this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
今夜、寝子ヶ浜海岸で。~猫の目シーグラス~2
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
佐和崎 紗月
と
初瀬川 理緒
の場合。
8月は夏休み。まるっと1カ月学校に行かなくて、好きなことをして過ごしていい期間。
まあそれでも塾の夏季講習行ったり、図書館で自主勉強したりして過ごす人も多いだろうけれども。
学生にとって夏休みは、自由を謳歌する期間、じゃない?
(全然そんな実感ないのですが……)
電車の座席に腰掛けて、ふわ……とあくびをし。紗月は目を閉じる。
去年まではそんな感じだった。
ううん、春休みまでは。
それを感じられなくなった理由もわかっている。というか、考えるまでもなく、3月にグラドルデビューをしちゃったせいだ。
「紗月ちゃんは写真写りいいね。どの写真も絵がキマってるから別の意味で選ぶのが大変だ」
って褒められて、グラビアが好評だと言われたのはうれしかった。掲載された雑誌がよく売れたと聞いたとき、売り上げに貢献できてよかったとも思った。だけどまさか、こんなに仕事が舞い込むなんて思ってもみなかった。
ずっとなりたいと考えていてなったわけではなくて、突発的というか流れ的にというか……でも無理やりというわけでもなくて、ただ、その1回限りというか……、その後続いたとしても1~2回、時たまマネージャーから仕事の声が掛かるくらいだと考えていたのに。
夏休みならいつもより都合つくだろう、事務所が考えたかどうかは本当のところ不明だが――でもおそらく当たらずとも遠からずだ――スケジュールを渡されたときは驚いた。思わず、
「これ、理緒ちゃんのと間違えていませんか?」
と質問してしまったくらいだ。
マネージャーは目を丸くしている紗月に笑って、間違いなく紗月のもの、と請け負った。
週に平均3日の撮影、間に打ち合わせ。休日のようで全然そうでない撮影前日の移動日。撮影を終えたらとんぼ返りして雑誌の取材。どう見ても殺人スケジュールである。
それでも、何日かは空いてる日もあるし、移動日は半休みたいなものだし、と紗月は自分に言い聞かせた。
それに、ほとんどの撮影が理緒とかぶっている。どうやら雑誌編集部のほうで、2人で写っているグラビアが読者の反応もいいという評価を事務所やカメラマンに伝えているらしい。清楚可憐な紗月と活動的でスポーティな理緒は、例えるならパステルとビビッドカラー。ウサギと猫。タイプの違う2人なのに、同じ画角に入ったとき、不思議と独特の雰囲気が生まれるのだという。
普通ならぱっちり分かれておかしくないファン層が、紗月と理緒の場合だと、「2人セットで見るのも好き」という層まで生まれているのだという。
どんなに忙しくても、これを乗り越えれば撮影で理緒ちゃんと会える、また一緒に過ごせる、という思いを糧に、紗月は毎日を乗り切ってきた。
だけど、もうそろそろエネルギー切れかも……。
「紗月、起きてる? 駅に着いたわよ」
そんな理緒の言葉を耳元で聞いて、急いで目を開ける。
いつの間にか理緒の肩にもたれて寝ていたらしい。
「え? も、もう?」
座席に座った記憶しかないんだけど、とあわてる紗月の前、理緒は上の網棚から荷物を下ろす。
「座った瞬間、もう寝てたわね。すごく疲れてるみたいだから起こしたくなかったんだけど、乗り過ごすわけにはいかないでしょ」
「うん……ありがとう」
まだ少し眠気の取れないまま、理緒の後ろに続いて駅を出る。ホームの時計によれば、今の時刻は夜9時を少し回ったところだった。
改札口から外に出て、満天の夜空を見上げた理緒は、そのまま「うーん」と背伸びをする。
「今日も疲れたーあ」
「くたくただよね」
今日は事務所での打ち合わせがメインだったけれど、蓄積された疲労がお互いの余力を少なくしているのは明らかだった。
「今日はタクシーで帰るから、理緒ちゃんも早く家に帰って、ゆっくり寝てね」
「待って」
ばいばい、と手を振ってタクシー乗り場へ向かおうとする紗月の手が、理緒につかみ止められる。
「もう少し一緒にいよう」
そう言って、理緒は道路に向かって歩き出した。
海岸線まで出て、堤防沿いに道を歩く。
「どうしたの、理緒ちゃん?」
訊かれても、理緒は答えられなかった。だから
「もう少しだけ」
という返答を繰り返した。
きっと紗月の言葉が正しい。
連日の仕事でくたくたに疲れているから早く家に戻って、シャワーを浴びて、ベッドにもぐり込んで、明日に備えたほうがいい。
わかっているけど……離れたくなかった。
そんな理緒の言葉にならない思いを紗月も理解しているのだろう。
指を絡めた手をつないで歩きながら不思議そうに訊きはするが、手を振り払ったり、足を止めて強引に理緒の歩くのをやめさせようとはしない。
「あ、ほら。夜光虫。めずらしくない? 近くで見ましょ」
それまで理由もなく連れ歩いた後ろめたい気持ちを隠すように、青く光っている波間を指さして階段まで走った。
そうして波打ち際まで行ったとき。初めて紗月が顔をしかめた。
「あ、ごめん」
無意識のうち、つないだ手に力を込め過ぎていたことに気付いて、ぱっと手を離す。
「夜の海って風情あるかなーって思ってたんだけど、こうして見たら結構淋しくて……それでつい手に力が入っちゃってさ。もしかして痛かった?」
「ううん、痛くないよ。痛いって思う前に理緒ちゃんが離してくれたから」
