this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
九月の姫君(プリンセス)たち
<< もどる
1
…
16
17
18
19
20
つぎへ >>
教師と生徒の恋愛ってどう思います?
そう投げかけられた問いと、見なされたとしてもおかしくない話の糸口だった。なにせ若手独身男性教師から、若手独身男性教師への発言なのである。
発言者がウォルターでなければその通りだろう。
けれどもウォルターはそんな腹芸を好む人物ではない。いまの発言は、ウォルターが他意なくそのまま口にした知識だと柚春は確信していた。
同様に尚輝も、言葉の裏に隠された真意をさぐろうとする人物ではないのだ。たとえ露骨なあてこすりであったとしても、素直すぎるくらい素直に文面通りに受け取るのが尚輝なのだ。その点は時子が保証する。
「昔の人ではありますが」と尚輝は言った。「……きっと島崎藤村も悩まれたんでしょうね」
「人生を変えるほどの恋愛だったのでしょうね」
しみじみとウォルターも言った。
自分たちとは無関係の、単なる歴史的事実として話してる――!
やっぱりと思うと同時に、なんだかほっとする柚春である。ぱっと見では共通項のなさそうなウォルターと尚輝だが、どこか世俗から乖離しているという意味では相通じるものがあるのかもしれない。もちろんいいい意味でだ。いちいち隠された意味を探ったり、小事に汲々とすることのない彼らなのである。ひょっとしたらウォルターが尚輝に好意をあらわにしたのは、自身と似た匂いを彼に嗅ぎとったからかもしれない。
なのでウォルターもこの話に拘泥せず、あっさりと話を変えた。
「ところで先生、前に若杉先生から『すごい美人と歩いてた』って言われて、反射的に『うちの生徒じゃなくて?』と問い返してましたよね」
でしたっけと尚輝は言う。
「だって僕、島には生徒くらいしか知り合いがいないので……」
「でもその女性、生徒じゃないんでしょう?」
おや、と時子は思ったが、尚輝の回答はだいたい想像ができた。
時子の想像の通りだった。
「その人は今道(こんどう)さん、って言って、僕の大学院時代の先輩ですよ。たまたま寝子島に越してきたので」
なるほどやはり
今道 芽衣子
のことだった。最近会っていないが、芽衣子は元気にしているだろうか。
「いま若杉先生もいないんでコッソリ教えてくださいよ。その今道さんはもしかして五十先生の彼女なんですか?」
コッソリも何も当の尚輝を除いて四人が見守っている状況ではパブリックすぎる問いかけだが、問うウォルターも問われる尚輝も、そのあたりは気にしていない様子だ。
はははと尚輝がめずらしく声を上げて笑ったのは、やはり日本酒が回っているせいだろうか。
「とんでもない。今道さんは、僕なんか眼中にもないですよ」
時子は少し胸が痛んだ。芽衣子がかつて尚輝に抱いていた気持ちを知っているからだ。そればかりか時子はかつて、特殊な事情により
大学院時代の尚輝と芽衣子に会って
、彼らのすれ違いを目撃もしていた。
ふたつの小惑星が接近するかのように、尚輝と芽衣子がしばし近い距離にいたことは事実だ。でも小惑星同士の衝突は発生せず、いまではすでに、距離がひろがっていることも時子は知っている。おそらくこの距離は広がりこそすれ、縮まることはないだろう。矛盾した感情なのかもしれないが、願わくば友人同士として、彼らが一定の間隔にとどまってほしいとも時子は思っていた。
「って、僕ばかり話すのはバランスが悪いです。ウォルター先生もご自分の話をしてくださいよ」
やはり尚輝は酔っているのだろう。普段の彼からすれば大胆な会話のカードを切った。
「僕の?」
ウォルターはずるいのか、それともやっぱりナチュラルボーンなのか、まるっきり見当も付かないという顔をした。
「僕の何を知りたいんです?」
さすがに言い淀む(というかこういう返しを予想してなかった風の)尚輝にかわって、発言をしたのは柚春だった。黙って見るだけではいられなかった。
「恋愛観とか」
「ああ、それはいいですね。ではまず五十嵐先生から」
ひゃあ、と小さな声を尚輝は上げた。もとはといえば自分から話をふったはずなのに、ふたたびしどろもどろになって言う。
「いやそんな難しい話、僕にはわからないです……! 恋愛の知識も全然ないですから、僕」
「僕だって恋愛巧者じゃないですよ。むしろ苦手分野だと思います。過去、ガールフレンドがいなかったわけじゃないけれど、いつも逃げられるばかりでして。はは、どうもね、汲み取るのが下手なんでしょうね、僕は。相手の気持ちを」
ウォルターは飄然とした口調だったので冗談のようにも聞こえなくはないが、彼の目はふざけているようには見えなかった。
たぶん、本当のことだと……思う。
柚春は突然いたたまれなくなって、
「てっ、手を伸ばせば届きそうですね!」
これまでの会話から飛躍して、立ち上がって月に手を伸ばした。
「えっ?」
「ほら月が、とても綺麗だから」
ある意味賭けだった、複数科目を教えられるハイスペック教師、日本文学も知るウォルターであれば、"I love you.“を『月が綺麗ですね』と翻訳するセンスで、自分の発言の意味を読み取ってくれないかと柚春は考えたのだ。
通じたのだろうか、通じていないのだろうか。
ウォルターはふふと穏やかな笑み浮かべると、「そうだね、でも僕は」と杯を手にして告げた。
「つかみ取ってしまうよりも、手を伸ばさずに眺めていたいな」
杯を唇に運ぶ。そして酒の余韻を楽しむかのように、黙って目を閉じたのである。
――ウォルターさん。
もし私の気持ちが届いてたとしたら、ウォルターさんの返事は『まだその時ではない』という意味なの……?
