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「じゃあ、これとこれと、これをお願い」
出された本はいずれも料理の本。
カウンターの向こうに立っていたのは、すらりとした長身の女子生徒だった。
お料理のお勉強でもされるんでしょうか……と内心で思いつつ、
綾辻 綾花
はカウンターに置かれたその本を受け取る。
「はい、分かりました。それでは返却期限は一週間後になりますので、よろしくお願いしますね」
ほわりと人の良さそうな笑みを浮かべながら綾辻は借りに来たその女子生徒に本を手渡した。
図書委員の彼女は、放課後も委員会の仕事をまじめにこなしていた。本が好きということはもちろんであったが、彼女にとって図書館で仕事をすることにはもうひとつ重要な意味があった。
「綾辻さん、今日も頑張ってるね。さっきは書庫の整理ありがとう」
彼女に声をかけたのは、司書を務める
早川 珪
であった。一見ホストのようにも見えるともっぱら噂の司書であるが、話しかけるその口調や物腰はいたってやわらかい。優しげなその言葉に、綾辻は笑顔を返した。
「いえ、いいんです。司書のお仕事とか見てみたいなって、思ってましたから」
早川の笑顔を見るとどうしてだか気持ちがそわそわとする。気恥ずかしいような、それでいてとても嬉しいような。
はにかむ綾辻に、それは助かるな、と早川はぽんと手を打って見せる。
「実はまだ仕事が残っててね……このあいだ新しく入ってきた本があっただろう? ラベルはもう貼ってあるから、本棚に入れてきてほしいんだ」
そう言うと、早川はカウンターの下にある段ボールを示してみせた。その中には先日仕入れたばかりの本がぎっしり詰まっている。
「他の業務が圧しててすっかり遅れちゃってね。……二人でやれば早く終わると思うんだけど、いいかな」
早川の言葉に、綾辻はうなずいてみせた。
「もちろんです! どんな本が来たのか気になってましたし」
段ボールから数冊の本を出す。何気なく手に取ったその本の背表紙に視線を落とすと、誰が注文したのか「古今東西ヒーロー全集」という文字が見えた。ちょっと気になる……と思いつつ、綾辻は貼ってあるラベルの示す本棚へと向かった。
「それじゃ、早速行ってきますね」
「ああ、ありがとう。頼むよ」
ちょっとした頼みごとでも綾辻は嬉しかった。
それは図書委員としての仕事が好きだからなのか、それとも……。
貸し出し手続きを済ませると、借りた数冊の本を机の上にどさりと積んだ。
(……わざわざ借りなくても、今日ここで全部読めたかな)
そう思いつつ『実践:毎日のおかず』と書かれた本を手に取ったのは
大天使 天吏
であった。
放課後とはいえ、外を見ればまだ日は高い。オレンジの空に鳴くあの黒い鳥の声はまだ聞こえない。
だからそれまでは、と彼女が立ち寄ったのは図書館だった。
(野菜を炒めるときは根菜から先に。火が通りにくいものから順に)
火の通りを考えなければいけない。生肉を切った包丁で野菜を切らないようにしなければならない。視覚からの情報、すなわち彩りや盛り方も考慮しなければならない。そして使った器具は手が空き次第洗っていかなければ流し台のスペースがなくなってしまう。
そう、料理は手際が命だ。
(手際というのはつまり、数学科学物理――そして実践を総合させた作品)
栄養素の計算も忘れてはいけない。たまたま開いた筑前煮のページを眺めながら大天使は考える。こんにゃくにんじんさやいんげん、鶏肉にさといも。緑黄色野菜と蛋白源をしっかり含みつつ、彩りは鮮やかで、さやいんげんやこんにゃくの食感はいいアクセントにもなる。これこそ科学の集大成。そして何より、おいしい。
まるで論文でも読み込むような真剣さで、これほどまでに大天使が料理本を読み込む理由はいたって明白だ。
なぜなら、作る人が他にいないから。
「……家庭の味、か」
筑前煮のページに書いてあるそのフレーズを、何とはなしに口に出してみる。
シーサイドタウンのマンションで一人暮らしをする彼女には、家庭の味というものはよく分からない。一般的な家庭ならば母親が振舞うであろうその味を、大天使は一度も味わうことなく育ってきた。
(あの人に料理、作ってもらったことないし)
思い出すのは遠い日。まだ母親が近くにいた日。そしてあの日の浮遊感――
ふいに脳裏によみがえりそうになる感覚を閉じるように、ぱたりと大天使は本を机に置いた。
次の本を手に取りつつ、すぐに頭を切り替える。それよりも今日の晩ご飯、何にしよう、と。
持ち込んだコミックを黙々と読んでいた
風雲児 轟
は、ふうと達成したような息を漏らして本を閉じた。
机の上には二冊のヒーローコミック。それぞれアメリカで有名な二人のヒーローを『もし最終回があるなら』というテーマで描いた内容だ。
プロのスーツアクターを目指している風雲児にとって、ヒーローというのは単なる憧れや夢以上の存在であった。漠然と憧憬を抱くのではなく、自分なりのヒーロー観を築くためにこうして様々な本やコミックを読んで勉強している。
(二人の最期……まさに対極だったな)
読み終えた二冊のコミック。そのそれぞれの表紙に描かれた二人のヒーローの姿を見ながら風雲児は思う。
一人は宿敵との最終決戦の末に超人としての力は失ったものの、愛する人と幸せに暮らすという結末。
