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九月の姫君(プリンセス)たち
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短い一幕が終わり、主演男優と主演女優、すなわち彰尋とあおいはベンチに並んで腰を下ろしている。
あおいは魔法瓶を出してくれた。カップにひとつずつ温かいほうじ茶を注ぎ、ひとつを渡してくれる。先週くらいまでは冷たいドリンクの季節だったはずが、いまとなってはホットが嬉しい。
「いただきます。これ、あおいさんが自分で淹れたの?」
「うん。まあ、個包装のパックだけどね」
ありがたく彰尋は茶を口にした。心が落ち着く香りだ。
「そういえばここ数日、話すことはなかったね」
「うん、私も忙しかったから……進路のことで」
「たしか介護医療とか社会福祉系の専門学校へ進むんだったね」
「願書書いてたんだ。桐島先生に下見もしてもらった。学校によるけど、ほとんど提出は来月ね」
「学校推薦だっけ?」
「全部ね。推薦枠なら検定料と合格後の入学費が免除になるから」
寝子高には少なくない推薦枠がある。できる限り利用して、数校を受験する予定だとあおいは言う。専門学校は寝子島から通える近場もあるが、遠く県外の学校もあった。いずれにせよ検定料と入学費が不要なのは大きいだろう。このあたり、個性的で優秀な学生を輩出してきた寝子高ならではの利点といえよう。推薦特典として学費も減額になる学校もあるという。
「できればね、学費が減額の専門学校のほうがいいけどね」
でも、とあおいはコバルトブルーの瞳に逡巡を浮かべる。
「減額割合が大きいところって、けっこう遠くて……九州だったりするから」
それ以上あおいは言わない。だが弟妹がたくさんいる身として、できるだけ親に金銭的負担をかけたくないと彼女が思っていることを彰尋は理解している。介護医療ないし社会福祉の専門学校への進路希望も、その方面に興味があったためもあろうが、すぐに手に職をつけ経済的に自立したいからだろう。あおいのことだ、あたうならば実家に仕送りもしたいと考えているはずだ。
「九州……」
「しかもそこの学校、寮があるんだ。家賃すごく安くて。桜花寮とほとんど変わんないんだよ」
もしその学校に合格したらあおいはどうするだろうか。
物理的な距離を考えれば彰尋は歓迎したくなかった。もちろんあおいだって喜んで選ぶことはないと思う。
しかし金銭的負担はもっとも軽いだろう。
遠くに行かないでほしい、寝子島かその近辺に残ってほしい――そう言えたらどれほどいいか。でも自分にそんなことを言える権利があるのか。仮に自分が大金持ちで、養ってあげようと言ったところで、自立心の強いあおいはきっと断るはずだ。
じゃあ九州の学校には不合格になってほしいと祈るのか? そんなこと、心の中だけでもできやしない。
一瞬重い空気が流れかけたのを、あおいが変えた。明るい声で言う。
「彰尋くんは順調? 受験」
AO入試については伝えているので、今日で演技練習はしばらく止めて、まずは来月の入試に集中するつもりだと彰尋は説明した。
「不合格だったとしても、一般入試で木天蓼大の文学部を目指すよ」
その場合は、演じる側ではなく脚本を書く側に進むかもしれない。とはいえ芸術学部出身ではない俳優は日本に限らず世界中にいる。先のことはわからないだろう。いずれにせよ演劇の世界にいたい。その信念は変わらない。
「いいね。不屈だね」
がんばってとあおいは笑顔を向けた。
「不屈なんてもんじゃないよ。自分が唯一得意なものにしがみついているだけかもしれない。案外心が折れやすいし、俺……」
しまった弱音を吐いたかなと彰尋は思ったが、あおいの受け取り方はちがった。
「強いよね、彰尋くんは」
「俺が?」
「『オレサマ最強です』って威張るんじゃなくて、自分とちゃんと向き合ってるとわかるから。本当の強さって、そういうことだと思う」
「ありがとう。でも、それはあおいさんだって同じだ。むしろあおいさんの強さを、俺は見習っているように思うんだ」
「あら望外なるお褒めのお言葉ですこと、ロミオ様!」
あおいはやや甲高い声を出す。彰尋もあわせて、
「なんと優雅に躱(かわ)したりジュリエット!」
などと腹から声を出した。
ロミオとジュリエットは顔を見あわせ笑いあった。なお、このやりとりはロミジュリ本編にはない。
「おっと、今日で演技練習はしばらく休みなんだったね。妨害しちゃった?」
とんでもないと彰尋は両手をふって否定する。
「おかげで身が入りそうだよ。そうだ、もしあおいさんさえよければ、気分転換にもう少し付き合ってくれない? 声に出して読みたい台本いくつかがあってね、どれもファンタジーなんだけど、知らない世界に紛れ込んだ男の話や、子供たちの冒険もの。あるいは、ちょっと変わったお姫様のお話とか……。相手役を頼みたいんだ」
「私みたいな大根役者でいいの!?」
「そんなことないよ、さっきも思ったんだけど、あおいさんって俳優の素質あると思うんだ。声もしっかり出てるし。音読だけでいいからお願いしたいな」
たとえばこれ、と一冊の表紙を彰尋はめくるのだ。
「元気でお茶目なお姫様が、色んな出来事を経験して、やがて立派な統治者になるお話なんだけど……」
「元気でお茶目はまあ、カラ元気でいいならあてはまるとしても、私は立派な統治者ってガラじゃあないよ~」
尻込みするあおいに、きりりとした表情で彰尋は告げた。
「いいえ姫君、あなただからこそお願いしたいのです」
「……あ、もしかしてもう芝居に入ってる?」
「入ってる」
「しょうがないなぁ、もう~」
口調だけは不承不承ながら、楽しげにあおいは台本に顔を寄せた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年09月21日
参加申し込みの期限
2022年09月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年09月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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