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九月の姫君(プリンセス)たち
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ラッセルが最初に見たのは自分の爪先だった。靴を履いている。
変身が解けたらしい。
体は軽かった。地面に触れている感覚はない。危惧した痛みもないのだった。
何気なく顔を上に向け、ラッセルはそこに晴月の顔を見た。ほほえんでいる。
「気がついた?」
おいおい、俺……。
状況が理解できた。
お姫様抱っこ、
されてる
ぞーっ!
抱っこ
する
のではなく!
頬をなでるのは晴月のワンピースとはためく髪、背中と膝には彼女の腕の感触、抱かれたまますーっと下降していることも理解していた。映画のスーパーヒーローがヒロインを救出した場面を思い出す。ただしヒロインは自分なのだが。
音を立てず物陰に晴月は着地する。気恥ずかしくなり大至急ラッセルは地面に両足を落とした。
「ラッセル、久しぶり」
「わかるのか俺のこと?」
「うん。『鳥の人』!」
晴月は満面の笑顔だ。
前に会ったとき、ラッセルは梟の姿だった。今回は最初カナリアでいまは人間だ。けれど晴月には関係がないらしい。
「それでわかったよ」
と晴月はラッセルのネックレス、金の鍵を指さした。
「なるほど。鍵が目印だな。うん」
晴月がラッセルに気づいたのも、鍵が太陽を反射したおかげだという。おかげで命拾いしたわけだ。風は収まったようだ。
「ま、これが俺、桜井ラッセルの本当の姿だ。改めましてよろしくな!」
割といけてるだろ、と軽い口調で言うと、
「うん、ハンサム! 若い頃のジュード・フェニックスみたい!」
往年の美形俳優の名前がさらりと出てきて、さすがにそれは褒めすぎだろうと照れるラッセルである。
「それはそうとだなー」
警察署からは死角の位置なのを幸い、晴月の手を引いてラッセルは惨禍の跡を示した。
「お茶目のつもりだったのかもしんねーけど、あれはさすがにやりすぎだぞ」
「お茶目? お茶目ってなに?」
俳優は知っていても簡単な言葉は知らない。やはり晴月の知識には相当な偏りがあるようだ。
「遊び……ないしおふざけだな。おじさんのカツラを飛ばすくらいならわからないでもないが、あそこまでいくとやりすぎだ」
すると晴月は頬を膨らませる。
「遊びちがう! わたし、仕事してたよ! えーと、シャカイ……そう、シャカイセイギの仕事!」
「社会正義!?」
どこでこんな言葉を覚えたのか。
「そう、あそこ悪い人たちの基地、だからいたずらしてこらしめてるの」
「ちょ……!」
ラッセルは面食らう。
「逆逆! アレは警察! 正義のお仕事をしてるえらい人たちの居場所なんだ」
「えっ、でも……」
「誰に何を聞いたのかしらないけどそれ嘘だから! あんなことして下手したら牢屋行きだぞ! 閉じ込められちまうんだぞーっ!」
脅しすぎかと思ったけれど、本当のことゆえ仕方ない。晴月は子どもみたいなものなので、危ないことは危ない、悪いものは悪いとしっかり教え導くべきだとラッセルは考えた。
効果はてきめんだったと言えよう。
「プリズンはイヤ! 閉じ込められるのイヤアアアアアアアアアー!」
晴月は両耳をふさぎロケット花火のごとく、悲鳴をあげ空へ飛んでいったのだ。
「待ってくれ怖がらせるつもりじゃない。戻ってきてくれよ!」
とっさにラッセルは声を上げたが、晴月に届いたかはわからない。
なぜなら晴月の姿はたちまち見えなくなってしまったからだ。
「せっかく会えたのに……どうせなら、どっか遊びに行こうとでも思ってたのに……」
晴月言うところのハンサム顔を、みるみる曇らせるラッセルである。
◇ ◇ ◇
――さてと。
何があったのかいつの間にか暴風は収まっていた。カトーにあわせて晴月も退散したのだろうか。
しばらく待って、カトー(これは勘なのだがどうも偽名のような気がする)なる男に戻る様子がないことを確認すると、地縛霊五十鈴は警察署内に戻ることにした。トンネルに戻るには、飛ばされた場所にいることが必要……という気がしたからだ。
署内は案の定、台風一過という状態だった。電気も復旧したようで、散らばった書類や倒れた机などを、署員が手分けして片付けている。何があったのか誰も理解できていないようだ。
なんか私の知ってるのとちがうなー。
飲料の自動販売機を見つけた。五十鈴の時代の自販機は、もっと無骨でゴツゴツしていたイメージだった。でも現代のはずいぶんとすっきりしたデザインだ。半透明のパーツが多くて丸みを帯びている。種類も多くてデザインも明るい。飲料の値段は上がってはいるものの、極端に値上がりしているわけではなかったのも意外だった。小学校中学校のころは、物価なんてとどめなく上昇するものと思っていたのだが。
見知ったブランドのサイダーがあった。缶のサイズが大きい。最近はこういうのが主流なのだろうか。
買いたいけど……幽霊はお金がないのよね。
自販機に手をついて、名残惜しげにボタンを押す。もちろん実際に操作はできないが、こうやっているだけでも在りし日の感覚がよみがえってくるようで、ちょっと楽しく、同時に切ない。
「うん?」
こちらを見て口を半開きにしている男性がいる。
おっきくて白い眉毛のおじいちゃん?