それとも、『一線を越えるつもりはない』……?
でも自分の初めては、彼のために大切にとっておきたいと柚春は思う。
ここは控えておこう。
会話の輪にくわわるより、傾聴するにとどめたいと修は思った。
ウォルターと柚春、それに尚輝と時子……恋のかけひきが行われているのは自明だったからだ。そこに押っ取り刀で乗りこむほど自分は野暮ではない。
それよりも彼は、
「ほら、月にウサギ」
饅頭を持ち上げてあおいに見せることを選んだ。あおいとのかけひきを大事にしたかった。
「いい眺めだね、食べるのがもったいないよ」
あおいが気の利いたことを言う。でもそれだけじゃ物足りない修なのだ。
「かぐや姫もやってよ。月にかざしてみて」
「こう?」
あおいが掲げた姫の頬に、修のウサギが口づけた。
「きゃ、姫がウサギに食べられる!」
「ちがうちがう、これは『好き』のしるしさ」
茶目っ気のあるあおいの発想を楽しみつつも、もうちょっとロマンティストになってほしいなとも思う修だ。
調子にのって飲みすぎましたとウォルターは言った。曰く、目を閉じたのは寝落ちしそうになったからだという。
ウォルターは顔色が平素となにも変わらないので、この言葉が事実なのかはわからない。うとうとしているように見えるのは演技かもしれないし、本当なのかもしれない。そんなウォルターには柚春がつき添っている。
尚輝が安堵しているのが時子にはわかった。
「恋愛観とかいう話になったので焦りましたよ。僕には本当、難しすぎますから」
すでにお茶に切り替えて、団子を食べている尚輝だった。
ここでなお"I love you.“談義を引っ張るのは意地悪でしょうか……?
それでもせっかくの機会だし、尚輝先生にはまだお酒も残っているはずですし。
訊いてしまおうと時子は決めた。
「さっきのお話ですけど、先生なら何て訳しますか? "I love you.“を」
尚輝は別段嫌がることもなく、かといって照れるでもなくしばらく考えて、
「『大好きです』くらいですかね……。愛だとかいうのはオーバーだと思いますけど、かといって月どうこうという詩情もないので」
「尚輝先生らしい、素直でいい訳ですよね」
「まあ、"Moon is good.”の人間の言うことですからあまり信用しないほうがいいですよ」
らしくもなくそんなことを言って尚輝は時子を笑わせて、急にかしこまってつづけた。
「でも"love"って、本義的には恋愛に限定されないものでしょう? 相手が特定の人であるべきものでもない……なんて、思ったりもするのです、僕は。たとえばいま、この状況にだって僕は、"love"だと言いたいです……おかしいでしょうか?」
やはり酔っているのだろうか、今夜の尚輝はいつになく饒舌だ。
でも芯はかわらず優しい彼なのだった。いまならできると直感し、時子は彼の手に自分の手を重ねた。
「いいえ。おかしくなんてないです。……だって私も"love"ですから。こうしてここに、先生とすごせるひとときにいっぱいの"love"を感じてます」
時子の唇から和歌がまろび出た。
「いまはとて 天の羽衣 着る時ぞ 君をあはれと おもひいでぬる」
「どういう意味です?」
「竹取物語の一節です。意味は……」時子は人差し指をたて、自分の唇にあてた。「意味は、秘密です」
尚輝の手の温かさが、自分の手に伝わってくる。
忘れたくないぬくもりだ。
こうして彼の近くにいられる時間を、当たり前だなんて思わないようにしよう。
大切にしよう。
そう思う。
「……月の光は優しいですね」
時子は尚輝にささやいた。
<< もどる
1
…
16
17
18
19
20
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
九月の姫君(プリンセス)たち
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年09月21日
参加申し込みの期限
2022年09月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年09月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!