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寝子島高校
I'll be there - 仲良くなりたい、その10
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ぴりりが歩んでくる。
つかつかと幸次のほうに歩んでくる。
決して走らないのは廊下のルールを遵守しているためだろうが、縛りがなかったらきっと、一個の火炎弾と化しぶつかってくるではないかと幸次は錯覚した。それくらいぴりりには気迫が感じられた。ストレートに言えば目が吊り上がっていたのだ。
なんかめちゃめちゃ怒ってるし……!
逃げたいがそうもいかない。ここは行き止まりだからだ。いや脇道があったとしても、ぴりりがホイッスルを慣らすだけだろう。
「や、やあ笛吹さん……」
片手をあげて幸次はあいさつしようとするもぴりりは無視だ。ずんずん近づいてきて数メートルから数十センチへ、迷わず距離を詰めてくるではないか。どうやら言いたいことがあるらしい。噴火寸前の憤りもあるらしい。たじたじと幸次は後ずさりする。
幸次の背中が壁にぶつかった。もう下がれない。
「ま、待って待って、笛吹さん何か怒ってる?」
「怒ってます。怒っているのです」
繰り返し表現が、恐い。
困ったのは幸次に心当たりがないことだった。
たしかに幸次は以前、スキー&スノボ合宿のおりぴりりに誤解を与えたことはあった。猫変身した状態である女生徒に見つかり、膝に乗せられてなでなでされてしまったのだ。それで終われば問題はなかったろうが、気持ちよさのあまりついうっかり居眠りしてしまったのがまずかった。目が覚めたとき幸次は変身が解け、見知らぬ女子の膝枕で眠る不審者という体勢になってしまったのである。驚いた女子は声をあげ、すっ飛んできたのがぴりりだったというわけだ。幸い、この女生徒が話の帳尻をあわせてくれたことで痴漢行為ではないと認められおとがめなしに終わったが、以来ぴりりが自分を見る目は厳しいように思う。たぶん『女子生徒に手を出す不届きもの』という疑念も解けていないだろう。
でもそのことをまだ怒っているなんて変だよな……そもそも彼女とは……。
あっ。
ここで合点がいった。
バレたんだ。
「もしかして愛猫さんのこと……だったりする?」
「です!」
やっぱりかぁ、と言いたいところだが幸次は我慢した。
膝枕事件(仮にこう呼ぶ)で幸次が驚かせた女子すなわち愛猫さんと、めぐりめぐって幸次は現在交際しているのだった。問題は彼女がぴりりと同じ風紀委員ということにとどまらない。彼女はぴりりと友達で、そればかりか桜花寮のルームメイトなのだ。
「よくも……よくも隠していたものですね!」
ぴりりは怒りをホイッスルの爆音で表現したかったにちがいない。しかし風紀違反としての義務感から行動にはおよばず、ただ首からさげた笛を左手で握りしめるにとどめていた。けれど左手は震えている。幸次に指をつきつける右手も。
「不純行為があれば別ですが、男女交際自体は寝子島高校の校則違反ではありません! それを萌々子さんともども隠れてコソコソと……そんなに私に知られることが不都合ですかっ!」
怒りのあまりぴりりは涙ぐんですらいる。裏切られたように感じているのだろうか。
ぴりりはののしりつづけた。ここは吐き出させるしかないと覚悟し、幸次は黙って嵐に耐える。いちいちもっともな部分があることもたしかだったから、聞き流すのではなくぴりりの想いを理解するよう努め受けとめた。
時間にすれば数分だったが、幸次にすれば数時間に感じる責め苦がようやく収まった。ぴりりが息切れしたのである。全身全霊の怒りだったらしく、小さな体がぜえぜえと言っている。
「まずあやまるよ。隠していたことを認めるし謝罪する。ごめんなさい。本当に」
幸次は頭を下げた。悪い印象を与えてしまって申し訳ない、なんて政治家みたいな答弁はしたくなかった。悪い印象うんぬんという表現は裏返せば、『悪い印象を持ったのはあなたであり私は悪くない』という意味となる巧妙な逃げだだからだ。そんなのは、卑怯だ。
素直に頭をさげた幸次に驚いたのだろうか。ぴりりの体から怒気が薄れたように幸次は思った。
「じゃあ今度は、俺の話聞いてもらっていい?」
おだやかな口調で言う。
「まず、隠してたのは笛吹さんを心配させたくなかったからだよ。余計なお世話と思うかもしれないけど、嘘じゃない」
ぴりりが騒ぎ立てることはなかった。
話せばわかってくれる子だ。
ほっとして続ける。
「おじいさんぽい表現だけど、俺たちは清らかな交際をしているつもりだよ。でも、風紀委員が他生徒といちゃついてるなんて話が広がれば、委員会全体に迷惑がかかると思った」
憶測で勝手なことを言う人間はどこにでもいる。残念ながら、自由な校風の寝子高でも皆無とまではいかない。
「だから『聞かれるまでは公表しない』『校内では極力会わないって』、愛猫さんとふたりで話し合って決めたんだ。それに、浮かれて成績が落ちるなんてことがあればお互い良くないから、悪影響が出た場合はすぐに縁を切るって覚悟もしてる」
口を閉ざしたままぴりりは聞いている。どう考えているのかは、まだわからない。
「……これでわかってもらえないかな?」
幸次は言い終えた。それでも糾弾されるなら仕方がない。説明はすべてしたのだから。
ぴりりは不機嫌そうだが、それでもうなずいて言ったのである。
「わかりました。そこまで考えてくださってのことであれば、私はもう文句を言いません。そもそも、仲を認めるとか認めないとか決める権限は私にはないのですから」
今度は幸次が驚く番だった。ぴりりが深く頭を下げたのである。
「勝手な思い込みで、私は万条さんにひどい言葉を投げてしまいました……お詫びします。すみませんでした」
「それは……でも、あんなに怒るってことは笛吹さんが、愛猫さんを心配してくれていた証拠だと思ってる。だから、ほら、頭を上げてよ」
けれどぴりりは首を振った。あと、と自分の靴を見つめたまま言う。
「このことで愛猫さん……萌々子さんとケンカしてしまって。ここ何日か口をきいてないんです。私、ちゃんと彼女の話を聞くべきだった……いまからあやまってきます」
「俺も行こうか?」
「いえ、大丈夫です。というか、恥ずかしい……です。お気持ちだけいただいておきます……」
では、と言ってぴりりは方向転換して来た道を戻って行った。泣いていたように思う。
ぴりりが見えなくなってから、ふーと幸次は深く息をついた。
解放してもらえた。
いい子だよな。本当、愛猫さんはいい友達をもったよ。ちょっと真面目でお堅くて俺には怖いとこもあるけど――。
きっとまた愛猫さんと笛吹さんは、友達同士にもどるだろう。もしかしたらこの経験で、もっと強い絆ができるかもしれない。
そうだったらいいなと幸次は思うのだ。
何気なく窓の外に目をやり、幸次は満面の笑顔になった。
切り株にグレーさんが座っていたのだ。あくびをしている。まるで、最初からそこで待っていたかのように。
よし、行こう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月31日
参加申し込みの期限
2022年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年11月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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