【生徒会選挙】威風堂々。挑め、生徒会甲子園！！｜リアクション

【生徒会選挙】威風堂々。挑め、生徒会甲子園！！

◆チームワーク

　新生徒会長となる雨崎楓香。
　今回は対立候補が出なかったため、選挙が行われなかった。しかし生徒会甲子園で生徒会執行部の実力やカリスマなどを競うことになった。

「生徒会代表として、頑張りますっ！！！！」

　そう宣言したのが先日のこと。内心では生徒会甲子園が何なのか分かっていなかった。そして現在、彼女は会場である東京ドームへやってきていた。そこには全国から集まった生徒会執行部、そしてその応援にやってきた各学校の生徒たち。熱意ほとばしるグループもいれば、お祭り感覚で来ているグループもいる。
　彼女は４種の競技から『テキパキ書類整理競争』に参加する。彼女には事務方を担当する者という自負がある。

「テキパキやるんなら任せて！」

　意気込みは十分。ただ今日は実家である上野から親戚が見に来ていてかなり恥ずかしい。応戦席には祖父母や妹のほのか、さらに雪奈や曳奈の姿もある。

（あああ、もうハズぃぃ！）

　しかし勝負はまさにこれから。なんとか気を確かに持って、三宅ゆりをメンバーに誘う。生徒会になってからも変わらずブレずに付き合いが続いているので心強い。他のメンバーをどうしようかと思っていると卵城秘月が現れた。

「メンバーを探しているようだね。よければ私が手伝おう」
「秘月先輩！」

　秘月が助っ人として参加してもらえるなら心強い、と楓香は申し出を快く受け入れた。

「因みに効果があるかはわからないけど楓香君にプレゼントがある」

　そういって秘月は伊達眼鏡を取り出した。

「ちょっと賢く見えるかもしれないし生徒会長になったんだからお祝いにと思ってね」

　楓香はうきうきした気持ちでそれを受け取ると早速掛けてみる。視力に影響は無いけれど、なんだか力をもらった気がした。

「あれ？　そういえばこのデザイン……」
「ああ、私と同じデザインだよ。それがお気に入りなんだ。使ってくれると嬉しいよ」
「は、はい！」
「さて書類整理競争だけど会長の指示に従うからどんどん命令してほしいな。先輩にだって命令できるぐらいの度量を見せてほしいね？」
「がんばります！」

　ゆりや他の面々も気合を入れ直した。他校の生徒たちも準備が整い、いざ競技開始。
　書類を整理するにもその数は膨大。楓香の指示のもと、それぞれが対応にまわる。テキパキとした指示とそれに従って動くメンバー。
　しっかりとした連携が取れていて良いペースだ。だがこの競技は妨害もついてくる。間違い電話や猫の乱入などに対して、角が立たないように穏便に対応しなくてはならない。

（予想はしてたけど、けっこう忙しい……！）

　楓香は内心焦りながらも作業をこなす。そのとき、顧問教師がうっかりコーヒーをこぼすトラブルが起こった。しかし楓香は気づいていない。その危機を救ったのは秘月だった。とっさに床の書類を払い、楓香の体を自分のほうに引き寄せて抱きかかえる。コーヒーは何もない床に落ち、事なきを得た。

「危なかったね」
「はい……」

　ほっとしたのも束の間、楓香は秘月との距離に気づいた。

（いや、でもなんか待って、やっぱ先輩近い、近くない？　そもそもこの競技に二人三脚要素あったっけ？　だめ……そこはっ……全国の皆さんの前でぇぇぇ！）

　焦る楓香とは反対に、秘月はほんのりと感触を楽しんでいた。その効果でやる気がアップした秘月はペースをあげてラストスパートにかかる。楓香も正気を取り戻し、最後まで奮闘した。その甲斐もあって、好成績を収めることができた。ふと気づいたように秘月が楓香に声を掛ける。

「ああ、そうだ」
「はい？」
「命令をちゃんと聞いていたから、埋め合わせ期待してるよ」

　悪戯っぽく微笑みながらこっそり楓香に囁いた。

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