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九月の姫君(プリンセス)たち
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九夜山も中腹までさしかかると、夜空を薄めるコーヒーミルクのような灯も遠ざかった。
山を登るにつれ相対的に、星の輝きは増していく。金色の月の輪郭も。
今宵は月の縁がきわだっていた。境界はくっきりと明快で、まるで夜空という黒い布に、新しい型抜きで穴をあけたかのように見えた。
とうにロープウェイは終業していたから、一同はほぼ一列で山道を登っていた。先頭は
ウォルター・B
だ。
ウォルターの歩みは、足に翼でも生えているのかと言いたくなるほどに軽快で、他のメンバーもなんとかそのベースにあわせていたが、普段こういった活動をあまりしないせいか、
五十嵐 尚輝
にはにそうもいかないようだった。はあはあと荒い息をして、背後につく
御巫 時子
をしきりと心配させている。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です。大丈夫、運動不足なんでちょうどいいくらいで」
とは言うもののあきらかに楽そうには見えない。職場(学校)からそのまま出てきたのだろう。尚輝はワイシャツにネクタイ、白衣という扮装だった。革靴で来ているところも負担になっている様子だ。まったくもって山歩きには向かない。
尚輝よりは体力があるとはいえ、時子も歩きづらさを感じているのは事実だった。お月見ということで、ススキ柄の着物に草履をあわせているのだ。
ウォルターが事前に計画を明かさなかったせいもあるが、まさか山のぼりがあるとは思わなかった。知っていれば、もっと歩きやすい服装で来たことだろう。
といってもそもそも、事前の計画などあったのかどうか。どうやらウォルターは、天才特有のひらめきで九夜山を登ると決めたらしい。なもので彼もまた、職場から直行したようなスタイルなのだった。しかし袖を折っただけのオックスフォードシャツであろうと、ウォルターが着ていると颯爽としてさまになるし、ネクタイをはずしているのみにもかかわらず、オフィシャルからプライベートへの切り替えは完全完了で、議会を出てふらりとポロ観戦におとずれた若い貴族のとごくアクティブに見ばえする。襟を固定するボタンダウンも、まるで彼のために発明されたものであるかのようではないか。
「みんな、もうすぐだからねぇ」
振り返って笑う青い眼差しが、月光を浴びて狂おしいほどに美しい。
ウォルターさん――。
いつだって完璧に格好いいウォルターだが、今夜は一段と魅力的だと
稲積 柚春
は思う。けれども今日は、ウォルターにくっついて彼の魅力に酔い、彼を独り占めすることはできないだろう。なにせ『先生』としてのウォルター主催なのだから。お月見のあいだ自分は『生徒』のひとりであり、控え目にしておこうと柚春は決めている。でも、
вор……できると思う?
心のなかで柚春は、カプギアворに問いかけるのである。ворは背負ったバックパックの中だ。
この問いかけは今日はじめてのものではなかった。
家を出るときだって散々に迷ったものだ。集合場所にできるだけ早く、できれば一時間くらい前に着き、主催者ということもあって早めに来ているであろうウォルターと、何気なくも親密な時間をすごしたかった。先日温泉でわかちあった満月の眺望、その記憶についても語りあいたかったし、あのときの彼の気持ちをたしかめたかった。願いがかなうものならばさらにその前の記憶――触れあった唇の思い出も。
と、思考の森の迷路をさまよっていたせいか、
「着いたよ!」
ウォルターに急に声をかけられて、柚春は寝ているところに氷水入りバケツをぶちまけられたかのごとく仰天した。
「あ、はい! えっ……!?」
お湯に落とした形状記憶合金みたく直立し、柚春は自分のいる場所を確認する。
「うわあ」歓喜の声を上げたのは七夜あおいだ。「とっても綺麗ですね、先生っ!」
なんという絶好のロケーション、こんな場所が九夜山にあったとは。
山の斜面が急に開けて、平らな高台になっている。正面は海、終わりの見えぬ水平線に吸いこまれそう。視界を上げれば空には月だ。たなびく雲をしたがえて、大きく丸く輝いている。眼下にはススキが茂るも付近の草は丈が短く、まるでこの場所に敷物をひろげて月見を楽しんでほしいと言わんばかりなのだった。いわば野外ステージだ。観てもらうためではなく、最良の月を見るための。
「これはいいね」
八神修もあおいに同意して、集まった面々を見まわした。
ウォルターと尚輝の両教諭、柚春はウォルターに誘われてきたようで、時子はやはり尚輝から声がかったのだろうか。あとは自分とあおい、以上がすべてだ。わずか六人、男女半々である。もっとたくさんの参加者があるかと思っていたが、案外少ないなと修は思った。
相原 まゆ
あたり、当たり前のようにいるのではと予想していたのだ。しかし桜の季節の花見ならまだしも、目的は中秋の名月を眺めることだ。ワイワイガヤガヤと集団で楽しむよりは、この程度の人数でこじんまり、静かに眺めを味わうほうがずっと適切に思えた。
