【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者｜リアクション

【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者

●週刊かぎしっぽvol.XX075『怪奇！　真夏のまっしろおばけ』

　今日は吾輩の恐怖体験をお届けするにゃ。
　あれはお盆を過ぎた夏の夜のことだったにゃ。
　吾輩は島の北側の海辺を散策していたにゃ。
　街は島の南側に広がっていて、北側は普段から人気がないにゃ。
　その日も遠くに本土の街の光が筋みたいに見えているだけで、ほかは真っ暗。誰もいないように見えたにゃ。
　吾輩はひげを揺らして潮風を楽しみながら、ぼんやり海を見ていたにゃ。
　そのときすーっと、真っ白い人影が現れたにゃ。
「にゃにゃーーーーっ！」
　お、おばけにゃーーー！！！
　吾輩びっくりして叫んだにゃ。
「ゼロですよー。ゼロ・シーアールシーですよー」
　真っ白おばけはふわふわとしゃべったにゃ。
「びっくりさせてごめんなさいなのですよー。気持ちよさそうな夜なので、気持ちよく夢を見られる場所を探しにきただけですよー。すぐにお暇するのですよー」
　けっこういっぱいしゃべるおばけさんにゃ。
　もしかして人間なのかにゃ？
　吾輩目を凝らしたにゃ。
　背は低くて子どもくらい。
　髪は白くてふわふわと長くて。
　白いワンピースを着ているにゃ。
　……人間の女の子にゃ。
　けど、こんな時間に女の子が一人でこんなところに来るかにゃ？
　そう思ってびくびくしていたら、女の子はおもむろにその場に蹲って眠り始めたにゃ。

「おっきくなるのですよー。ゼロはとってもおっきくなるのですー……」

　しばらくむにゃむにゃ言っていたと思ったら……。
　女の子の姿がすうっと消えたにゃ！！
　吾輩は慌てて女の子が蹲っていた場所に行ってみたにゃ。
　けど、女の子はどこにもいないにゃ。
　信じてほしいにゃ！　本当にどこにもいなかったのにゃ！　煙みたいに消えちゃったのにゃ！

　おおお、おばけにゃーーーーーッ！

　吾輩は脱兎の如くその場から逃げたにゃ。

「それはきっと、何十年も前から噂になってる『まっしろおばけ』にゃ……」
「その話、じいさんのじいさんも言ってたにゃ。神出鬼没だけど悪さはしないらしいにゃ」
「都市伝説にゃー」