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今夜、寝子ヶ浜海岸で。~猫の目シーグラス~2
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◆
愛猫 萌々子
と
万条 幸次
の場合。
今日は堤防で待ち合わせ。
「こんばんは、先輩」
西日に照らされながらやってくる幸次が自分の前で立ち止まるのを待って、萌々子はあいさつをする。
「こんばんは。
どうしたの? こんな時刻に」
「夜じゃないとできない事があって。先輩に、つきあってほしいと思ったんです。
何かご用事がおありでしたか?」
「いや、そんなことないけど」
あっても、萌々子から連絡が来た時点でキャンセルだと、心の中で思いながら返答をする。
「それで、したい事って?」
質問に答える前に、萌々子は空を見上げた。まだ太陽のほうが強くて、東の空にある満月はうっすらと青白いままだが、もう30分もすれば太陽はほとんど沈んで夜になるだろう。
「歩きませんか。歩きながらお話しします」
萌々子は先に立って、海岸へ続く階段を下りた。
「猫の目シーグラス探し?」
「満月の夜に見つかるんです。月猫のお話、知りませんか?」
「いや、聞いたことはあるよ。そっか、今夜満月なんだ」
空を見上げた幸次はふと。
「でもそれって、門限大丈夫なの?」
「ちゃんと寮母さんにお話しして、許可はいただいています。
私が誘ったんです。気にしないでください」
「そっか。
それにしても、寮だと遅くなるとき許可がいるから大変だね」
そんなふうに話しながら、藍色に染まった海岸を並んで歩いた。
なんでもないことなのに、話すだけで楽しい。そんなことを感じながら。
「だけど月猫の話って、ちょっと終わりが寂しいよね。
俺にももう会えない猫がいるけど、もし空にいるなら悲しむより笑っててほしいな」
「え? 今の花遊さん以外にも猫がいたんですか?」
見上げてくる萌々子に、うん、とうなずく。
「……聞く? そんなに楽しい話じゃないけど」
「聞きたいです」
「もう6~7年くらいなるかな。俺が小6になってすぐ家にやって来た迷い猫で、そのまま家に居着いたんだ。
白くて、ふわふわの毛並みをした、青い目の猫だったよ。すごく人なつっこくておとなしい子で。いつも俺の足にすり寄って、黙って隣に座ったり、足元に横になったりしてた。俺は、葉桜になった桜の木の下であいつの頭を撫でながら、「来年は一緒に満開の桜を見ような」って約束して、『花見』って名前をつけたんだ」
口にすることでいろいろとその猫との思い出がよみがえってきたのか、幸次の面に優しい笑顔が広がる。
「ただ、今思うとかなりの年寄り猫だったな。だからあんなにゆったりした動きで、すぐ疲れて横になったり、眠ったりしてたんだろう。結局、1年たたないうちに死んじゃったんだ。桜が咲く前に」
「そんな事があったんですね……。悲しかったですか」
「まあね。横になったまま、起きない花見におかしいなって思って。もう二度と目が覚めないんだってわかったときは、すっごく泣いた。
もう6年も前の話だって」
萌々子の表情が曇ったのを見て、幸次は笑って見せた。
「それに、花見が誰にも看取られずにひとりぼっちで外で死ななくて良かったと思ってるし、あの子といろいろできなかった分、今いる花遊といっぱい花見したり、たくさん遊ぼうって思えるようになったから、いいんだ」
「そうですか」
しんみりした空気を吹き飛ばすように、幸次はことさら大きな声で
「それより、満月が上ったよ。さあ掘ろうか」
と萌々子を促す。
幸次の思いやりを感じながら、萌々子は「はい」とうなずいた。
湿った砂を掘りながら、萌々子はさっき聞いたばかりの話について思いを巡らせる。
まだ幼かった幸次のことを思うと胸が詰まる。もう昔の事と、笑ってくれたけれど……。
中3で花遊さんが家にきて、とっても大好きになったからその出身地の寝子島に興味が湧いて、行きたくなって寝子高を受けた、というのは聞いていたが、その前に、そんなちょっぴり悲しい出会いがあったなんて。
老猫花見さんと過ごした日々が花遊さんにつながっている。そして花遊さんから寝子島、萌々子に。
自分たちがこうしてこの島で出会えたのも、花見さんと花遊さんの縁があったからだということがますます感じられて、萌々子が2匹の猫に奇縁を感じたときだ。
掘った砂の中から、コロリと何かが転がり出てくるのが見えた。
掘るのをやめて、急ぎ染み出た海水の中に手を入れてつまみ出す。
