this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
BABY STRANGE
<< もどる
1
…
14
15
16
17
18
…
26
つぎへ >>
パン、と手を叩いて真白は千絵と紅美に呼びかける。
「よし、せっかくだし悩んでることまとめてみよっか。ひとりでぐるぐる悩むよりはきっと建設的だよ」
おりよくテーブルの上には、ゲームのスコア集計につかっていた紙とペンがあるではないか。
「ほら、紅ちゃんも手伝って」
真白がボールペンを手渡すと、うんと言って紅美もにぎった。世の中を斜に見ているような紅美だが、本質的には素直なことを真白は知っている。
「こういうときは、書き出しちゃうほうがてっとり早いと思うんだ。それで整理してみよう」
「整理……? 行く理由と行かない理由、って感じ?」
「察しが早いね紅ちゃん! まずは……むこうに行く方の理由の方がやりやすいかなぁ」
それでいい? と千絵に確認すると「お願いします」と彼女は即答した。
これはマインドマップって手法で、と言いながら、A3サイズの白紙の中央に真白はペン先を置いた。
「理由のひとつは、夢のためだよね」
左右均衡のハートマークを描き、『夢』という文字を書きこむ。かわいらしく天使の羽をはやしてみた。
「ドイツはボードゲームの本場だし、千絵ちゃん的にも夢のためになるって思ってる」
言いながら真白はハートから線をのばした。ひっぱった先に『ボドゲの本場』としたためる。ついでにゲームのコマも描きこむ。
「語学的にもいいんじゃね? ドイツ語はもちろん、英語だっていっぱい使えるだろーし」
「紅ちゃん冴えてるね! だよね、やっぱゲーム作家として世界で活躍するなら、語学堪能なほうがいいに決まってるし」
真白はハートマークから線をのばし、『語学』と記してドイツ語(真白が唯一知っている「Guten Tag」)をしゃべっている人の横顔を描いた。
「そーいや『クラン=G』にある海外製ボドゲって、ドイツ製がすげー多いよな。最先端っつーか」
「紅ちゃんそれ書きこんじゃおう。そうそう、『ボドゲの本場』から引っ張って」
「おーらい」
項目『ボドゲの本場』からさらに分岐した。漢字が分からなかったらしく、紅美は『最先たん』と書いた。調子が出てきたのか、さらに分岐をつくって『イケてる』とか『メーカーもマジ多い』とか、つたないイラストをまじえて書き足した。
千絵がペンを取った。『ボドゲの本場』から分岐を加える。
「『人脈』も……あると思います。あこがれのゲーム作家はドイツにも何人もいます」
千絵考えるところの人脈を表現するイラストが、棒人間なのはご愛敬である。
なんだか楽しくなってきて、みんなでどんどんマップを足していった。やってみるといくらでも出てくる。目立つのは『ヨーロッパを移動しやすい』『フランスにもボドゲメーカーいっぱい』『異文化を学べる』『カードゲームも盛ん』といった項目である。
「そしてこれは杏平さんの考えだけど、店を売るにはいまがいいタイミングってことがあったね。名称は『売りどき』くらいかな?」
私はそういったことはさっぱりだけど、と前置きしてから、最初の『夢』に匹敵する大きさで星印を描き『売りどき』と書きこむ。添えるイラストは札束だ。ここから、『夢』にむけて矢印を設置した。
「……こんな感じかな?」
真白は汗を拭うポーズをとった。三人寄れば文殊の知恵とはよくいったもので、かくしてドイツに行く理由をまとめた賑々しい地図が完成したのだった。意味不明なイラストもあったり、よく見ればほぼ重複している項目もあったりするが、総じて燦然と楽しげなマインドマップになったことはまちがいない。
「後で思いついたらまた書き足せばいいよ。じゃあ今度は、ここに残る理由かな」
もう一枚白紙をとって、ぐるっと大きな円を真白は描いた。
「まずは『クラン=Gを残したい』、だよね」
「はい」
つづいて大項目『クラン=Gを残したい』に、分岐を作る作業だ。
最初に、『今まで暮らしてきた思い出の場所』と書いたのは千絵だった。
「書いていい? 『みんなの遊び場』って?」
紅美が訊ねると、千絵は笑顔でうなずいた。
項目が増えていく。『流通の拠点』(店は通販で成功している)、『海外ボドゲの窓口』、『モデラーにも人気』、『ハローニャックにも置いてないマニアックな品ぞろえ』、『発売日が早い』といった具合でポンポンと増えた。
「今じゃ『クラン=G』は全国的なブランドだよ。ゲーマーとモデラーの」
