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九月の姫君(プリンセス)たち
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耳が長いのはウサギであるが、耳が早いのは
八神 修
なのである。
すでに二学期でありそろそろ現役引退が迫っているとはいえ、それでも修は新聞部の部長、情報網は広い上に精度が高い。情報感度力の高さなら、ウサギの耳にだって負けてはいないだろう。
不審な物音をキャッチしたウサギはそれこそ、電光石灰で姿を消すものだが、耳よりな情報をキャッチした修の場合、呼吸するかのように当然に七夜あおいのことを思い浮かべる。
このとき修が仕入れた情報は、ウォルター先生や五十嵐先生が、ちかぢか月見をするという内容だった。数人の生徒も誘っているという。行き先は秘密なのか未定なのか、まだ明確ではないものの、九夜山方面を考えているとのことだった。
先日は海から月を観賞したものだが……。
あおいと浴びた月あかりを、銀色の雨みたいな明るさを、修は思い出していた。
今度は山からだな。
海山の両面から見て月見が完了という話ではなかろうが、場所が変われば気分も変わる。シチュエーションの変化も味わってみたい。期待もふくらむというものだ。
なのでさっそく修はウォルターに話をつけた。どこから聞きつけたんだ? と驚きつつもウォルターは、修の参加を歓迎すると言ったのだった。このときウォルターに、
「あとひとり参加予定ですが」
いいですか? と修はあおいの名を告げた。
実はまだあおいの参加意向を確認はしていない。外堀を埋めるという話ではないけれど、まずお膳立てをそろえ確定情報をそろえたのち、おもむろに誘うほうが修の好みだった。先日の沖縄旅行では、この順序を守らなかったがゆえにあおいをうまく連れ出せず、一人旅になったのだと修は考えている。
ウォルターの了承を得てあおいに話を持っていったのだが、
「願書、あと一枚仕上げないといけないんだけど……」
最初あおいは難色を示した。あおいは現在、看護医療系ないし社会福祉系の専門学校を複数受験する準備をしており、いそいそと願書を作成しているのだという。修には意外な話だった。専門学校に入試があるとは知らなかった。
「あおいならどこでも入れるんじゃないか」
「そんなことないよ。学校推薦だと倍率高いし……」
「そういうものなのか」
「修くんの受験に比べれば、ずっと低いとは思うけどね」
修の目指す医学部が、狭き門なのは周知の事実だ。今年度の入試もありえないくらいの倍率と、熾烈な競争が予想されている。とはいえ修は合格できる自信を得つつあった。模試の結果は常に合格圏内だったし、三年かけて計画的に進めた受験計画も着々とこなしていたからだ。それに修は立場的にも有利なのだ。男子であり現役生だからだ。最近問題になったとはいえ、女子と浪人生に不利に働くバイアスが、医学部入試にはなおも存在していることは否定できない。世に不平等が存在することを認めるのに申し訳ない気持ちもあるが、平等な社会など実現しないのだから甘受するほかないというのが修の考えだ。いつかは自分にとっても、国籍やら出身地やら出身校やらで、不公平な試練が訪れるかもしれないのだから。
「推薦だと受験費用が安くなるし、入学料とか学費が一部減免になる学校もあるんだよ」
「なるほど」
学校推薦という枠を用意してもらってなお、専門学校にも競争は存在するのだという。いやむしろ、競争があるのは推薦にともなう学費減免などのアドバンテージのせいかもしれない。
「だったら願書、俺が作成を手伝うよ。一緒に作ろう」
これでもジャーナリストだ、任せてほしいと修が言うと、それはズルだよとあおいは首をふった。
「どうせ作るならお菓子のほうがいいな」
いい流れだ、修は即座に提案する。
「なら、月見に持っていく和スイーツを作るというのはどうかな? たとえばウサギをモチーフにして」
「ウサギ、かわいかったよね」
あおいの表情がゆるんだ。
先日の月見の思い出話だ。これも交渉術であろう。うまく修は話を運んで、放課後にあおいと月見に行く前に桜花寮のキッチンで協力してスイーツを作成することになったのである。
月見は今宵なので、のんびりとはしていられない。
修はおあいと桜花寮の厨房に入ると、さっそくエプロンを巻き準備に入った。
「上用饅頭(じょうようまんじゅう)を作ろうと思う」
