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キャットロードを制服姿の二人が並んで歩いていた。何かを思い付いたのか。
小山内 海
はスケッチブックに文字を書き込み、隣りを歩いていた
御剣 刀
に見せた。
『きょうはごめんなさい。がざいやさんによったから、かえりがおそくなったね』
「俺が部活を待って貰ったせいもある。気にしなくていいよ」
海は少し視線を下げて頷いた。サイドテールが嬉しそうに撥ねる。更に何かを書き込んだ。
『かたなくん、おなかへってないかな?』
「この時間だからな。少しは減っているが、どうかしたのか」
刀は海の視線の先を追った。古めかしい作りの店を目にした。暖簾の近くには赤提灯が下がっていて、ラーメン、と墨で書かれていた。
海は刀の横でもじもじしている。青い瞳は何かを期待しているようでもあった。
「試しに入ってみるか」
刀の言葉に海は元気に頷いた。サイドテールが小躍りした。
「いらっしゃいませ」
ラーメン屋の店主とは思えない、白いタキシードの人物が二人を迎えた。
海は驚いた顔で辺りを見て、それとなく刀の側に寄った。
「ここはどこなんだ?」
海を庇うように立った刀が相手に尋ねた。
「当館はお客様が希望する過去を体験していただくサービスを提供しております」
「そのようなことが本当に可能なのか」
「過去創造館の名に嘘偽りはございません」
刀は隣の海に笑みを浮かべた。
「小山内はどう思った?」
いきなり話を振られた海は急いでスケッチブックに文字を書き込んだ。
『あたまのなかがまっしろになった』
「辺りが白だけに、か」
『たまたまシロがかさなっただけで、ジョークとかじゃないから』
海の目は泳いだ。鼻の辺りを中心に赤くして言葉を書き足す。
『わたしはすべってない』
話の節目を見定めた相手が二人に促した。
「お客様、過去の体験はお決まりでしょうか」
『すこしいいですか』
「はい、どのようなご質問も承っております」
海は文字を一気に書き込んだ。出来上がった文章に目を通して相手に見せた。
『わたしはおさないころのびょうきで、こえをうしなってしまいました。いまにふまんがあるわけではないのだけど、もどれるなら、しょうがっこういちねんせいくらいにもどって、ふつうのせいかつをおくってみたいです』
「承知致しました。お客様はいかが致しましょうか」
「俺は要らないかな」
「では、お連れ様の希望を叶えさせていただきます」
海は忽然と消えた。刀が声を上げる間もない。
「小山内をどこにやった」
刀の眼光は鋭さを増し、抜き身の刃と化した。
「お客様のプライバシーを保護するのは、当然の義務と考えております。どうか、ご了承ください。少しお時間が空きますので一服なさってはいかがでしょうか」
相手は琥珀色の椅子に座った。同じ素材を思わせる一本脚の丸い台には二つの湯呑が置いてあり、微かに湯気らしきものがくゆる。小皿には花を模した和菓子が木肌のある楊枝と共に用意されていた。
「俺の誤解のようだ、疑って悪かったな」
刀は相手の向かいの椅子に座った。湯呑の中に収められた新緑が香る。
「この緑茶は玉露なのか」
「はい、新茶を用意させていただきました」
「そう言えば、まだ名前を聞いていなかった。俺は
御剣 刀
だ」
「私はノアと言います」
「少しの間、世話になるよ」
一礼して刀は湯呑を掴んだ。一口啜って、美味いな、と口にした。瞑想するかのように瞼を閉じ、そして開いた。
「ノアさん、少し俺の過去の話を聞いてくれるか」
「はい、喜んで承ります」
「俺は一人っ子だ。だから両親にそれなりに期待されていたと思う。その頃、俺は祖父の剣術に興味があって色々と教えて貰ってたんだ。そっちに夢中になって勉強なんか全然しなくてさ」
刀は楊枝を摘まんで和菓子を両断。一方に突き刺して一口にした。甘いものを流し込むように茶を啜る。
「中学の時に祖父が亡くなった。両親は勉強しろの一点張りで、俺のいうことに耳も貸さない。俺は剣術を真剣に学びたくて、家を飛び出して寝子島へ来たんだ」
「剣術も勉強には違いありません」
ノアは湯呑に唇を当てて静かに飲んだ。
「……俺にだって苦しい時はあったんだ。剣術に興味を持たない選択肢もあっただろう。それを体験したいと、ここにきて少しは思った」
ノアは言葉を挟まなかった。ただ、微笑んで刀を見つめている。
「別の過去を選択することは今の俺を否定するのと同じなんだ」
「そのような考え方も十分に理解できます」
「本当に、なんかごめん。小山内はどうしたかな」
刀は小皿の残りを口に放り込んで、果ての知れない白さを眺めた。
