【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者｜リアクション

【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者

●週刊かぎしっぽvol.XX094『デートって！？』

　冬は人間の恋の季節らしいにゃ。
　発情期が決まっていない人間たちは、１２月はクリスマスでイチャイチャしたり、１月は新年でイチャイチャしたり、２月くらいにチョコレートを贈り合ってイチャイチャしたりするにゃ。
　吾輩が、シーサイドタウン駅前で待ち合わせをしていた佐藤英二くんと野々ののこちゃんに出くわしたのは２月のチョコレートの日よりあとのことだったにゃ。

　ののこちゃんはいつもよりお洒落していたにゃ。
　『初デート』って単語が聞こえてきたにゃ。
　猫なみなさんにはあまりメジャーじゃないかもしれにゃいが、デートっていうのは人間がつがいになるための儀式のことで、仲良しな人が二人組でお出かけすることにゃ。人間は交尾とかするまえにデートを何回かする生き物なのにゃ。猫からするとまだるっこしいけど、人間はつがうといっしょにいる時間が長くなるから慎重なのかもしれないにゃ。
「でも英二くんてば牛丼食べたことないのー？デートってお昼に牛丼食べることでしょ？」
　ぴた。
　英二くんの目がお皿みたいになって、まるで英二くんだけ時が止まったみたいに動きが止まったにゃ。
「私、知ってるよ！　デートすなわち『デー牛丼』の略！」
　そそそそ、そうだったのかにゃ！
　猫なみなさんにはあまりメジャーじゃないかもしれにゃいが、牛丼とは白ごはんの上に牛が乗ったものにゃ。
　どうやって牛を乗せるのか、吾輩もよく知らにゃいが、もしや英二くんはののこちゃんのためにこれから牛を掴まえに行って、角をつかんでロデオしつつ大量に炊いたごはんに乗っからせるという大仕事をするつもりかにゃ！
　人間の『デー牛丼』は大変にゃ。
　つがうために、そこまでの強さが求められるとは……。
　吾輩、猫で良かったにゃ。

「にゃ～。つがうまでの難易度高すぎるにゃ」
「だから人間は婚姻率が下がっているのにゃ～」
「猫で良かったニャー」