「上用饅頭?」
教育番組のアシスタントなみのオウム返しをするあおいである。修はほほえみかける。
「和菓子の饅頭だな。すりおろした大和芋や山芋と米粉の皮で、あんを包んで蒸して作る。シンプルこのうえないんだけど、それだけに技量やセンスが問われるとも言えるね」
「できるかなあ……」
さっそく不安げな顔になるおあいに「下調べなら充分してきたから安心して」と修は請け負った。ネットで調べた情報を集めプリントアウトした上質紙を、それも防水のパウチ加工したものをさしだす。材料に手順、注意事項やできあがりイメージまで、ぎゅっと凝縮させた修の独自編集マニュアルだ。
「はい、この通り」
「いつの間に……!」
目を丸くするあおいを煙に巻くように、「さあはじめよう」と修は手を打った。
用意したのは山芋だ。手がかゆくならないようビニール手袋をはめ、皮を剥いて丁寧におろす。そこから米粉や砂糖などの材料と混ぜてひたすらに捏(こ)ねていった。
「うわー、手際がいいねえ。修くんって何でもできるなあ」
ぎこちない手つきのあおいの作業能率は、修の半分もないだろう。だからといって鼻を高くする修ではない。
「いや、こう見えて緊張をおぼえているよ。誤魔化しがきかない作業だし……問題集のようにはいかないね」
「それで緊張しているんなら私なんて火だるまだよ」
力が入りすぎているのか、こねた材料がはね、あおいは鼻の頭を白くしている。
時間短縮のため中身となる餡(あん)は高級な完成品を買っていた。餡を加えて丸くして、クッキングシートにならべていく。
きれいな球形なのは全部修が作ったものだ。その半分以下しかないのにいびつなのは、あおい苦心の作である。それでもそろうと壮観だった。数はわずかだが食紅で桃色にした饅頭も作った。
蒸し上がるのを待ちながら、日本茶をいれしばし休憩だ。
「白いおまんじゅうがウサギさんなのはわかるけど……ピンクのは?」
「かぐや姫のイメージだよ。元祖ムーンプリンセス。月と言えば、ってことだな」
「なあるほど、かぐや姫ね」
ちっちゃいころあこがれたなー、とあおいは目を細めた。基本現実志向の彼女だが、もちろん夢見る少女時代もあったということだ。
「あおいに似合いそうだな、十二単(ひとえ)」
「あはは、着たらたぶん重くて歩けないよ」
もし、あおいがかぐや姫だったとしたら――と修は言う。
「俺なら、もらった不老不死の薬を使うな」
「不老不死の薬なんて出てきたっけ?」
竹取物語についてあおいはうろ覚えらしい。なので修は注釈を入れた。
「竹取物語のラストでは、姫と帝(みかど)のやりとりが描かれる。月の衣を羽織ったら想いは隠されてしまう……だから、追って来て衣を取ってほしいという願いを歌にして手紙に宿し、姫は帝に薬を差し出すんだ。月世界への去りぎわにね。だけど帝はもう姫に会えないと絶望して、薬も手紙も焼くよう家臣に命じてしまった」
俺が帝なら迷わず不老不死になるよと修は言うのだ。
「そうして知恵を蓄え力をつけ、どれだけ時間がかかろうとも月に行く」
「ロケットを作るとか?」
「そうだね。ロケットでもスペースシャトルでも何でも。時間があれば絶対できるから。でも劇中の帝はあっさりあきらめた。あのエピローグは男として残念だったんだ。俺なら月を目指すのに……ってね」
「ロマンティストなんだね」
「そうだね。いささかセンチメンタルかもしれないけれど」
タイマーが鳴った。饅頭が蒸し上がったのである。
ほかほか湯気をあげる白い丸に紅い丸、いびつな丸も含めてすべて、ふっくらと美味しそうな姿である。
「さあ、うさぎに変身させるぞ」
ここでも修は器用だ。色素をつかって白い饅頭には目を、熱した金串で長い耳を描きいれる。
「かわいい」
「そうかい? あおいもやってごらんよ」
かぐや姫も仕上げよう。目口を入れて桜花の塩漬けをさす。するとたちま小さくて、丸くてキュートな姫が生まれた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年09月21日
参加申し込みの期限
2022年09月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年09月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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