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BABY STRANGE
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予定も計画もない休日、午後もしばらく受験勉強にはげんではみたが、ついつい書棚の演劇書に手を取ってしまったり動画で最近のシェイクスピア劇のさわりを観てしまったりと、どうにも腰が定まらない。集中できない。
気がつけばまた、スマホで画像を検索してしまっている。それも、いますぐ調べる必要などないはずの、ヘレニズム文化の彫刻だったりするではないか。スクロールとともに流れゆく彼らの苦悶の表情、あるいは恍惚のまなざし。
ああもう、とスマホを投げ出すと寝床に背をあずけ、
鴻上 彰尋
は天井をにらんだ。
やんぬる哉――。
どうしようもなくなったときこううめいたのは、メロスであったかアリババであったか。
勉強する必要があることはわかっているが、どうしても気持ちが乗らないときはあるだろう。ここで机にかじりついたとしても、なにほどのことができようか。ただ座っていたという記録が残るだけ、時間を浪費するだけではないか。
よし、出かけよう。
どこに? 久しぶりに『ねこのて』にお邪魔しようかな。
参考書ととっくみあうのは帰ってからだ。頭にかかったクモの巣をとりのけてしまおう。それがいい。
そうと決まれば話は早い。彰尋はTシャツを脱いでポロシャツに替え、青いジーンズに脚を通した。スニーカーをひっかけて足取りも軽く、メイド喫茶へむかうのである。
外はくらくらしそうな陽気だった。陽射しが強烈で、帽子をかぶってこなかったことを彰尋はさっそく後悔した。湿気もすごいしなにより暑さが凶悪だ。日陰のひとつもゆくてにはないときた。ここ数日涼しい夜がつづいたから、このままベルトコンベア式に秋に流れていくのかと思っていたのだが、なかなかそうはいかないものらしい。
キャットロードなんて平常ならひととびくらいの距離の印象なのに、酷暑のせいかひどく長い道中だった。汗が額に浮いてくる。風切って早足で歩いても、信号待ちともなればたちまち溶ける思いだ。やわらかいロウソクにでもなった気分である。地熱の照り返しもひどい。アスファルトがゆがんで見える。
いつか観た舞台劇の台詞が、なんとはなしによみがえってきた。
天よ我に百難を与えよ、えーと……。
奸雄ならずとも必ず天下の一雄にはなってみせる――うん。これだ。
問題は台詞の主で、たぶん三国志の曹操だったと思うのだが、戦国時代の山中鹿之助なる武将にもこういうのがあった気がする。正直あまり詳しいジャンルではないのでうろ覚えなのは否定できない。でも奸雄という言葉が出ているからたぶん曹操だ。とりあえずそういうことにしよう。
ひとりキャラバンよろしく黙々と歩きに歩いて、ポテサラの下ごしらえをしたジャガイモのごとく、頭まで茹だった状態で店にたどり着いた。『ねこのて』、営業中なのは下調べ済みだ。ちょうど開店して五分がたったばかり、おそらくこの日最初の客だろう。
ドアを押し開けるとたちまち、天にも昇るような涼風が彰尋の前髪を吹き上げた。生き返る。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
しゃっきりと明るく、鈴の音のように心地好いメイドたちの声が迎えてくれる。
何か言おうとしたものの彰尋は口ごもった。
そういえばこういう場合、どう返せばいいんだろう。
一秒の何分の一かほど悩んだけれど、設定に合わせることにする。
「ええ、戻りました」
変なこと言ったかなと思ったが、メイドたちの反応は上々だ。見目うるわしきメイドさんがこちらへどうぞと店内へと案内してくれた。フリルの付いたエプロンも、猫耳飾りつきのヘッドドレスもよく似合ってはいるが知らない顔だ。大学生くらいに見える。細かいアレンジの入った銅色のロングヘア、すっきりした髪型はウィッグなのか地毛なのか。「お初にお目にかかります。
なるこ
と申します。よろしくお願いしますね、ご主人様」と名乗った。
「は、はい、よろしくです……」
いささか戸惑いつつも気分よく応じて、白いテーブルクロスのかけられたテーブルに着いた。いつ来ても気持ちのいい内装だ。木目調の壁、黒猫の置物、フラワーアレンジメントも派手すぎず地味すぎずで、クラシカルな店内によく似合っている。
店内に客の姿はなさそうだ。やはり最初の来店者だったらしい。
注文する前にそっと店内を見回してみる。やっぱり、なじみの店員もといメイドはいない。
店長代理さん……いらっしゃるかなと思ったけど。たまたま出ているのかな? それとも奥なのかな?
挨拶くらいはしておこう、そう思っていたのだけど。
ここの店長代理と彰尋は、カルタ大会で縁ができたのだった。以来、散発的にだが店を訪れるようにしている。突如「お姫様気分になりたい」と駄々をこねた妹を連れてきたこともあるし、季節のメニュー目当てで訪れたこともある。いずれも満足いく結果になった。
そういえば前、一日執事になれるイベントがあったなあ――。
楽しい経験だった。作法の勉強にもなったし、演技の参考という意味でも大いに実りがあったものだ。
涼しい店内に流れるのは優雅なバロック音楽だ。たぶんヴィヴァルディの『秋』をオルガンアレンジしたものだと思う。透き通ってきらびやかで、高い天井をもつ聖堂で耳にしているような音色だ。体の熱がたちまち癒えて、うっとりするような気持ちになっていく。
「ご注文は?」
なるこというメイドさんに呼びかけられ彰尋は我に返った。
「あ、えっと、少し待ってもらっていいですか?」
彰尋は声をかけられるまで、メニューを開いたまま忘我の境地にいたのだった。かしこまりました、と笑顔で応じてなるこは姿を消した。
いいタイミングで訪れたのかもしれない。今週から秋の季節メニューに変わったばかりなのだ。最初の見開きに特集が組んであった。きのこのリゾット、パンプキンパイ、栗のポタージュスープにモンブラン、くるみのシフォンケーキというのもある。目にも楽しい黄金の季節の到来だ。
ここのお店で作るメニューはどれもおいしいんだよな。
本来なら目移りしそうなところだが、今日にかぎってはすでに、彰尋の目当ては決まっている。
あった。
特製『スイートポテトタルト』、かつて一度食べて極上の味わいにたちまち魅了されたものだった。ところが再度味わう機会を逃し、一年こらえてきたものだ。
逢いたかったよなんて、きざな台詞も言ってみたくなる。もちろん、心のなかでだが。
なるこを呼ぶべく手をあげた彰尋の目が、新たにドアを開けた来店者とあった。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
メイドたちの声がする。
逢いたかったよなんてきざな台詞はやっぱり言えない。言えそうもない。
そもそも逢うことになるなんて思ってもみなかったから。
彰尋があげた手を、こちらに手を振っているとでも思ったのか、
「あ、やっぱり彰尋くんだ」
と嬉しそうに手を振りかえしているのは、
七夜 あおい
なのだった。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年08月23日
参加申し込みの期限
2022年08月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年08月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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