【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者｜リアクション

【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者

●週刊かぎしっぽvol.XX058『星ヶ丘に吸血鬼現る！』

　星ヶ丘で紛争が起きたときいて、吾輩、使命感に駆られて星ヶ丘寮にやって来たにゃ。
　吾輩が到着したときには仮面をつけた人たちが「ハンターだ」「オオカミだ」とか言い合いながら、鉄砲でズキューン、バキューンとやり合ってたにゃ。お、おっそろしいにゃ～～。
　吾輩が弾を避けてあっちへこっちへ逃げ隠れしているうちに、幸い、紛争は終わったにゃ。
　仲直りの儀式なのか、仮面をつけた人々はダンスをはじめたにゃ。
　吾輩の目の前では、吸血鬼が紳士と手を取り合って踊り始めたにゃ。
　紳士のほうは仮面が半分だったから分かったにゃ、倉前七瀬くんにゃ。

「さっきの銃、まだ一発残ってるんだよねぇ。……僕の足を踏んだら、その時は……」
「勘弁してほしかですー」

　にゃ～っ。吸血鬼のほうはまだ戦う気満々にゃ！
　危機を察した吾輩はにゃあにゃあ鳴いて知らせようとしたが、噴水がざあっと飛沫をあげて高くあがって、吾輩の声をかき消してしまったにゃ。
　にゃにゃ！
　七瀬くんは怖くないのかにゃ。
　吸血鬼といつまでもくっついてるにゃ！
　吸血鬼は七瀬くんの首筋に顔を近づけてるみたいにみえるにゃ。
　だめにゃ！
　噛まれたら七瀬くんも吸血鬼になっちゃうにゃー！

「幸い七瀬くんは噛まれずに済んだみたいにゃ」
「人間たちの伝説によると、吸血鬼は人の首を噛んで仲間を増やすそうにゃ」
「首を噛む？　愛情表現じゃないのかにゃ？」
「違うにゃ。噛んだり噛まれたりして吸血鬼が伝染病みたいにうつっていくのにゃ」
「物騒にゃ～～」
「吸血鬼は銀の銃弾で心臓を撃つとやっつけられるそうにゃ」
「……にゃにゃ～。猫の肉球でも銃って撃てるのかにゃ～？」