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九月の姫君(プリンセス)たち
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長い人生、シフトチェンジをする時期はもちろん何度もあるだろう。
けれど高校三年生の九月というのは、特別な時期のひとつなのではないか。
つい先日、
鴻上 彰尋
はシフトレバーを入れたばかりだ。すなわち希望進路を確定したのだった。
ここで彰尋の進路希望票をあきらかにしておこう。
第一志望
木天蓼大学 芸術学部
第二志望
木天蓼大学 文学部
正直、芸術学部は普通科からの進路としては厳しいものがあるかもしれない。だが彰尋は役者になる夢をあきらめたくはなかった。このクラスでがんばりたいという想いもあり、転科することなくこのまま挑戦することにした。なお芸術学部の入試は総合型選抜――多少古くとも人口に膾炙した表現でいうところのAO入試を選んだ。現在の彰尋が芸術学部に合格できる可能性が一番高いのがAO入試だからだ。
すでに願書は提出した。一般的にどこの大学でもAO入試は〆切りが早く、来月には面接があるし、結果も十一月にはあきらかになる。
志望理由書はかなり時間をかけてじっくりと書いた。高校の成績表、これまでの活動記録や実績も送った。面接の日は小論文、さらにはプレゼン試験が課されるという。だが逆に言えば入試科目はそれだけである。ペーパーテストはない。ここまでの高校生活二年半、もっといえば彰尋がおくってきた十七年余の生涯、研鑽してきた表現力のすべてが判断されるのだ。
緊張がないといえば嘘になる。それどころか正直、緊張だらけである。何をしていても落ち着かないし、焦る。
焦ったところでどうすることもできないと頭のほうは理解はしていても、ハートのほうは納得していない。
――これから追い込みになる。
だから合格するまで、祖父の台本を使っての演技練習は完全に禁止にしなきゃな……。
本日は休日。今日が最後の練習日だと彰尋は決めていた。
空は薄曇りだ。雨の気配がないことだけはありがたい。
いつも練習に使っている公園に入り、ベンチに陣取ると重い鞄を開けた。
「でもやっぱり、彰尋くんは役者の道に進んだほうがいいのかもしれないね」
ふと脳裏に、かつて
七夜 あおい
が告げた言葉がよみがえった。あのときすでに自分は、進みたい道を決めていたかもしれない。けれども彼女の言葉が、意志を決定的なものにしたようにも思うのだ。
中身はパンパンに詰まっていた。愛着のある台本を色々と入れてきたのだ。すりきれて変色している表紙をベンチに積みあげた。もちろん全部を稽古するわけにはいかない。お守り代わりに持ってきただけだ。二三冊にしぼって残りは鞄に戻し、お気に入りのページ、どうしても自分の演技に納得できないページをチョイスしてめくる。何度も声に出して読む。
公園には人の姿はなかった。せいぜい猫がいるだけだ。
数少ない観客とはいえ手抜きはしたくない。彰尋は靴を脱ぎベンチに立って、ここをステージと思い定めて台本(ほん)を手にする。
現代劇も好きだしSF演劇も悪くない。だが選べる状況にあればつい、古典を手にしてしまうのはなぜだろう。彰尋が手にしたのはもっとも古い一冊だった。やはりシェイクスピアがいい。それもうんと古い翻訳がいい。時空をこえて生き残る、言霊の力を感じられるから。『テンペスト』あたりならば最近の訳でほぼ覚えてしまってはいたが、さらにスタンダードな作品の、百年以上前の訳を選んでいた。
「や、待てよ! あの窓から洩るゝ光明(あかり)は? あれは、東方(ひがし)、なればヂュリエットは太陽じゃ! ……ああ、昇(の)ぼれ、麗しい太陽よ、そして嫉妬(りんき)深かい月を殺せ、彼奴は腰元の卿(そもじ)の方が美しいのを恨(くや)しがって、あの通り、蒼ざめて居る。」
(※1)
しばしばシェイクスピアは大袈裟と言われるが、ならばいっそ古色蒼然、文語調にて演じるはいかがか。すらすらと台詞を読み、読むほどに興が乗ってくる。一番遠くて安い席であろうと、しっかりとわかるほどの身振りをまじえて演じた。
「今一度物言いうて下くだされ、天人(てんにん)どの! さうして高い處(ところ)に光輝いておゐやる姿は、驚き異(あやし)んで、後へ退がって、目を白うして見上げてゐる人間共の頭上(とうじょう)を、翼(はね)のある天の使(つかい)が、徐(しず)かに漂ふ雲に騎(の)って、虚空の中心(ただなか)を渡ってゐるやう!」
(※2)
すると応じる声があがった。
「おおロミオ、ロミオ! あなたはどうしてロミオなの!?」
舞台袖ならぬ木陰から、主演女優が歩み出る。
「どうかあなたの父も、家名も捨てて下さいな。さもなくば私への愛を誓ってくださるのなら、私もキャピュレットの名を捨てますわ」
(※3)
はっとして彰尋が目をやると、そこにいたのは誰あろう、
七夜 あおい
ではないか。
「……だったっけ、『ロミオとジュリエット』って」
照れくさげにあおいは舌を出した。
「ごめん、お邪魔だったかな。でも相手役が必要かと思って」
「あおいさん!」
どうしてここにと問う彰尋に、なんとなくねとあおいはこたえる。
「ここに来れば彰尋くんに会えるかな、って思って」
散歩の途中ということだ。このごろあまり話せてなかったし、とあおいは告げた。
「それにしてもずいぶん古めかしい訳なんだね? 私もちょっと参加していい?」
「喜んで」
彰尋はあおいに手を差し伸べた。
本当はバルコニーの場面であり、ジュリエットとロミオの位置関係が逆なのだが気にするまい。
※1、2 坪内逍遥訳
※3 桂木訳
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年09月21日
参加申し込みの期限
2022年09月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年09月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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