闇に怪しく輝くのは、モニターの光だ。映っているのは黒い画面に、赤い文字だけ。
それが周囲にいくつも並んでいた。
『ついに来たな』
『ああ。ついに来た』
『我らが宿願を果たす時だ』
マイクを通した声はいささかひび割れており、いかめしく重々しく響く。
モニターは数十もあり、そこから発せられる声は若い男女のものもあれば、年配らしくしわがれた声もあった。
『10年前の雪辱を』
『100年前より願う栄誉を』
『今こそ我らが、寝子島高校へ!』
モニターの赤い文字には、『MOTO SEITOKAICHOU No.82』などと番号がついており、小さいものはNo.12からNo.38、No.61、No.99といろいろだ。『SOUND ONLY』とも書いてある。
画面の向こうにいるのは寝子島高校生徒会において辣腕をふるってきた歴代生徒会長たちであり、仰々しいが要するに、ただのWEB会議なのだった。
No.98のモニターが明るい声を発する。
『イヤーッ、話に聞いたときはビックリしたけど、いよいよだネー。楽しみだZE☆』
『何だかばかばかしーって、最初は思いましたけどねー』
No.99がどこか呆れたように応えるが、弾む声色は楽しんでいるようにも聞こえた。
『何しろ、開催は10年に一度。そして次は記念すべき、10度目の大会となる……そう、いよいよ始まるのだ。おお、栄光の!』
最年長であろうNo.12のモニターの声が、どこか感極まったように震えた。
第10回 生徒会甲子園!!
暗がりに、カッ!! と光が灯る。
中央に顔を揃えたのは、少女たち。いずれも寝子島高校の制服を着て、赤い腕章を身につけていた。
新生徒会長、
雨崎 楓香。副会長
水上 桜、
天満 七星。書記、
月原 想花。会計、
愛猫 萌々子。
寝子島高校の次代を託された、新生徒会の威風堂々たる姿であった。
『さて、次期生徒会執行部の諸君。この戦いを勝ち抜く度量、資質が果たして、君たちにあるかね?』
『我々は妥協し続けてきた。2番手に甘んじ続けてきた……故に求めるものはただひとつ』
『優勝、それのみだ。並みいる強豪校を打ち破り、見事栄光を勝ち取るその覚悟が果たして、あるのかね?』
「……言うまでもありません」
まさしく歴史を築き上げてきた先達を前に、しかし楓香は不敵に笑んで見せた。
「新しい生徒会と寝子高生徒全員の力を結集して、優勝をかっさらってやろうじゃないの!」
『その意気や良し』
『託そうではないか。我らの信頼を』
『ああ。我らの願いを』
『君たちならば必ずや、やりとげられると信じている』
『たとえさざ波起こりても』
『ともに明日へと歩まん』
『絆は固く(ねこじまジャスティス)寝子島高校』
『寝子島高校』
『らっかみさまのご加護ありにゃにゃにゃにゃーん』
『『『にゃにゃにゃにゃーん!!』』』
翌日の全校集会では、講堂内へ大いにどよめきが巻き起こった。
通例として、寝子島高校生徒会役員は通常の選挙に加え、歴代の生徒会長たちから叩きつけられる挑戦状へ、全校生徒を率いて挑み、これを見事クリアすることを求められる。
しかし今回は全ての役職において対立候補が出なかったため、立候補者は選挙を経ずに確定となった。
ならば何をもって、候補者たちは真に生徒会員たりえると、その資質を証明するのか?
それが、
『第10回<生徒会甲子園>』の優勝旗を我らが寝子高の校舎へと持ち返り、掲揚することだというのである。
「つーか、生徒会甲子園ってなんだよ?」
「つーか、それってなにすんの?」
当然の疑問が生徒たちを満たし、困惑に包まれる中、壇上に立ったのは今年の選挙管理委員長、
巫部 紫苑だった。
にっこり♪
選挙の告示から立候補・推薦の受付に取りまとめなど精力的に動いてきた彼女だが、先述のように選挙は行われない。
そこで今回は、歴代生徒会長からの信任を得るための挑戦、その進行や管理を彼女と選挙管理委員会が取り仕切ることになった。
「生徒会甲子園とは、全国の高校に数ある生徒会執行部、その頂点を決定する大会。だそうですよ~。生徒会と全校生徒が一丸となって数々の競技に挑み、信頼や絆の深さを競い合って……」
「ハーーーッハッハッハ!!」
どどん!