「ありました! 猫の目シーグラスです!」
「えっ?」
別の場所を掘っていた幸次が振り返り、走ってくる。そして萌々子がお椀の形にしている両手の中を覗き込んだ。
「これ?」
「私も本物を見たことないですが、これ、猫の目みたいじゃないですか?」
「見せてもらってもいい?」
「はい。どうぞ」
波に洗われて丸くなったそれを、指でつまんで月の光に透かしてみた。
「ね? 中に猫の目のような線が入っているでしょう? しかも青です」
いつになく興奮した萌々子がとなりで力説してくる。
磨りガラスのように曇っているし、中の線は細くて見づらい。
幸次は「んー」と目を細めて見て、結論した。
線は亀裂だ。
(言われて見れば猫の目のように見えなくもないけど……。でもやっぱり普通の青いシーグラスだ)
その事実を告げようかどうしようか、迷って幸次は萌々子をちらと見る。
幸次と目が合い。
「それは先輩に差し上げます」
見つけられて、ものすごくうれしそうな顔で、そう言ってくれた。
(こんなに一生懸命探してくれた物だから、やっぱり本当のことは言わない方がいいなあ)
「ありがとう。すごくうれしいよ」
これなら嘘じゃない。
お礼を言うと、萌々子は少し照れたようなしぐさをして、でも笑顔がますます輝いて。幸次も自然と笑顔になる。
幸次にとって手の中のそれは、猫の目シーグラスよりももっと大切な思い出の品になった。
小休止。乾いた砂の上に並んで座って、海の様子を眺めながらそのときの話を聞いて、萌々子は真っ赤になった。
「わ、私、そんなに笑ってましたか?」
「うん。覚えてない?」
「覚えていません」
(そういえば2人でのほおずき市のときも、三寮祭で星ヶ丘のダンスパーティーのときも……結構やりたいようにやっていたような……)
ああ、そんな私を見て、先輩はどう思ったでしょう?
熱くなった頬に手をあて、萌々子は恐縮しきって自省モードに入っているが、そんな萌々子の姿も、幸次はただただ「かわいいなあ」と思うだけだ。
「なんだろうなー、愛猫さんはいつも自分を抑えてるように見えるんだよね」
「私がですか……?」
「うん。べつに、それが悪いってわけじゃ全然ないけど。さっきみたいに、時たま見せてくれる笑顔とか、ああ今は心許してくれてるんだなって感じられて、倍うれしいし」
「……私も……素直に話せる人ができたのは、本当に良かったです……」
照れて俯きながらも頑張って、幸次に伝えようと気持ちを言葉にしているのがわかる。その姿も健気でかわいい。
幸次にとって、彼女は何をしてもかわいいのだ。萌々子というだけで、ずっと見ていたくなる。
ぽりぽりと鼻の頭を掻き。
「俺にだけそういうの見せてくれるのであれば、それはそれで嬉しいなー、なんて」
彼女の頑張りに応えたくて、いつもより一歩踏み込んで、今まで心の中だけで思っていたことを口にした。
萌々子は何と言ってくれるだろう? どきどきして待っていたけれど、返事は返らない。
ただ、萌々子が少しこちらに身を寄せてきたなと思った次の瞬間。
ぽすん、と萌々子の頭が軽く幸次の肩に乗った。
「……先輩は、そうしていつも私の聞きたいことを言葉にしてくれるんですね……。
私も先輩みたいに、何もかも、言葉にできたらいいのに……」
(いや、俺も何もかも口にしてるわけじゃ……)
今何考えてるか、胸の中を覗かれたら、きっとそんなことは言ってくれなかったと思いながらも幸次は答える。
「愛猫さんは、愛猫さんのペースでやったらいいと思う。頑張りはちゃんと伝わってるから」
(いつか先輩にも私がののこ様を信望しすぎて漫画を描いていたり、そのキャラクターのコスプレをしたり、黄色はっぴの親衛隊の隊長なことも話さなきゃいけないですよね……)
いたわりの言葉をありがたく感じながら、でもそれに甘えてはいけないと己を戒める萌々子のとなりで。
幸次は、これは彼女の肩に手を回してもいいという合図なのか、違うのか、後ろで腕をぷるぷるさせながら悩んでいた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年05月03日
参加申し込みの期限
2022年05月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年05月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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