潮風に乱れた髪に手をあてる。
「夜の海……確かに怖いね。吸い込まれそう。波音も、こんなに大きかったんだ」
昼間とは全然違う様子に、紗月も目が吸い寄せられるというか、何らかの力を感じる。夜光虫のせいかもしれない。青く発光しながら寄せたり引いたりする波は、普段自分の知る海とは違って見えるから……。
そんなことを考えていたところに理緒が
「で、なーんか出てきそうなんだよね、お化けとか。昔話に、海に関連する妖怪とかお化けとか、結構いたよね」
なんて言うものだから。ちょうど月が雲をうっすらかぶって周囲が暗さを増したこともあり。
「ちょっとやめてよ。今言われたら、冗談に聞こえないよ」
紗月はぶるっと肩を震わせて、たたくふりをした。
「ははっ。嘘嘘。あたしがここで知ってる話は1つだけ。月猫の話だけよ」
こちらも避けるふりで、2~3歩横に身をずらす。
そのまま走ろうと身を翻したところで紗月が「ちょっと待って理緒ちゃん」と呼び止めた。
「足元」
「え?」
「ほら。何か光ってる」
紗月が足元の砂を見ていた。
追うように理緒も視線を下げて、濡れた砂を見る。そのうち雲間から月が顔を覗かせて、明度が強まった。
きらりと何かが光ったのを、今度は理緒も見る。
紗月が手を伸ばして拾い上げ、砂を払った。
「何かの貝殻?」
反対側から理緒も覗き込む。
「違うみたい。……石?」
もっとよく見ようと持ち上げて、月に掲げてみたけれど、逆光になったせいか、やっぱりよくわからなかった。
「何かあるように見えない?」
「どこ?」
「ここ。ほら、こういう形に」
理緒が指でなぞると、確かにその形に色が違っているのがわかった。
「ということは、化石かなぁ」
「へえ、そんな物があるんだ? もしかして、値打ち物?」
「まさか」
と首を振って笑う。
「何かの貝殻っぽいかな。あとでネットで調べてみることにするね」
紗月はハンカチでくるんで、カバンの前ポケットに入れた。
「理緒ちゃん、お待た、せ……?」
理緒のほうを向くと、理緒はこちらに背を向けて、しゃがんで足元の砂を掘っていた。
「どうかした?」
「んー。他にもないかなと思って。もしかしたら、同じ物が埋まってるかもしれないでしょ」
でなくても割れた続きの部分とか。
そうして、ここはと思う場所を何カ所か掘ってみる。
「んんー、ないわね」
かわりのように出てきたたくさんのガラスの欠片を手のひらに乗せて、立ち上がる。
目的の石が出てこなかったことにがっかりして、ふうとため息をつくのを見て、紗月がまあまあというようにぽんと肩をたたいた。
「きれいな玉もいっぱいあるよ。ほら、これとか」緑がかった青色の玉を取る。「猫の目シーグラスじゃないけど、同じくらいきれいだよ。それに、これとこれも」
理緒の手の中の、薄茶色の物や、淡い青緑色のティアドロップ型の物を指さす。
「数があるから、ワイヤーで巻いてブレスレットにすると、理緒ちゃんに合いそう」
「そう?」
「うん。あとね、これ。大きさが少し違ってて、色も違うけど、形が似てるよね。同じデザインにしたらおそろいの指輪になると思うんだ」
「指輪。いいわね!」
特におそろいというところが気に入った。
自分の提案に笑顔を輝かせる理緒に、紗月もうれしくなる。
「じゃあ今度、一緒に作ろ?」
「うん!」
見つけた他のシーグラスも2人で分け合って。手をつないで海岸を歩いて帰った。
いろいろしたはずなのになぜか疲れは吹き飛んでいて、とてもいい気分でベッドに入れた。
(作業室を貸し出してる雑貨屋さん、たしか旧市街にあったよね……)
なんてことを考えつつ、眠りに落ちる。
明日もがんばろう。
おやすみなさい。
『今夜、寝子ヶ浜海岸で。~猫の目シーグラス~2 了』
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
寺岡志乃
ファンレターはマスターページから!
こんにちは。寺岡です。
当シナリオにご参加いただきましてありがとうございました。
公開までお時間を取ってしまい、申し訳ありません。
道を挟んだ向こう側が海という、海辺の町で生まれ育ったわたしは、やっぱり海が好きで。海や浜辺が舞台のシナリオは特別思い入れがあります。
前作「今夜、寝子ヶ浜海岸で。~猫の目シーグラス~」もやっぱりお気に入りシナリオの1つで、また書きたいと思っていたシナリオでした。
そして今回、猫の目シーグラスに『願い事が叶う』というエピソードが追加されて、ますますロマンチックな物になり。
ぜひまた機会があれば「3」を書きたいと思いました。
もし出ましたら、そのときまたご参加いただけたらと思います。
それでは、ここまでご読了いただきましてありがとうございました。
心より御礼申し上げます。
次のシナリオでもまた会えるとうれしいです。
もちろん、まだ一度もお会いできていない方ともお会いできたらいいな、と思います。
それでは、また。
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
今夜、寝子ヶ浜海岸で。~猫の目シーグラス~2
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年05月03日
参加申し込みの期限
2022年05月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年05月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!