this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
I'll be there - 仲良くなりたい、その10
<< もどる
1
…
10
11
12
13
14
…
20
つぎへ >>
喫煙習慣が悪と決めつけられて久しい。
ニコチンの奴隷だとか緩慢な自殺だとか、非難する声には事欠かない。完全密閉のここ喫煙室にすら、その手のポスターがベタベタ貼られているくらいだ。標語だけならまだしも、肺がん患者のレントゲンやら細胞の拡大写真やら、おどろおどろしい脅迫じみた写真までもが掲載されているのには閉口する。ご丁寧にも禁煙外来の連絡先まで書いてあるではないか。余計なお世話という感慨を通り越して、ここまで熱心に非難する姿勢には、ある種の敬意をおぼえないでもない。
もちろん
水槻 清恋
だって、喫煙が健康に悪いことは百も承知だ。深酒と同じで、吸い過ぎた翌日には具合が悪くなったことだってある。
ただ、公共の場や子どもの前で吸うわけでもないのなら、反社会的行為まで言うのはどうかとは思う。喫煙者のこちらとて、禁煙ファシズムとか言って彼らを敵視していては永遠の平行線だ。吸う自分たちも吸わない大勢も、どうにか共存できる落とし所はないものか。
そも、喫煙の愉しみは肺に有害な(けれど自然由来の)成分を吸いこんで吐き出すことだけにつきないのだ。ざらついた味はもちろん、紫煙をくゆらすのも法楽であり、お香とはまたちがった独特の匂いもまちがいなく愉悦だ。それに音だ。紙巻きがチリチリと燃えるを聞くのは至福の音楽である。非喫煙者が煙が嫌いなのも匂いが嫌いなのも理解はできる。ただ、線香花火よりも繊細なこの音楽だけでも、好きにならずともせめて知ってはほしいというのが清恋の願いである。
……などと結論が出そうで出ることもないとりとめのない考えに沈溺することができるのも、このところ署内が落ち着いてきたおかげだろう。
先日、清恋の職場――寝子島警察署は怪現象に襲われた。
まるで寝子島署だけを標的としたかのような局地的な暴風が吹き荒れ、署の内外がさんざんなことになったのだ。内部にかぎっても書類が舞い散りパソコンの配線が吹き飛び、机すら倒れたほどだ。風が暴れたのは窓が破れたことが原因とみなされているが、窓が割れるより先に室内が大荒れになったという証言もあり真相のほどはわからない(どこか窓が開いていただけかもしれないが)。といっても短時間だったのでデータや証拠品が失われることはなかったし、署の周辺を含めても死者はもちろん負傷者もでなかった。ただ、吹き飛んだ消火栓やら倒れた白バイの修理、破損したホワイトボードや電灯の交換など、それなりに手間と出費が必要となったことだけはまちがいない。
大風の原因は不明のままで片付けられている。
あの騒動はなんだったのか――清恋は思う。もちろん、署員すべてもそう思っていることだろう。
騒動の後は署長以下すべての署員、もちろん清恋も大わらわの数日を送ったものだ。しかしどうにか後始末は済んで、ようやく落ち着きが署に訪れている。この間さしたる事件がなかったことも幸いした。今日も同様だ。小規模なご近所トラブル程度なら絶えないものの、新聞に載るような事件はない。
したがってこうやって休憩し、一服を味わう時間もあるわけだ。
「よっ」
喫煙室のドアが開いた。ひょいと入ってきたのは雪男かという第一印象。大柄な上に眉も髪も真っ白で、いずれも分量過多、もっさもさの姿なのである。
吐前 亀二郎
だ。いよいよ定年退職まで半年を切ったベテラン刑事である。といっても継続雇用を希望しているのでたぶんあと五年はいるが。
「あ、ども」
「みーちゃん、邪魔するよ。いいかな?」
「構いませんよ」
「そいつはどうもだねえ。はいはいー」
別に嫌ではなかった。だが清恋は知っている。仮に清恋が嫌だと言っても、なんのかの理由を付けて亀二郎はこの場に残っただろう。
