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星明かりの下できみとダンスを踊ろう
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◆
三毛谷 道哉
の場合。
テーブル席に座って、
餅々 きなこ
は前を通り過ぎる人々に期待の視線を投げかけていた。しかし誰もが楽しむことに夢中で、夜遅くにこんな幼い少女が1人で座っていても、不審に思う者はおらず、声をかけようとする者もいない。
もう何時間もそうしているのだが、きなこの目の輝きは衰えていなかった。
テーブルの下で、人であるなら足にあたる部分を左右にふよんふよんと横に振れているの椅子の下から覗き見て、
(まるで猫のしっぽのようだな)
と
三毛谷 道哉
は思った。
今、彼は三毛猫の姿で、きなこを後ろから見ている。
気配を殺すこともなく、実はこの席につく前の、ふらふら宙を泳いでいるときから彼女に気付いていて、その危なっかしい動きからほうっておけず、あとをつけて現在に至っているわけだが、一向にきなこが彼に気付く様子はない。「みんな、いいなぁ」とか「だれか、あいがどんなものか、おしえてくれないかなあ」とかなんとかぶつぶつ呟いて、うっとりとため息をついているところからして、このままだときっと何時間たっても気付くことはないだろう。
(まさに夢見る乙女といったところだな)
何を考えているかは、断片的な独り言を聞いているうちになんとなくわかった。
つまり、恋愛について知りたくてここに座っているわけだ。
おそらくきなこの期待しているそれは、低学年の子ども向け少女漫画などでよく描かれる、楽しくて、いつも笑顔でいられて、ちょっぴりくすぐったい、気持ちのいいものなのだろう。
きなこもついに、いわゆる恋に恋するお年頃として目覚めたのかと思うとなかなか感慨深いな、とまるで父親のように考えて、道哉は手で顔を洗う。
(しかしきなこがいくらそれを知りたくても相手がいないと始まらないというか、どうにもならないことではあるよなあ)
道哉としては、きなこのお相手にはやはり長く一緒に添い遂げられるあやかしを推したい。しかし、では誰かとなると、ぴったりの相手が思いつかない。
知り合いのあやかしたちを思い浮かべてみるが、どれも純粋無垢なきなこの相手には(外見的にも中身的にも)大人過ぎたり、性格や行動に難ありだったりとかで、とても恋のお相手として推薦できる者ではなかった。
もちろん、きなこの考えが一番大事だ。きなこが「この人がいい」と言うなら反対はしない、つもりではいる。
(そうとも。私は遠くから見守るぞ)
ただ、もしもきなこを泣かせたり、困らせたりしたときには黙っちゃいないが。
とはいうものの。現状、今ここに呼び出せるような者はいないわけで。
もうかなりたったというのに独り者のあやかしが通りかかる気配もない。
これは見込み薄か、と見切りをつけて、道哉はため息をつくと人型になり、今通りがかったふうにテーブルへ手をついた。
さすがにそうなったらきなこも気付く。
「あ、みちちかくん」
「こんばんは、きなこ」
「こんばんは。こんなとこであうなんて、びっくりだねぇ」
きなこはうれしそうににこっっと笑って道哉を歓迎した。そして、きょろきょろと周囲を見渡す。
「どうかしたのかい?」
「ん? みちちかくんひとり? いっしょのひととかいないの?」
ここにやってくる者たちは、みんや親子連れかカップルなので、道哉もそうと考えたのだろう。
「いないよ。私1人だ」
道哉の返答に、きなこは「そうなんだ」と、少し不思議がる表情で応えた。
何を考えたかはなんとなく察しが付くが、それには触れないでおこうと思う。
続いてきなこは、「じゃあここになにかごようがあってきたんだね」と尋ねてきた。予想どおりだ。「きなここそ」と道哉は素知らぬ顔で訊く。
何を隠すことがあろうか。きなこはむしろ聞き手が現われたことにうれしそうに面を輝かせて全てを語った。
「ふむ。恋愛か」
「うんっ。みちちかくん、どんなものかしってる?」
「そうだな……、恋はいいぞ。海のように魅力的で、荒波のように飲み込まれる。毎日が幸せに溢れて生きがいができる」
「うんうんっ」
勢い余って身を乗り出して食いつくきなこ。
「しかし、しようと思ってできるものでないのが恋愛の難しいところだ」
「そう! そうなんだよね! だから、うんめいのあいて、なんだよね?」
その意味を深く知っている様子のない、聞きかじっただけの言葉とわかる言い方だった。実に子どもらしい言葉だが、それを笑って流すことはできない。
道哉はきなこに恋愛について話しつつ、一方で、自分の過去に起きた出来事を、まるで無声映画を見るように徒然と振り返ってもいた。
その全てが遠い過去だ。もう終わってしまった、帰らぬ日々。者たち。月日は流れて、今となってはあの頃の身も心も粉々になってしまうような痛みはないけれど、恋愛にまつわる全てを体験した今、恋愛はもういいと思う。
