず目を背けたのだった。

◆
「ねえ、英二君。このお菓子の家だけどさ」
「うん？」

　野々ののこはお菓子の家の前に立って、１つ、佐藤英二に提案を出した。
　それは……お菓子の家バージョン２を作ってみないか、という提案。

　このお菓子の家はとても素敵だ。
　チョコレートの屋根、ケーキ生地の壁、色とりどりの様々なお菓子が散りばめられた可愛らしいおうち。
　けれど、もし……自分達でこの家を１から作って並べたら、より素敵な光景が広がるのではないかと。

「どうかな？　どうかな？」
「その提案はアリ。材料をどこから持ってくるか、だけど」
「それはほら、ここからちょこっと貰っていけば！」
「それはー……いい、のか？」

　ちょっと疑問形になった英二。
　だが材料が現状目の前のお菓子の家から取るしか無いのは明白なので、いそいそと材料を拝借して２つ目のお菓子の家を作り上げた。

　なお、大きな家とは誰も言っていないので、小さなお菓子の家が隣に並ぶ。
　人が入るほどではないので、ネコ型クッキーたちのおうちにしてもらったとさ。