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わけもなく、こころから
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潜った門の先は、大きな窓が並ぶ廊下だった。
振り返って見れば、半分開きっ放しの扉の向こうには誰かの部屋があった。
シンプルな机の上には数冊の本、壁に作り付けの書棚にもたくさんの本。テラスに通じる大きな窓から差し込む昼前の眩しい光は、夜の色に慣れた瞳には眩しすぎた。
ちかちかする眼をぱちぱちさせながら、傍らにウォルターを探す。左手に大きな掌の感覚がきちんとあることに安堵しながら見上げれば、眩しい光の中、ウォルターはどこか動揺したような表情をしていた。
「ウォルター、……先生……?」
「ああ、いや、……」
柚春のまなざしを受け、ウォルターは困惑気味の笑みを浮かべる。
「僕の家だねぇ……」
自室の扉をそっと閉ざし、見慣れた自宅の廊下へと視線を投げて、
「あら、……」
廊下の先、掃除機を片手に小首を傾げる老メイドと目があった。
「お出かけされていたのでは」
自室から女性と手を繋いで主が出て来ても、彼女は表面上は大して驚いた仕草も見せなかった。
「うん、ええとねぇ、」
「あっ、あのっ、」
揃って慌てて手を離すふたりに、老メイドは華やいだ笑みを見せる。
「朝のお話、少しはお考えになられましたか」
「っ、いや、結婚相手とかそういうのじゃ……」
「生徒です、ただの生徒」
同じ仕草で首を横に振るふたりへ意味ありげな笑顔を向けてから、老メイドは張り切った様子で細腕を捲る。
「折角のお客様ですもの、お茶にいたしましょう」
スキップでもしそうな急ぎ足で階下の厨房へと向かう老メイドの背中を見送り、柚春はウォルターにだけ聞こえる声で囁いた。
「今は、ですね」
「っ……」
困り果てた様子で視線を泳がせるウォルターの正面に柚春は回り込む。背筋を正し、視線を合わせる。
「夢じゃなかった……よね」
確かめるために問えば、ウォルターは小さな息とともに頷いた。
あの不思議な景色も、本に吸い込まれて見た幻も、全てふたりで経験した現実であると再認識して、──途端、柚春は理解する。
(……あんな過去)
思い出したくなかった記憶なのかもしれなかった。
少なくとも、『生徒』に知られたくない記憶であるには違いない。
(きっと、心を抉った)
気付けば視界の中のウォルターの姿が涙に滲んでいた。
「ごめんなさい」
「稲積が謝ることはなんにもないよ」
「でも、」
「大丈夫」
微笑んで肩を叩こうとするウォルターの手を、柚春は両手で掴む。
(酷い自己満足だ)
冷たい指をぎゅっと握りながら、そう思いながら、それでも伝えたかった。
「あの時のあなたを一人にしなくて良かった」
精一杯のまごころを込めて口にすれば、瞳から溢れて頬を伝った涙をウォルターのもう片手が拭ってくれた。そうだねぇ、とウォルターの声が優しい笑みを帯びる。
「稲積が居てくれて良かった」
目を合わせて微笑み合いながらも、柚春は降り注ぐ光に元の世界へ帰還したことを実感する。
「帰ってきたなら『生徒』かな」
「そうだねぇ」
「……先生と生徒って恋愛できるの知ってた?」
ウォルターの周りにまだ漂っているように感じてしまう悲しい香りを吹き飛ばしたくて悪戯っぽく言ってみる。いつだったか、心配で調べたことがあった。
「純愛は法律で許されるから、断る理由にはならないんだよ!」
『先生』の手を離し、『先生』の手を握っていた両手を後ろ手にして一歩後ろにさがる。でも、と首を傾げてみせる。
恥ずかしくて調べられていないことがひとつ。
「ウォルター先生、純愛ってどこまで?」
目を丸くするばかりのウォルター先生に、柚春は女子高生の顔で先生が教えてくれたらいいのにと笑う。
「生徒からの質問ですよ?」
今はね、と重ねて言った途端、先生の目元がふわりと赤くなって見えたのは気のせいだろうか。
「稲積、先生をからかわない」
「お茶の用意のお手伝いに行ってきますね」
厨房の場所を聞いて元気に廊下を駆けて行く少女の背中を見送り、ウォルターは片手で口元を隠す。吐いた息が何を意味するのか分からぬままに佇んでいると、
「実際生徒からの恋慕どーよ?」
半開きのドアの奥から、揶揄するような真剣なような声が聞こえた。振り返る視線の先に立っていたのは、あの夢の中、己の背中を蹴って発破をかけてきた黒髪の少年。
窓から差し込む眩しい光の真ん中に立つ彼は、まるで夢の続きのようだった。
「まだ『先生』でいさせて欲しいなぁ」
「男としてなら、どう答える?」
不機嫌そうにこちらを睨みつける鋭い美貌が不意に光に解ける。
瞬きのうちに長身のひとの姿から小さな人形の姿に戻ったворのもと、ウォルターは歩み寄った。柚春が大切にしているカプセルギアを両手に拾い上げ、明るい笑顔を見せる。
「たとえ男同士でも、それは内緒だよ」
体当たりするようにことんと倒れたворをそっと起こし、廊下の向こうから聞こえて来た柚春の声に応じて部屋の外に出る。夢に終わりを告げるが如く扉を閉ざし、いつも朝食を摂る階下の食堂へと向かう。
「先生、ウォルター先生っ」
老メイドとどんな話をしていたのか、妙にご機嫌な柚春が階段を駆け上がって来た。
「先生の愛称って?」
並んで階段を降りる少女の肩にворを乗せてやりつつ、ちらりと首を傾げる。愛称で呼ばれたことなど、もう長くなかった。
「ワット、かなぁ」
幼い頃に呼ばれていたその愛称を口にしてみる。もういない彼が呼んでくれていた、その呼び名。
「……それ、私もここで呼べるようになったらいいな」
屈託なく笑う少女に笑みを返せば、ずっとずっと胸の奥を詰まらせていた氷の塊がゆるゆると溶けてゆくような気がした。
「ウォルター先生、お茶の後に猫恋の鐘を一緒に鳴らしに行こう」
「……恋人達の丘だっけ?」
老メイドから噂を聞いたことがある丘の名を口にすると、柚春の頬は朱を帯びる。
「いいことがあるらしいから」
「いいことかぁ、いいねぇ」
階段の最後の二段をぴょんと飛び降り、振り返って柚春は笑った。
「愛称で呼べるように鐘にお願いするんだ!」
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
ウォルター先生の過去に迫ったりおうち拝見したりな一幕をお届けにあがりました。
決して語らない過去というのはどういうものかしらと考えに考えた結果、結構重ためな過去になってしまいました……。
ここを経て、ふたりの関係がどうなってゆくのか、そこにворさんがどう絡んでゆくのか、これからも楽しみにしております。
このたびはプライベートシナリオのご依頼をありがとうございました。稲積さんやворさん、それからウォルター先生も、みんなのひとをみんなのひとらしく描けておりましたらと願うばかりです。少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
このたびにはご依頼いただきまして、お読みくださいましてありがとうございました!
個別コメントにはせっかくなので(?)、先生の過去没案とかをおまけ程度に添えておきますー。
それでは、このたびは本当にありがとうございました!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSS(500)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年05月25日
参加申し込みの期限
2022年06月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年06月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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