体格がよくて髪も真っ白で、おまけにぶかぶかの背広なんか着ているものだから大型犬みたいだ。
そのおじいちゃんが言った。
「ま……まさか、すず姉!?」
見えるの? と訊き返すより早く、五十鈴の口をついたのはこの言葉だった。
「その呼び方……亀ちゃん? 亀二郎君!?」
吐前 亀二郎
、よく覚えている。五十鈴がこうなる前、近所に住んでいた坊やの名前だ。同学年の男子よりずっと大柄だったのに、気が弱くて泣き虫で、いじめられたり仲間はずれにされたりして、ベソをかきながらとぼとぼ歩いている彼の姿を何度も見てきた。見かけるたび五十鈴は、お菓子やジュースを買ってあげたりしてなぐさめてあげたものだ。
どうしてここにと問う亀二郎に、どうしてでしょうと五十鈴は笑った。
亀二郎の目線が足元に向くのがわかった。
五十鈴の膝から下はおぼろげになっており、とりわけ足首から下は完全に消失していることに気づいたのだろう。
お供えと同じだ。生者から与えられた食物は、霊体も賞味することが可能である。
だからいま、テーブルに乗っているサイダーを、霊体化させて五十鈴は口にしていた。
「そっかぁ」
もう一口する。
ラベルデザインが変わっても、スチール缶がアルミ缶になって量が増えても、サイダーのおいしさは変わらない。そりゃあまあ細かなテイストは当時と異なるかもしれないが、炭酸のはじける感じ、鼻を抜けるさわやかな香り、五十鈴にとっては全部がとっておきのごちそうだ。
「泣き虫亀ちゃんが、定年過ぎても刑事さんねえ」
「自分でも信じられないよ……まあ、なんとかなるもんだねえ」
はいー、と亀二郎は顔をクシャクシャにした。ずいぶん老けたが、笑顔はたしかに彼のものだった。
傍目からは、休憩所のテーブルにサイダーの缶をふたつ置いた亀二郎が、正面の空席にむかって独り言をつぶやいているように見えることだろう。しかし署内はそれどころではない状態だったので、誰もこの不思議な光景に気がつかなかった。
「でも、亀ちゃんお墓の前で言ってくれたっけ……『優しくて綺麗で、ときには叱ってくれた、自分にとって、高嶺の花のお姫様だったすず姉を殺した奴は、オレが絶対に捕まえる』って」
照れたのか亀二郎はばりばりと頭をかいた。顔が真っ赤だ。亀二郎の進路を決定づけたのは、ほかならぬ五十鈴だったのである。
「でも亀ちゃんが捕まえるより先に、うちの両親、心を病んで壊れて……自首しちゃったけどね」
「うん……」
そうだったねと亀二郎は言葉少なに言うのである。五十鈴の悲劇の真相に、心を痛めているようだった。
「でもその志を胸に、長い間街の平和を守ってくれて、私は誇らしいぞ。……なーんてね」
五十鈴は笑った。
ありがとう、と亀二郎は告げて顔を上げた。
繰り返す。
「……ありがとう、すず姉」
正面の席にはもう、誰も座っていなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年09月21日
参加申し込みの期限
2022年09月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年09月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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