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\ オーバータイム!/
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運命の鏡を覗いたら
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◆
大田原 いいな
+
リュウ さん
、
イザ さん
の場合。
運命の人を知るために必要なのは、リンゴ、ろうそく。そして運命の鏡。
「りんご、持った……ロウソク、準備OK……」
忘れ物がないか、もう何度目かわからないほどチェックするいいなの姿に、イザは難しい顔をする。
「リュウくん、どう思います? あれ」
「んー?」
対してリュウは、まるっきり意識していなかったのが丸わかりの生返事で応じると、とりあえずイザの見ているほうに視線を向けて、やはり興味がない様子で「ああ」と頷いた。
「まあ、そうだな、いいなはコートの持ち主に会いたいんだろうな」
「それはわかります。そうじゃなくて。夜中に年頃の娘が一人で出歩くのは関心しないっていうんです」
イザはぬいぐるみの付喪神なのだが、いいなの父親の意識も多少混じっているせいか、発想がしばしば娘を思う父親寄りになる。
なるほど、と納得はするが。
「だからって俺たちにどうにかできることじゃないだろ。止めに出るわけにもいかないし」
「ええ。ですから、こうするんです」
いいなが持ち物確認でかばんを覗き込んでいるうちに、イザは椅子の背に掛けられていたコートのポケットにごそごそもぐり込んだ。
「あ、おい」
「リュウさん、さあ早く。今のうちですよー」
いいなの様子をうかがいつつ手招きするイザは、リュウも行くものと思い込んで疑っていない。
リュウは、はーっと息を吐き出し、イザの隣にもぐり込んだ。
「先に言っとくが、俺ぁ何もしねーぞ」
歩くいいなに合わせて揺れるポケットの内側で、こそこそ話す。
「ついてくだけだ」
「ええ。何もなければいいんですよ。でも、なんかアレがソレしてナニってる感じがするんですよねー。
ほら、その証拠に、なんだか産毛が逆立っているような気がするでしょう?」
「ぬいぐるみの俺たちに産毛なんかねえよ」
「気分ですよ、気分。
あのですねー、呑気に構えてる場合じゃぁないんですよー、ほんとに。サウィンって、日本語で無理矢理言うなら『逢魔時』なんですよー。『たそ彼』ってやつなんですよームガ」
「何でもいいからそろそろ黙れ、ボンクラ。いいなにばれる」
「大丈夫ですよー」
ぷはっと口からリュウの手を引きはがし、イザはポケット口からひょこっと頭を出していいなの様子をうかがった。館の中は想像していた以上に真っ暗で、西側の廊下なのか窓からも全然月の光が入っていなくて、いいなの持つ懐中電灯だけが唯一の明かりだ。
思ったとおりいいなは鏡を探すことに集中するあまり自身のことが疎かになっていて、ポケットのイザやリュウの存在に気付く気配はない。
しかしそれはそれで、そんなに彼に会いたいのかと思うと、イザとしてはどうにも複雑な気持ちになるざるを得ない。
(もう少しおとーさんの娘でいてくれないでしょうか……。おとーさんは寂しいです)
年頃の娘を持つ父親は、みんなこんな気持ちになるのだろうか。イザは少ししょぼくれた気持ちでポケットの中へと戻った。
ガタン、とすぐ近くで音がして、いいなは跳び上がりそうになった。
きゅっと心臓が縮む。
「だれっ!?」
思い切って音のしたほうへ明かりを向けると、開いた窓が風で壁に当たっているのが浮かび上がった。なんてことない。風の仕業だ。
「なんだ、風か」
ふうっと詰めていた息を吐き出して緊張を解き、再び歩き出す。
わかっていたことだけど、すごく怖かった。だってここの屋敷にはもう一ついわれがあって、人を襲う化物がいるかもしれないのだ。