一人は戦いの中で命を落とし、その葬儀で敵味方の様々な関係者がその最期を語るという結末。
正反対のその最期を読みながら、自然と考えるのは『ザ・ストレイト』のことであった。
ザ・ストレイトは他でもない風雲児のことだ。ヒーローに憧れた少年は、生まれ育った郷里の神様の力によって偶然にも超人的な力を得たのである。
まるで夢のような――まるで彼が今まで見てきたコミックヒーローのような僥倖。
けれど風雲児は、この力を単なるヒーローの力として捉えてはいなかった。
(この力は神様からの借り物だ。ザ・ストレイトにもきっと終わりはあるだろう。そのとき俺は……)
伝説が現実となった落神の力。自分のヒーローとしての最期はきっとその力がなくなるときだろう。
ちょくちょくと不可思議な事件が起こるものの、のんびりと平和な時を刻むこの島で、この二人のような劇的なラストを飾ることになるとも思えない。困っている島の人を助け、良くも悪くもひっそりとその役目を終える。きっと俺のラストはそんなものじゃないかな、と風雲児はそう思った。
ふと外を見ると、空はまだ明るいけれど時刻はもう18時に近づいている。
(そっか、もう夏至だもんな)
もうそんな時期かと思いながら風雲児が立ち上がったとき、あの、と背後から小さな声が聞こえてきた。
「ん?」
振り返ってみると、そこには小柄な女子生徒が立っていた。
「えーっと、もしかしたらこの本、注文されました?」
女子生徒――図書委員の仕事に励んでいた
綾辻 綾花
は、胸に抱えていた本のうちのひとつを彼に差し出した。
表紙に書いてあるのは『古今東西ヒーロー全集』の文字。そのタイトルに風雲児は思わず顔を輝かせる。確かにこれは彼が入荷希望を申し出た本であった。
「ああ、これは俺が注文したんだ。先月書いたのに、もう入荷したのか?」
ずっと読みたかった本である。そう言いながら受け取ると、綾辻は安心したように笑顔を見せた。
「ならよかったです。たまたま入荷のタイミングが近かったんだと思います。ご注文ありがとうございました」
ずっと真剣にヒーローコミックを読んでいたからもしかしたら……と思ったのだが、どうやら当たりだったようだ。読みたい本に出会えたのならよかった、と綾辻は自分のことのように嬉しくなる。
「わざわざありがとう。今日帰ってゆっくり読もうかな」
本をカバンに詰めると、風雲児は再度図書委員の少女に礼を告げて図書館を後にした。
あの親切な女の子みたいに、俺もがんばらないとな、と青い空を見上げながら風雲児は思う。
(ヒーローとしてみんなを守れるのは、超人的な力のおかげだけじゃない)
たとえろっこんの力がなくなったとしても、できることはいくらだってある。
ザ・ストレイトが最終回を迎えたとしても、彼の中のヒーローは終わらない。
(いつか立派なスーツアクターになるんだ。今度は神様の力を借りずに……)
自分の力で。人知れず、寝子島の若きヒーローは青い空にそう誓うのであった。
人間の体液の塩分濃度は常に0.8パーセント前後に保たれている。
なので人間の体内、ひいては味覚にもっとも適した塩分量は、素材の重量×0.8パーセント。
(牛肉とじゃがいもとにんじんと玉ねぎに下味をつけるのなら、適した塩分量は……)
片手で数式を走り書きしながらお料理本を読む。
科学的に料理の味覚を解明する本と運命的な出会いを果たした
大天使 天吏
は、夢中でその本を読み進めていた。
「そもそも、少々、だなんて表現があいまいなのよね。誰にとっての少々なのよ」
私とあなたとでは感覚なんて千差万別なのに、と理系人間はどうしてもそう思ってしまう。
科学本をもとにひとしきりカレーのレシピを追求した大天使は、下校時間のチャイムにふと顔を上げた。先ほどまでは青かった空はいつの間にか夕日に染まっていて、目を凝らしてみると遠くに黒い鳥が数匹、群れを成して飛んでいるのが見える。
(ああ、もうこんな時間)
すっかり読みふけってしまった。
でもおかげで今日はいつもよりおいしくご飯が作れそうだ。材料も買って帰らないと、と考えながら大天使は立ち上がる。
「さようなら、気をつけて帰るんだよ」
カウンターを通り過ぎようとしたところで、ホストっぽい司書がにこやかな笑顔でそう挨拶するのが聞こえた。彼に軽く頭を下げると、大天使は図書館を後にする。
六月の空気は生暖かい。夕焼けの空にはカラスが、公園の芝生にはハトが。そういえば鳥、久しぶりに見るなぁとそのそれぞれの鳴き声を聞きながら大天使はそう思う。
明日も晴れたらいいのに。そしたら鳥が空を飛べるから。
茜色の空の下、誰もいない家に向かって歩いていく。
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担当ゲームマスター
花村翠
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年10月26日
参加申し込みの期限
2013年11月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年11月02日 11時00分
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