【生徒会選挙】威風堂々。挑め、生徒会甲子園！！｜リアクション

【生徒会選挙】威風堂々。挑め、生徒会甲子園！！

◆バックアップの重要性

　椎井莉鳥は今回の立ち回りについて少し考えていた。選挙管理委員に選ばれたけれども、生徒会役員が無投票で決定したため宙に浮いてしまった。選挙が行われないなら、当然選挙管理委員の仕事は無い。しかし生徒会甲子園に出場することが決まったので、そのままサポート要員として同行することにした。
　彼女は保健委員会委員長として、今回競技に出場する生徒会役員と生徒たちの後方支援にあたる。これほど大きい規模の催しとなると、その役割は重要だ。バックアップがしっかりしていることで、競技に参加する生徒たちに安心感を与えられる。今回の競技は『ガッツリ闇鍋大食い勝負』『激論！ナンデモ討論会』『バンカラ競歩＜威風堂々＞』『テキパキ書類整理競争』の４種目。

（このなかで特に注意が必要そうなのは、闇鍋とバンカラか）

　莉鳥は競技内容を改めて確認する。
　『ガッツリ闇鍋大食い勝負』は食べ過ぎによる体調不良者が、『バンカラ競歩＜威風堂々＞』は強風による妨害で怪我人が出ることが予想されるのでいつでも保護できるように体制を整えておく。

（あとの２つは……）

　『激論！ナンデモ討論会』については、議論が白熱した際に興奮したり激高した生徒が乱闘騒ぎを起こす可能性もあるので、一応警戒。『テキパキ書類整理競争』についても、書類回収を焦るあまり転倒するなどで怪我人が出るかもしれないので、やはり警戒しておく。
　結局のところ、どの競技も絶対に安全とはいえない。もちろん大会を主催する側はそれを分かっているだろうし、救護係を用意しているだろう。それでも敢えてこのような活動をするのは『全校生徒で一丸となって新生徒会を支援している』というのを示しておきたいという思いがあった。

「バックアップがしっかりしていれば生徒会も競技に出場する生徒も安心できると思うから」

　莉鳥と同じように考える生徒たちが集まっている。その全体指揮を執るのは選挙管理委員長の巫部紫苑だ。

「皆さんがしっかりと頑張れるように、サポートも応援もやっていきます♪」

　応援するなら、それに合った衣装のほうがいいと思いチアガールの格好をしている。どうやらこの格好で最後まで仕事をこなすつもりらしい。
　生徒会甲子園はやることが多い。紫苑は他の委員に、出場する生徒たちを各会場に連れて行くように指示したり、準備の手伝いを依頼する。彼女自身も手続きを済ませてから、速やかにサポートに加わった。　

「闇鍋大食い勝負……」

　彼女の手には闇鍋用に用意された各種食材。各校が用意した地元食材も含まれている。なお彼女は敵チームへのおすそ分け用にサンマさんパンを用意した。これは競技のために調理するので紫苑は食べられない。

（お鍋をたくさん食べられるのは羨ましいですが……ここは我慢です……）

　その無念を胸にしまって、鍋は皆で美味しく食べてほしいという思いを込めて作る。

「あとは何があるでしょうか？」

　他の競技を見てみると『激論！ナンデモ討論会』は『なめこの山』や『つちのこの里』が議論のうえで実物があったほうがいいかもしれない。『バンカラ競歩＜威風堂々＞』は学ランやマントに気合の入る刺繡をしたほうが雰囲気が出るだろうか。そんなことを思っていたら『テキパキ書類整理競争』のトラブルを起こす役目があった。

「え？　書類整理中に差し入れを持って行って誘惑するトラブル？」

　微妙に違う気もするが、おおよその認識は間違っていない。

「それなら美味しい軽食を作って、もっていってあげますね♪」

　そんなこんなで慌ただしく過ぎていき、あっという間に休憩時間になった。紫苑は大量の重箱弁当を広げる。

「たくさん作ってきましたから、たっぷり召し上がってくださいね♪」

　紫苑の差し入れに一同が喜びの声を上げた。
　こうした生徒たちの活動があるからこそ、これほど大きなイベントでも進行できる。大会が何事もなく終わった時こそ、彼女たちの頑張りが見えるのかもしれない。