できる限り早く危険を察知できるように、どんな小さな音も聞き逃すまいと集中してそばだてた耳には、静寂すらも痛い。
いつ化物に襲われるかもしれない、危険な行為。そうと知りながら、それでも前へ進むのは、あの人に会えるかもしれないとの思いからだ。
『サウィンの夜に林檎と蝋燭を手に鏡へ向かうと運命の人が見える』
運命の人、というのは実は結構曖昧だ。必ずしもそれは「愛する人」に限った話ではなくて、単純に、自分の人生に深く関わった人、を意味することもある。
いいなの場合もそれだった。彼女はコートの貸し主を、『自分の運命を変えてくれた人』だと思っている。
あの人が口にした言葉は今も一言一句思い出せる。
『性別は気にするな。いいなであることには、変わりはない』
たいした言葉じゃないと、他の人なら思うかもしれない。だけどあの時のいいなにはとても必要な言葉で……。どれほど支えになったかわからない。
そしてそれは今も変わらなくて。
だからこそかもしれない。
(やっぱり、会いたいときに会えないのは寂しいよ)
やりたいことがあって、寝子島から離れたのはわかってる。大切なことがあるのはいいなも同じ。だからそのことを責める気持ちはない。
だけど会いたかった。せめて一目見るだけでもいいから、その姿を見たい。
たとえそれが偽物でも。
「ここが最後ね」
近い部屋から覗いていって、結局廊下の一番奥の部屋まで来てしまった。ここでなかったらこれまでの全部無駄で、別の階へ行って、また一からやり直しになる。
祈るような気持ちで開けた部屋は寝室で。大きなベッドの足元の壁に、鏡がかかっていた。
どこにでもある普通の鏡だけれど、きっとこれだと直感する。
「やっと見つけた、鏡。あなたを探してここまで来たんだ。
だからどうか彼の姿を見せて……お願い……!」
かばんから取り出したろうそくに火をつけ、祈るような気持ちでろうそくを手にリンゴをかじる。
ぎゅっとつぶった目を、そろそろと開けたときだ。
鏡に映った自分の姿が湖面のように揺らいで、別人に変わった。ああ、あの人だと思ったのもつかの間。思いがけず、ぐいっとコートの裾が引っ張られた。結構強く。
「……っ!?」
思わずそっくり返りそうになって驚くと同時に、上下逆さになった視界に目つきの悪い小さな子どもの姿が入る。
(えっ? こんな場所に子ども?)
そう思った次の瞬間。何かが顔の上をななめ上に走った。もしコートを引っ張られていなかったらその何かはいいなの頭に当たっていただろう。暗くて姿は見えなかったけれど、風とツンと鼻腔を突く異臭を感じて、いいなは目を瞠る。
「今のは……」
何かが向かった先に視線を巡らせたとき。
「見るんじゃない! いいな!!」
足元から叱りつける子どもの声がして、いいなはびくっと首を竦めた。
視線を下に向けると、さっき見た小さな子どもがやはりコートの裾を握って、怒り顔で見上げてきている。
「え? うそ? 子ども?」
こんな時間に、廃屋に? いつから後ろに? もしかして気付かなかっただけで、最初からこの部屋にいたとか?
混乱しているいいなのコートの裾を、リュウは「いいから早く! この部屋から出ろ!」と再度強く引っ張る。
「リュウさん、あそこです!」
別の所から声がして、子どもがもう1人いることに気付いた。
もう1人の子どもは、あれ、と上を向いてどこかを指さしている。その先、壁と天井が接する辺りに何かがいた。縮めた手足で壁にしがみついているらしい。闇の中、丸い背中のような影が見える。頭部がこちらを向いて、
赤い2つの光が灯った。シャーっという猫の威嚇に似た声を出いていたが、絶対に猫ではない。
「やばそうですよ。急いだほうがいいです」
「わーってる! いいからボンクラ、その口閉じて、黙れ。刺激すんじゃねえ。振り返らず、ゆっくり戸口まで下がれ」
「下がって、どうするんです?」
「あとは後ろを見ないで突っ走れ!