でも、恋愛の良さも知っているから、やはりきなこにもあの喜びを体験してもらいたかった。それで、もし大声で泣きたくなるような出来事が起きたら……何もしてあげられることはないかもしれないけれど、泣きやむまで一緒にそばにいてやろう。
そう、ひそかに決めて。
「まあ、恋は雷に撃たれるようなものだ。何が引き金になるかわからん。もしその時がきなこにもきたら、その時は楽しむとよいさ」
と締めくくった。
「かみなりかぁ。まえにほんでよんだことあるけど、あれってほんとうにおきることなんだね。みちちかくんがいうならしんじられるよ。
ありがとう。たのしみにまってるね」
でも、早くその時にならないかなぁ、とうっとりしているきなこに、道哉は「だんす、やってみるかい?」と提案した。
「だんす? おどるの?」
「ここは踊る者たちのための場所だ。まあ、見て楽しむ者たちもいるが。
さっき見つけたんだが、あやかしがまぎれて商売していた。どうやら専門の衣装屋らしい。きなこも客になってあげないか?」
「そうだね。でも……いいのかな?」
「人気がないところでやってもいいし、きなこが実体になれば、1人じゃなく誰かと踊れるじゃないか」
「でも……しってるひと、いないし……」
急に人見知りして尻込みするようなことを言い出したきなこに、おやおや、と道哉は帽子の下で片眉を上げる。
夢想はしても、いざ現実となればこんなものか。
「その2人は踊っていたんだろう? そんな2人の姿に憧れたんじゃないのかい?」
「そうだけど……」
「知らない人が嫌なら、私がお相手になろう」
との提案に、きなこが俯いていた顔を上げる。
「なに、予行演習というやつだよ。本当のお相手の数には入れなくていいから大丈夫。
それに、実は私もだんすは初めてなんだ」
最後、脱いだ帽子で口元を隠して、こっそり耳打ちするように言った一言に、きなこはぷっと吹き出し。一気に緊張がほどけた様子で笑顔になった。
「ありがとう、みちちかくん。よろしくね」
あやかし専門の衣装店にドレスアップしてもらって。きなこは道哉とダンスを踊った。
身長差も、きなこが宙に浮かべるので問題ない。
2人の他に誰もいない星空の下で、かすかに聞こえる音楽に乗って。
2人ともダンスは詳しく知らないから見よう見まねだったけれど、詳しく知らないから間違っているかどうかもわからず、気にならなかった。
「うふふ。うふふふ。きれいなどれす。きらきらしたかんむりもつけてくれたよ。
おひめさまみたい。そうおもわない? みちちかくん」
「ああ、とてもかわいいよ。きなこが動くたびにあちこちがきらきらして、まるで星の王女さまだ」
くふくふとこみ上げる笑気を抑えきれないで、幸せそうに宙を飛び回っているきなこを見て、心からそう思う。
星空を背にした今のきなこは、本当にきれいだ。
「うふふ。うれしいなあ。たのしいなあ。
ありがとう、みちちかくん。ねがいをかなえてくれて」
「どういたしまして。
きなこが望むなら、いつでもお相手になるよ」
そうして。
星明かりの下で、いつまでも、いつまでも、きみとダンスを踊ろう。
『星明かりの下できみとダンスを踊ろう 了』
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あとがき
担当マスター:
寺岡志乃
ファンレターはマスターページから!
こんにちは。寺岡です。
当シナリオにご参加いただきましてありがとうございました。
公開までお時間を取ってしまい、大変申し訳ありませんでした。
私事で大変恐縮ですが、とある事件が立て続けに起こり、それでスケジュールが大幅に狂って、ずっと修正がきかないまま、むしろ悪化する事態に陥ってしまっています。
(現在も進行形です……)
結果、皆さまにご迷惑をかけることになってしまい、大変反省しております。
このシナリオは、皆さんのイラストを見て書きたいと思ったシナリオでした。
それをモチベに書き続け、仕上げられて、今はほっとしております。
今のこの状態を立て直し、一日も早く安定した執筆体制に戻れるよう励みますので、またご参加いただけましたらと願うばかりです。
それでは、ここまでご読了いただきましてありがとうございました。
心より御礼申し上げます。
次のシナリオでもまた会えるとうれしいです。
もちろん、まだ一度もお会いできていない方ともお会いできたらいいな、と思います。
それでは、また。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年07月18日
参加申し込みの期限
2022年07月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年07月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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