亀二郎は煙草を吸わない。吸わないくせに喫煙室にちょいちょい顔を出す。出しても特に何をするでもなく、その場にいる人間とただ数分ほど益体もない雑談をして姿を消すだけである。「サボりだよ」とのことだ。しかし実際のところこうやって、署内の人間関係だの事件情報の断片だのを回収しているのだ。本人は決して吹聴しないが、事情通なのはこのあたりに理由があるのだろう。亀二郎が現場の人間に、彼いわく『ちょっとしたヒント』を授けて解決した事件も少なくないと聞く。なのに本人が出世せず、このまま勇退の途(みち)につこうとしているのはなぜだろう。警察組織というものはそういうものだと割り切れるほど、清恋はすり切れたくはなかった。
「どう最近?」
亀二郎はテーブルに缶コーヒーをふたつおいた。おひとつどうぞ、とのことである。彼は喫煙所を訪れるとき、まずまちがいなく手土産を持参する。
「いただきます」
手に取って清恋は驚いた。コーヒーがホットだったのだ。今日はいい天気で外は暑い。たいていの人間ならアイスを買うだろう。しかし喫煙室は陽が差さないせいかひんやりしていたので、ここを出たらホットの缶コーヒーでも買おうかと清恋は思っていた矢先だったのだ。こちらの考えを読んだのかそれともただの偶然か、とくに種明かしをするでもなく亀二郎は、悠々と自分のコーヒーを空けている。あいかわらず底の見えない男ではないか。
「最近……でしたっけ」
煙を真上に吐きだして清恋は言った。
「モヤモヤしてます」
「モヤモヤ?」
「ええ、先日のあれとか……」注釈するまでもないが大風の騒動のことだ。
「ああー、あれね」
おやと清恋は思った。もさもさの眉に隠れた老刑事の目が、ほんの少し垂れたように見えたのだ。難儀だったと愚痴るでもなく、いい思い出だったとでも言わんばかりに。風が吹いて喜ぶのは子犬くらいだろう。よく犬に似ていると言われる亀二郎だが、犬は犬でも近いのは、もっさりとした大型の老犬だ。
「何かいいことでもあったんですか?」
反射的に清恋が問うと、刹那生じた亀二郎の純粋な笑みはたちまち(彼にとって)普段の笑みに隠されてしまった。
「いやあ、オレが若い頃の現場っていつもこんなだったなー、って思ってさ。あの頃は日本中が熱くてねぇ。よく課長にドヤされたもんだっけ。ドジったら灰皿投げつけたりしてくんだよ? いまだったら絶対アウトだよなぁ」
ふふふと亀二郎は笑ったし、たぶんその気持ちは半分は本当だと清恋は思った。
――けど、半分は嘘だ。
亀二郎は隠していると清恋は見抜いている。『何かあったのか』と自分は訊いた。なのに亀二郎は直接にその質問に答えず、『いま思い出したこと』を口にした。過去と現在、ともすれば見過ごしそうな微細なちがいだが、両者には決定的な差がある。謎めいたあの騒動の日、亀二郎には何かがあったのだ、おそらく。
けれど追求しても老獪な彼のことだ。たくみにかわして煙に巻いてしまうだろう。腹を割って話しているようで、たとえ味方であれど底の底はけっして見せない、それが吐前亀二郎刑事なのである。だからこそ信頼できるとも言えようか……逆説的には。
中堅どころには育ってきたと自負しているけど、亀さんからすれば私なんてまだまだヒヨッコね。
まず無理だと清恋はあきらめて、二本目のメンソールに火を付けた。
モヤモヤか――。
とっさに我が口をついた言葉だが、まさしく自分の状態を的確に表現しているように思う。
モヤモヤといえば、恋愛方面もだ。
メンソールの煙を深く吸い込む。肺の細胞のすみずみにまで届くように。
<< もどる
1
…
10
11
12
13
14
…
20
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
I'll be there - 仲良くなりたい、その10
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月31日
参加申し込みの期限
2022年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年11月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!