ほら! てめーもだ!」
尻を蹴っ飛ばしかねない声にせき立てられるようにして、いいなは廊下に出た。
さっきから全然、全く、何が起きているのか見当もつかなかったが、とりあえず、鏡から化物が出てきたというのだけはわかる。だから逃げるのだと。しかし暗かった。ろうそくは最初の衝撃で手からこぼれていた。あの何かがかすめていった際に起きた風で火は吹き消された。だから火事になることはないというのはよかったが、明かりのない廊下は目を凝らしてかろうじて壁と床がわかるくらいだ。
「そうだ、懐中電灯」
かばんにしまったはず、とかばんを探ると、部屋を出ろと言った本人が、まだ部屋の中にいることに気付いた。さっき立っていた場所そのままで、一歩も動いていない。
「どうしたの! 逃げるんでしょ!」
「いいから。おまえらは先行ってろ」
振り向かず、リュウは応えた。
彼は壁にしがみついた影を凝視している。影はゆっくりと縮めていた手足を伸ばして床に降りた。おそろしく長い手足で、頭が天井に当たるため首を曲げないといけないようだった。
だらりと落ちた手が床をこする。
「ふん。もうかなり崩れてきてるじゃないか。やはり似せ続けるのは難しいか。化物の身で、ずいぶん頑張ったようだが、禍々しさは消せてなかったからな。せいぜいが30点というとこだ」
「だめ! 危ない!」
子どもを残して逃げられるはずがない。戻ろうとするいいなの気配を感じ取ったリュウが叫ぶ。
「イザヤ、下がらせろ!」
「はいはいー」
優しくいいなを押し戻そうとするイザ。
その間もリュウの手は素早く動いて、懐に隠し持っていた酸素系と塩素系の洗剤2液のふたをキュポンと抜き、近づく化物目がけてぶち撒けた。
「『家事判定』、爆破だ!」
「あ、いいものみっけ。リュウくんパス!」
「おう。
オラよ、受け取れ!」
イザがパスしてきたスツールを、右から左へ受け流すようにぶん投げる。遠心力のおまけまで付いたそれがとどめとなって、化物は悲鳴を上げながら霧となって鏡の向こうに消えていった。
「終わった、の……」
いいなは脱力し、ぺたりとその場へ尻もちをつく。そしてあらためて、謎の2人の子どもたちを見た。
「大丈夫ですか、いいな」
身をかがめ、気遣うように覗き込んでくる、優しげな男の子と、そしてまた何か出てこないか見張るように鏡を見ている目つきの悪い男の子。
「怖かったですか。もう大丈夫ですよー。リュウさんが追い払ってくれましたからねー」
「えっ? ……あ。えーと。その……、ありがとう、助けてくれて。
それで……誰なの? あなたたち」
問われて、イザは少し困ったように視線を宙に泳がせる。そんなイザの姿にリュウはチッと舌打ち。
「ま、バレるわな、そりゃぁ」
とつぶやいた。
それを了承ととったか。イザは人好きのする笑顔をいいなに向けて、彼女を立たせると自己紹介をした。
「僕たちは誰かって? 僕たちはあなたのぬいぐるみです。僕たちはヒトに化けられる付喪神なんです」
えへっと照れ笑う。
「僕の方がイザさん、彼がリュウさん、ですよ」
「ああそうだ、俺がぬいぐるみの『リュウさん』だ」
それを聞いた瞬間。
いいなは両手を伸ばしてリュウに飛びつき、しがみついた。
「うわぁあああん、会いたかった、会いたかったよぉ……!」
「ちなみに身長差があまり無いのは、元々のぬいぐるみに身長差がないことから由来してまして――ってガン無視?!」
がびーん、とショックを受けるイザだったが、それも仕方のないことだと彼もわかっていた。リュウにしがみついてわんわん泣いているいいなの姿に、ふうと息をついて、すぐにっこにっこ笑顔になる。
しかしリュウは違った。
「おいコラ。力抜け。そんなにしがみつくな。痛いだろーが!」
ぎゅうーーーっと力いっぱい抱き締めてくるいいなに必死になって言うが、それをいいなが耳に入れている様子がないと知ると、両肩をもぞもぞ動かしてなんとかいいなの腕の下から右腕だけ引き抜き、自由になった手でいいなの頭をなでた。
「ほら。もう泣きやめ。耳元で叫ばれると耳が痛い」
「う、うん……うん。ごめんね……ごめんなさい……」
ひっくひっくとしゃくり上げながら、いいなはようやくリュウから手を放した。
でも離れがたくて、彼の服の端を握っている。
それを見下ろし、リュウは言った。
「あのな。付喪神の俺は、言ってみれば本物のやつの残渣だったり残り香だったりするやつだぞ。そんなんでもおまえは嬉しいっていうのか」
「うん。うれしい」
即答だった。
「だって、偽物でもいいって思って、ここまできたのよ。それに比べたら、残り香やだしがらのほうがずっとずっといいに決まってるじゃない」
「だしがらって……おまえ、そこまでひどくねえぞ」
「会えただけで幸せなのに、こうして言葉までかわせるんだもの、うれしくないわけないじゃない」
そう言う間も涙は止まらず、ぽろぽろとこぼれる。それを指でぬぐい、手のひらでこすって、いいなは笑顔を浮かべた。
「お帰りなさい、リュウさん。
あ、それから、イザさん……じゃなかった、おとーさんも、お帰りなさい」
「なんか、ついでみたいな言い方ですねぇ。まあ、いーですけどねー」
にこにこ笑って両手を広げ、ハグを求めるイザに、くすりと笑って。いいなはあらためて、2人を両腕で抱き締めた。
「お帰りなさい、ふたりとも」
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寺岡志乃
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
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ホラー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年09月17日
参加申し込みの期限
2022年09月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年09月24日 11時00分
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