海は大きな赤いランドセルを背負って教室の前にいた。
「海ちゃん、おはよう」
同じクラスの女の子が廊下を走ってきた。目にした海は慌てた。手には何も持っていなかった。
「ちょっと待ってて。おはよう、って書くから」
「もう、おはようって言ったよ」
女の子は笑いながら教室に入っていった。海はようやく気が付いた。
「私、喋ってるよ」
海は教室に入ると、誰よりも大きな声で挨拶をした。どうしたの、と瞬く間に数人の友達が集まった。
「どうもしないよ。大きな声を出すと、気持ちがいいよね」
「うん、わかる。わたしもだから」
「わかる、わかる」
皆の笑顔に囲まれて、海は満面の笑顔で頷いた。
海の声は授業中にも発揮された。誰よりも早くに手を上げて、はい、と大きな声を上げた。
先生は困ったような表情で言った。
「小山内さん、そんなに大きな声を出さなくても、先生にはちゃんと聞こえているから」
「はい、わかりました」
答える声の大きさに先生は笑うしかなかった。
その日、海の全力の声は学校の至るところで響き渡った。放課後、友達と別れて一人で家路に就いた。
「こんなに声を出すことが楽しいなんて思わなかったよ」
独り言の声音は少し落とす。歌は人目を気にしない。音程が外れた時は鼻歌に切り替えた。
「ただいま!」
海は大きな声で家に帰った。何故か、一面は銀世界。二人の男性が向き合って、ささやかな茶会を催していた。
海の顔が真っ赤になる。小脇に抱えたスケッチブックの存在に気付くと、文字を書き殴った。
『なんでもないから。いまのはわすれていいから』
「何を慌てているのか知らないけど、おかえり」
刀は椅子から立ち上がった。ノアの方を向いて、ごちそうになりました、と礼を述べた。
「それで報酬の方なんですけど」
「お気持ちだけで十分です」
「じゃあ、一緒に記念写真はどうですか」
「喜んでお受け致します」
刀の携帯電話で三人は写真を撮った。海は顔の火照りを訴えたが、そのままの赤さで画像に収まった。
『まってくれてもいいのに』
波打つ文字で海は不機嫌を露わにする。ごめん、と刀は素直に謝った。
『べつに、いいけどね』
やはり、海の顔はほんのりと赤かった。
「ノアさん、今日はありがとうございました」
『お世話になりました』
二人は心からの言葉を伝えた。最後に刀が思い出したかのように質問した。
「ノアさんは、どうして訪れる人に望む過去を見せているんですか」
「館の創造主である博士の希望を私が受け継ぎました」
「そうなんですか」
館にはノアの姿しかなかった。博士は裏方に徹しているのだろうか。
刀と海は深入りをしなかった。振り返らないで来た道を帰っていった。
白い空間にノアは語り掛ける。
「亡くなる前に博士は私を希望と言いました。今でもそうなのでしょうか」
ノアは今日のことを振り返るかのように、人々が出入りした一点を見つめる。
「私の希望は館に訪れる人々なのかもしれません」
過去創造館の一日が密やかに終わりを告げた。
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あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
今回はややこしい設定のシナリオにご参加いただき、ありがとうございました。
皆様のアクションの中身が濃厚で、書いては削って、削り過ぎては書き足しての楽しい日々を過ごしてきました。
案内人の登場頻度が高く、丁寧語と謙譲語が口癖になるところでした。
自分で書いていながら「キミは自重しなさい」と何度も心の中で思った次第です。
過去創造館はPCの過去と現在の両方を見せることで、より深いPCの造形を目指しました。
皆様の中にはアクションに全てを盛り込めなかった、という方もいるかもしれません。
望む声によっては、過去創造館は寝子島にとどまることもあるでしょう。
その時には性別のはっきりしない微笑みキャラとして、ノアをこき使います。
当館のご利用、ありがとうございました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年10月25日
参加申し込みの期限
2013年11月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年11月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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