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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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満ちるのは月か心か、それとも？
乳飲み子を連れ島にやってきて、４年。梓 智依子は、ようやく心身共にイベントを楽しむ余裕が出てきた。
祖父母のおかげで経済的な心配もなければ、預けることで少しばかりの自由な時間も取れたはずだけれど、智依子はそれを良しとはできず、高校に復学したのも祖父母たっての願いから。
そんな、どこか遠慮がちで抱え込むところのある智依子が、ようやっと娘の楓と時折出かけるようになって、今日は４人でお月見会へ行こうと声をかけてくれた。
こんなに喜ばしいことがあって、色々緩めるなというほうが難しいのだろう。祖父母たちは笑顔で何が食べたい、何が欲しいと声をかけてくる。甘えることで、少しでも２人に孝行ができていればと思った矢先――楓が射的の景品を見て足を止めた。
「ママー、じーじ、ばーば、あれほしー！」
「そうかそうか、取れるまでやりなさい」
「待って！ 楓をそんなに甘やかさないで！」
意気込んで財布を取り出す祖父を止め、楓にもきちんと言い含める。
これはお店とは違って、確実には買えないこと。ゲームの成績によっては違うものになってしまうこと。
「それでも、ゲームやりたい？」
「ゲームじゃなくて……あれ！」
しっかりと指を指すのは、『やさぐれうさぎ』のぬいぐるみだ。ハローニャックで働いている智依子はその名を知っているが、可愛いかどうかと問われると――ちょっと返答に困ってしまうやさぐれ具合である。
「智依子、ああいうのはいくらぐらいするの？」
もし取れなかったら、こっそり買って用意してあげようか。そう小声で問う祖母も、ひ孫のおねだりには弱いらしい。これは、母としてきちんと約束を取り付けなくては。
「ゲームは２回まで、取れなくても玩具屋で買いません、ばーばのお手伝いをする……約束できる？」
「する！」
小さい子用の踏み台をぬいぐるみ前に用意してもらい、小型のコルク銃を手にワクワクする楓の写真を撮っていると、その両サイドに祖父母が立つ。
「では８回分、弾を用意してもらえるか」
「えっ」
「１人２回、だろう？」
「そうねぇ、私たちも遊びたいものね」
本当に甘い……そして頭数には自分もちゃっかり入れられていて。
家族が一致団結するのに悪いことはないかな、なんて思う辺りやっぱり自分も楓に甘いのだけど。
「ママー、これどうやってするの？」
コルクを詰めた銃を手渡し、楓の背中を支えてやる。まずは練習にと、手近な小さなお菓子に狙い定めるよう誘導し、楓のタイミングで引き金を引いてもらう。
打ち上げ花火より近くに聞こえる破裂音に驚いたものの、コルクが景品を掠めて飛んでいく様に手応えを感じたのだろう。
「いま！ いまのおしかったよね、もーちょっとだった！」
「少し動いたね、楓上手！」 
きゃあきゃあ言い合って挑戦した射的は、５回以上挑戦すれば貰えるちょっぴり高価な参加賞から、やさぐれうさぎのストラップを頂く結果になってしまったけれど、楓はぬいぐるみに「バイバイ」と手を振ってぐずることなく夜店を後にした。
そんな些細なことでも、祖父母はひ孫の成長にウルッとくるものらしい。
「楓、あっちにもそのうさぎがいるぞ。スマートボールなら任せなさい」
「楓ちゃん、あの輪投げにあるのもそうかしら？ あっちもやってみる？」
さあさあと甘やかそうとする２人に、程々にねと口を挟みたくなるけれど。
「智依子も気になる物があったら、すぐに声をかけなさい」
「そうよ、こうして一緒にお祭りに来れるだなんて、何年ぶりかしらね」
こうして甘やかせてくれる人たちがいて、楓が笑っていられる場所に来られて良かったなと思う。
きちんとした母親でいなければと、楓を守れるのは自分しかいないと気を張りすぎてきたけれど、楓も１人で歩けるようになって、意志を伝えられるようになって。少しずつ成長した今なら、ほんの少しの間なら、孫として甘えてみてもいいだろうか。
「あっ！ あっちから何か聞こえる！」
丁度、舞台では神楽の舞が終わり、楽士たちが軽快なリズムを奏でる……これは、和楽器とダンスミュージックのコラボレーションだ。
「ママはねー、すっごくかっこよくおどるんだよ！ ねっ！」
どうやら飛び込みで歌や踊りが披露できる時間のようで、舞台や周囲には待ってましたと人が集まってきている。衣装や振り付けが完璧な人から、その場のノリで押し出されてしまった人までそれぞれだ。
ほらほらと手を引く楓の笑顔に弱い。
期待に満ちた目で見上げるのは楓１人ではなくて、祖父母はわたわたとカメラの準備をし始める。
「……格好良く撮ってね！」
仕方ないなというように笑う智依子は母でもあり孫でもある顔で、照れくさそうに微笑んだ。