講堂の開け放たれた扉の前に立つ、数名の人影があった。闖入者だ。
ちなみに「どどん!」は彼ら持ち込みのバスドラムである。
「先ほどから聞いていれば、なんという低レベル。生徒会甲子園の何たるかも知らないとは。これが前回の準優勝校、我らがライバル、寝子島高等学校の新生徒会の姿かね。いやはや……」
「だ、誰だあんたらー!?」
寝子高生徒の問いに、中央に立つキザったらしい少年が、長い金髪をふわさ~っ……とかきあげ、名乗りを上げる。
「前々回・前回の生徒会甲子園で連覇を成し遂げた、東京の
流ヶ崎高等学校・生徒会執行部! 生徒会長の石動 辰之助だ。今回の優勝も我々がいただいて、三連覇を成し遂げてやるさ」
タツノスケがさっ、と手をかかげると、生徒会役員であろう、それぞれに個性的な顔ぶれが高笑いする。
「生徒会甲子園は、多様な競技を通じて生徒会執行部の実力やカリスマ、生徒たちとの絆を確かめる場だ。出場するのはいずれも強豪校ぞろい……生半可な覚悟では、足元をすくわれるのがオチさ。果たして君たちに戦い抜くことができるかな? フッフフフ。ハッハッハッハ」
憎らしく言うだけ言って、流ヶ崎高等学校生徒会の面々は嵐のように去っていった。
しんと講堂内が静まり返る……が、紫苑はそれでもにこりと微笑む。
「と、言うことですけど。皆さん、どうしますか? やりますか? それとも諦めます?」
「ふっ。やるに決まってるじゃん!
ねえみんな!」
講堂は一転、怒号のような鬨の声に包まれた。
あのような挑発を受けては、引き下がるわけにはいくまい! 全校生徒の心はひとつとなった。
彼らの熱量、気合を一手に受け止め、漕ぎ出す船のごとく舵を取り荒波を行くのが、生徒会執行部の役割だ。
まもなく始まる、生徒会甲子園!
諸君の熱闘を期待する!!
こんにちは。マスターを務める星織遥です。
よろしくお願いいたします!
概要
選挙演説を経て、以下の皆さんが生徒会役員として立候補されました。
★会長 :雨崎 楓香
★副会長 :水上 桜、天満 七星
★書記 :月原 想花
★会計 :愛猫 萌々子
★選管委員長:巫部 紫苑
今回の選挙では対立候補が出なかったため、上記の方々は自動的に決定となりました。
しかし! これまで無理難題の挑戦状を叩きつけてきた寝子高歴代生徒会長たちは、
皆さんが真に生徒会役員たるか、次代の寝子高を引っ張っていけるのか、
その資質を証明せよと求めています。
そのための舞台こそが、『第10回<生徒会甲子園>』なのです!
◆生徒会甲子園って?
ちょうど100年前より10年に一度開催されてきた、日本全国の高等学校の生徒会執行部、
その頂点を決定する大会です。
今年は10回目のメモリアルな大会で、各校の気合や盛り上がりも例年の比ではありません。
ちなみに、寝子島高校は前回の生徒会甲子園で、準優勝を飾りました。
過去にも何度も好成績を残していますが、優勝は一度もありません。
優勝は歴代生徒会長たちの悲願であり、次期生徒会と生徒たちへ期待を寄せています。
生徒会だけ、生徒だけでは、勝利はつかめません。
全校生徒一丸となって激闘へ挑み、栄誉をつかみ取ってください!
◆何をすればいい?