紅美が自信をもって『ブランド』と書いた。イラストは、エプロンのデザインでもおなじみの『G』のロゴだ。
真白が『店長代理がカワイイ』と書いたとたん、「ちょ、ちょっとやめてくださいよー!」と千絵が照れた。いっぽうフォローのつもりなのか『オーナーは変人』と項目を追加する紅美である。オラウータンのイラストもちょこちょこと描いた。
急に千絵が動きを止めたので、紅美は千絵に顔を向けた。
「ごめん怒った?」
「……ちがいます。怒ってないです。ていうかお父さん、また髪と髭ぼうぼうでオラウータンぽいですから……」
千絵がかたまったのは、なにげなく自分が書きこもうとしていた項目を自覚したからのようだった。
千絵の手は、『友』と書きかけて停止していた。
息を呑んで千絵は書き終えた。『友達』という項目を。
「私の……友達は、好きな人は、みんな、『クラン=G』にいます。私、小学校のころから学校ではあんまりしゃべらないし、というか、無口で、孤独です……遠足とかの班決めのジャンケンで、いつも最後まで余るくらい……だけど『クラン=G』では、声をかけてくれる人、いっぱいいます。ゲームで遊んでれくる人も、アニメとかの雑談ができる人もいっぱい……」
あとはもう言葉にならない。むしり取るようにして眼鏡を外すと、千絵は目を押さえた。けれど間に合わない。ぽたぽたとしずくが紙の上に落ちた。『友達』の項目がにじんだ。
泣きじゃくる千絵の手を真白は握った。優しくつつみこむように。
「いいんだよ。いいんだよ、千絵ちゃん……ごめんね」
紅美も千絵の肩に手を乗せている。
「やめろって、あたしまで泣けてくるっつーの。ともだ……ケンカ友達ではあるからね、あたしも、千絵のさ」
千絵を中心に、三人は身を寄せあった。
千絵が泣きやむまでそうしていた。
真白は二枚のマインドマップを見比べる。
いっぽうは多岐にわたるにぎやかなものだが、いっぽうは狭い範囲に限られしかもメランコリックだ。
だけどいずれにも価値がある。作業は成功だと真白は思うのだ。
日本を離れることは、物理的な距離がひらくことを意味する。
今ならビデオ通話などいつでも話せる手段はある。けれど時差もあるし、そも、こううやってくっつきあうことはできないではないか。
でもそんなことばかり言って、世界に羽ばたこうとする千絵ちゃんに足枷はしたくない――。
「まぁ、理由は色々あるよねぇ……ぜーんぶ解決できたらいいのになぁ。千絵ちゃんはどう思う?」
これが真白の正直な気持ちだ。
「ですね……やっぱり、難しいです」
それでも泣いたことですっきりしたのか、千絵は晴れやかな表情をしている。
「たとえドイツ行くとしてもだよ。『クラン=G』、名前だけでも残せねーかな。日本に帰ってこれる場所として、千絵が」
これまでかたくななまでに『店長代理』としか千絵を呼んでこなかった紅美が、真白につられてか名前呼びしていた。
そうだねえ、と真白が言う。
「経営権は売るけれど名前をそのままにしてもらうのと、誰か元の『クラン=G』を知ってる人に店員として入ってもらうように交渉するとか……それで雰囲気をなるだけ残すみたいな? まぁ、そんな簡単な話じゃないかもだけど」
だから考えてみて、と真白は千絵に問いかけるのである。
「千絵ちゃんが残したい『クラン=G』って何かな?」
それはそれで難しい問いかもしれないけど、と真白は笑った。
「ふぁ……」
泣いた跡の残る目を紅美がぬぐう。
「そろそろ寝たほうがよくね?」
とっくに日付は変わっている。さすがに真白も、頭にかすみがかかったように感じていた。
「……だね」
「ひとつ提案があるんですが」
ここで意外にも千絵が言った。
「せっかくですから、三人川の字で寝ませんか?」
狭くね? と紅美は言ったが、嫌がっているわけではなかった。
<< もどる
1
…
14
15
16
17
18
…
26
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
BABY STRANGE
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年08月23日
参加申し込みの期限
2022年08月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年08月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!