「前に山歩きしていて見つけたんです。うわー、ここって月見に最適だぞ、って」
ウォルターは尚輝に言いながら、てきぱきと筵(むしろ)を広げはじめた。手伝いますと言って柚春がそのはじを持つ。新品の筵にちがいない。すうっと胸がすくような、い草の青い香りがたちこめた。
柚春は香りを吸いこむ。香りのイメージはお年寄りのいる仏間のようで、肩の筋肉をほぐすようなやわらかい匂いだった。
それにしてもウォルターのタフさにはあらためて驚かずにはいられない。彼はこの筵はもちろんのこと、ドリンク類がぎっしり入ったクーラーボックスまでかついでここまできたたのだ。持ちましょうかと柚春が問うても、お気遣いありがとうとしか言わずに運びつづけた。なのに飛ぶような歩調で、到着してもけろりとしている。その場に座りこみゼエゼエ言っている五十嵐先生とさして歳もかわらないだろうにこの差はなんなのだろう。
楽な道のりではなかったとはいえ、この場所が絶好のお月見ポイントであることは時子にもわかった。
「尚輝先生?」
呼びかけると、尚輝も靴を脱ぎ筵のすみっこに正座して、
「意外と大変でしたが……来た甲斐がありました」
と穏やかな口元をしている。楽ではなかったはずだが、それでも来てよかったと言いたげな表情だ。それを聞いて、
「でしょう?」
ウォルターも正座して尚輝ににじり寄った。
「五十嵐先生に喜んでほしくて、僕は今日のお月見をセッティングしたんですから」
「僕に、ですか?」
「そうです」
長く水栽培していたチューリップの球根が、ようやく花を咲かせたかのようにウォルターは笑む。
「このところ五十嵐先生、いろいろ悩んでいらっしゃるでしょう?」
えっ、と尚輝が正座したまま、キリンみたく首を伸ばしたのがわかった。
「ぼ、僕が……悩んで……いるように見えますか?」
「ちがいます?」
ウォルターがさらににじり寄る。半分以上笑っているし親しみやすいいつものウォルターだが――柚春にはわかった――あと半分の彼は真剣だ。
どうしよう。
時子は下唇を噛(か)んだ。もし尚輝が困っているのなら、なんとか助け船を出したい時子だった。先日の大富豪のときも思ったが、ウォルター先生は尚輝先生に、もう一歩近づきたいように見える。いっぽうで尚輝先生は彼を拒絶するつもりではなさそうだが、それでも彼のような人間を見たことがないゆえか、踏みだすことに戸惑っているように見えた。
「えっと、その……悩みがある、ってわけではないと思います」
尚輝が応じた。でもこれは彼の癖だ。焦ったとき特有の走るような早口……時子は知っている。
どう動けばいいのかわからず、尚輝とウォルター、ふたりの動きを柚春は見守るほかなかった。
ウォルターさんが五十嵐先生に興味を抱いている――そこまでは柚春も理解できた。
でもそれは、親が子どもに注目するほどの熱意ではない。
かといって、化学者が観察対象を見守るときのような冷徹なまなざしでもない。
強いて言えば、水苔(みずごけ)だらけの池に石を投げて、どんな波紋が生まれるかじっと見ている子どものような。
前も思ったがウォルターと尚輝というのは奇妙な組み合わせだ。以前飲み会をしたこともあるという話は聞いたが、たとえば彼らが高校で同じクラスだったとしても、友達同士になったとは思えない。寝子高教師という職業選択がたまたま同じになったからゆえの出逢いでありこの場所のはずだ。
でもウォルター先生は、尚輝先生と仲良くしたいように見えます――。
あのトランプ遊び(大富豪)の夕べがきっかけなのだろうか。
そのこと自体は評価したい時子である。ウォルターと尚輝、このふたりの共通の話題はなんだろう。
ひょっとしたら、恋愛の話などされるんでしょうか……?
なぜなのか胸がドキドキする。
「五十嵐先生の、好きな女性のタイプはどんな方ですか?」
「ええと……黒髪で古風で、和服の似合う人が……」
なんてやりとりがあったりしないだろうか。さすがに期待しすぎか。
ともあれ月見の準備をしたほうがいいだろう。
「みたらし団子を作ってきました」
時子は持参した重箱の包みをとく。つやつやとして甘そうな串団子だ。焼き目もそろっていて美しい。参加人数がわからないので多めに用意したものだった。じゅうぶんに行き渡るだろう。
「それと、お酒に合うおつまみとして里芋のコロッケも」
「気がきくねぇ」
待ってましたとばかりにウォルターが声を上げた。お酒に合うというチョイスは正解だったようだ。彼のひらいたクーラーボックスから、日本酒の一升瓶が顔を出したのである。
「うわっ、こんな大きいのよく運びましたね」
尚輝が驚くもウォルターは平然と「ええ」と彼に、やはりクーラーボックスで冷やしたガラスの杯を渡した。
「五十嵐先生と飲みたくて」
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年09月21日
参加申し込みの期限
2022年09月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年09月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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