生徒会甲子園では、さまざまな競技を通じて、生徒会としての資質、生徒たちとの絆が試されます。
勝敗ももちろん大事ですが、その過程でいかにそれらを証明するかも重要です。
【A】新生徒会役員 :各競技に出場し、陣頭指揮を執ります。
競技ごとに1~2名まで出場できます。
誰がどの競技に出場するかは、ご相談の上決定ください。
【B】選挙管理委員 :寝子島高校が生徒会甲子園に出場する上で必要な業務や手続き、
またマネージャーのような役割として、競技におけるサポートを行います。
【C】一般生徒 :競技に出場したり、応援団としてパフォーマンスを行うことができます。
【D】街の人・ほしびと :助っ人として競技に出場したり、応援団としても参加可能です。
競技内容
今回の競技会場は、東京ドームです。
競技ごとに設営されたフィールドで、各校が激突します。
GAを組めば同じチームとして出場できます。
特に指定がない場合、ランダムでチームが割り振られます。
NPCや未登録キャラクターが参加することもあります。
【1】ガッツリ闇鍋大食い勝負
生徒会に必要なもの、それは激務をこなす体力!
各校でひとつの鍋を囲み、食べる量を競います。
具材は肉、魚、野菜、お菓子、スイーツ、米にパン、麺などなど、
節操がありません。食べられないものは入っていないのでご安心を。
全ての具材を食べると、わんこそばのようにおかわりが投入されます。
限界まで食べたら、素早くフタを閉じましょう。お残しやギブアップは即敗北!
なお相手対戦校の鍋に対して、相手のギブアップ狙いで、
自校の地元食材を投入して邪魔することができます。
もっとも、全て美味しく食べられてしまうかもしれませんが……。
【2】激論!ナンデモ討論会
生徒会に必要なもの、それは柔軟な知性!
お題に対して各校がそれぞれに支持するテーマを掲げ、
いかに相手より優れているか、言論の力で対決します。
今回のお題は満を持して、『なめこの山VSつちのこの里、どっちが美味い?』
寝子高は『なめこの山』を支持します。
『つちのこ』派は今回は我慢してなめこを応援しよう。
【3】バンカラ競歩<威風堂々>
生徒会に必要なもの、それは不屈の闘志と強固な絆!
100年前の初回大会から続く伝統競技。
走者は学ランとマント、学帽を着用し、細長いランウェイを歩き、
いかに生徒会らしく威風堂々と歩き切れるかを競います。
ランウェイの正面からは強風が吹き荒んでいるのに加え、走者以外の参加者は、
他校の走者へ巨大送風機、巨大ウチワで風を起こして攻撃したり、
後ろから追い風を送ることで援護することができます。
チームワークで挑みましょう。
帽子を吹き飛ばされると、走者が拾いに行き、飛ばされたポイントから再スタート。
ガイドに登場した流ヶ崎高等学校とはこの競技で激突します。
【4】テキパキ書類整理競争
生徒会に必要なもの、それは実務能力、そして臨機応変な対応力!
生徒会室を模した競技フィールドに散らばった書類を拾い集め、
関連する書類同士を仕分け、所定の棚、机などに収める速さを競います。
途中、『野良猫の群れが乱入し大暴れ』『うっかりな顧問教師がコーヒーぶちまける』
『やたらとしつこい間違い電話』などトラブルが発生し、
いずれも角が立たないよう穏便な対応で解決する必要があります。
アクション
アクションには、以下の項目を記入してください。
▼あなたの立場 上記【A】~【D】から1つ
▼競技に出場する方は、希望する競技 上記【1】~【4】から1つ
▼あなたの行動
→選手としての競技中の行動、作戦など
→選管委員としてサポートするところ
→応援で力いっぱい声を出したり、パフォーマンスするところ
→大会終了後、みんなで闇鍋の残りを囲んで健闘をたたえ合う
などなど。
※このシナリオでは、ろっこんの使用は禁止です。
NPCについて
▼現役寝子高生徒NPC
競技や応援パフォーマンスに誘うことができます。
※同一のNPCが複数の競技をかけもちする場合もあります。
※特定のマスターが担当するNPCは登場出来ない場合もあります。
▼寝子高教師NPC
絡むアクションがあれば登場します。
主に応援や選管委員の補助などを行っています。
▼その他、下記のNPCも絡むアクションがあれば登場します。
海原 茂 :元生徒会長
中沢 リッカルド:寝子島町・町長。
寝子 サンマ :寝子島・観光大使。
浜 マンボウ :同じく観光大使。
それでは、皆さまのご参加お待ちしております!