祖父母のおかげで経済的な心配もなければ、預けることで少しばかりの自由な時間も取れたはずだけれど、智依子はそれを良しとはできず、高校に復学したのも祖父母たっての願いから。
そんな、どこか遠慮がちで抱え込むところのある智依子が、ようやっと娘の楓と時折出かけるようになって、今日は４人でお月見会へ行こうと声をかけてくれた。
こんなに喜ばしいことがあって、色々緩めるなというほうが難しいのだろう。祖父母たちは笑顔で何が食べたい、何が欲しいと声をかけてくる。甘えることで、少しでも２人に孝行ができていればと思った矢先――楓が射的の景品を見て足を止めた。
「ママー、じーじ、ばーば、あれほしー！」
「そうかそうか、取れるまでやりなさい」
「待って！ 楓をそんなに甘やかさないで！」
意気込んで財布を取り出す祖父を止め、楓にもきちんと言い含める。
これはお店とは違って、確実には買えないこと。ゲームの成績によっては違うものになってしまうこと。
「それでも、ゲームやりたい？」
「ゲームじゃなくて……あれ！」
しっかりと指を指すのは、『やさぐれうさぎ』のぬいぐるみだ。ハローニャックで働いている智依子はその名を知っているが、可愛いかどうかと問われると――ちょっと返答に困ってしまうやさぐれ具合である。
「智依子、ああいうのはいくらぐらいするの？」
もし取れなかったら、こっそり買って用意してあげようか。そう小声で問う祖母も、ひ孫のおねだりには弱いらしい。これは、母としてきちんと約束を取り付けなくては。
「ゲームは２回まで、取れなくても玩具屋で買いません、ばーばのお手伝いをする……約束できる？」
「する！」
小さい子用の踏み台をぬいぐるみ前に用意してもらい、小型のコルク銃を手にワクワクする楓の写真を撮っていると、その両サイドに祖父母が立つ。
「では８回分、弾を用意してもらえるか」
「えっ」
「１人２回、だろう？」
「そうねぇ、私たちも遊びたいものね」
本当に甘い……そして頭数には自分もちゃっかり入れられていて。
家族が一致団結するのに悪いことはないかな、なんて思う辺りやっぱり自分も楓に甘いのだけど。
「ママー、これどうやってするの？」
コルクを詰めた銃を手渡し、楓の背中を支えてやる。まずは練習にと、手近な小さなお菓子に狙い定めるよう誘導し、楓のタイミングで引き金を引いてもらう。
打ち上げ花火より近くに聞こえる破裂音に驚いたものの、コルクが景品を掠めて飛んでいく様に手応えを感じたのだろう。
「いま！ いまのおしかったよね、もーちょっとだった！」
きゃあきゃあ言い合って挑戦した射的は、５回以上挑戦すれば貰えるちょっぴり高価な参加賞から、やさぐれうさぎのストラップを頂く結果になってしまったけれど、楓はぬいぐるみに「バイバイ」と手を振ってぐずることなく夜店を後にした。
そんな些細なことでも、祖父母はひ孫の成長にウルッとくるものらしい。
「楓、あっちにもそのうさぎがいるぞ。スマートボールなら任せなさい」
「楓ちゃん、あの輪投げにあるのもそうかしら？ あっちもやってみる？」
さあさあと甘やかそうとする２人に、程々にねと口を挟みたくなるけれど。
「智依子も気になる物があったら、すぐに声をかけなさい」
「そうよ、こうして一緒にお祭りに来れるだなんて、何年ぶりかしらね」
こうして甘やかせてくれる人たちがいて、楓が笑っていられる場所に来られて良かったなと思う。
きちんとした母親でいなければと、楓を守れるのは自分しかいないと気を張りすぎてきたけれど、楓も１人で歩けるようになって、意志を伝えられるようになって。少しずつ成長した今なら、ほんの少しの間なら、孫として甘えてみてもいいだろうか。
「あっ！ あっちから何か聞こえる！」
丁度、舞台では神楽の舞が終わり、楽士たちが軽快なリズムを奏でる……これは、和楽器とダンスミュージックのコラボレーションだ。
「ママはねー、すっごくかっこよくおどるんだよ！ ねっ！」
どうやら飛び込みで歌や踊りが披露できる時間のようで、舞台や周囲には待ってましたと人が集まってきている。衣装や振り付けが完璧な人から、その場のノリで押し出されてしまった人までそれぞれだ。
ほらほらと手を引く楓の笑顔に弱い。
期待に満ちた目で見上げるのは楓１人ではなくて、祖父母はわたわたとカメラの準備をし始める。
「……格好良く撮ってね！」
仕方ないなというように笑う智依子は母でもあり孫でもある顔で、照れくさそうに微笑んだ。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2022年08月20日
- 参加申し込みの期限
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- 2022年08月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2022年08月27日 11時00分
