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今夜、寝子ヶ浜海岸で。~猫の目シーグラス~2
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◆
雨崎 楓香
と
雪見 大福
の場合。
満月の夜になっても、夜光虫は消えていなかった。
「よかった、まだあった。また見たいと思ってたんだよね」
あの夜見たときと同じ海であることにほっとしつつ、楓香は波打ち際まで行き、しゃがんで手のひらで海水をすくう。
寮生活のため、実家のように気軽に夜の外出はできなかった。寮母さんはわからない人ではないし、今の時期しか見られない光景なんです、とか力説すれば、また許可してくれるとは思ったが……、だからといって乱用していい申請でもないと思う。
大福が一緒、というのもいい方向に働いたのだろう。一見して染めたとわかる茶髪だし、無愛想でとっつきにくそうな印象があるものの、話してみれば信用できる人当たりのいい好青年だとわかる。
そしてその当の大福はといえば、やはりあの日のように海に向かって水切りを行っていた。
まっすぐ沖を見つめて振りかぶり、アンダースローで石を放つ。大福の手を離れた石は数メートル先の海面に着水し、波紋を残しながら数度跳ねて海中へ沈んだ。
「……5、6、7、8。よしっ!」
着水の数を数え、ぐっと腹の横で拳を握る。
「今夜も俺の黄金の右腕絶好調!」
そして足元に拾い集めてあった石を取って、また放る。なんだかものすごーーく楽しそう。
見ているとむずむずしてきて。
「ハルくん、私も私も!」
「ん? じゃあそこから好きな石を選べよ」
やりたい! と意気込む楓香に、大福は自分の拾い集めた石を指さした。
「ありがとう。
どれがいいかな~」
(水切りだから、なるべく平たい石がいいよね)
あれこれと持ち上げて、握って感触を確かめる。
「よーし、これだ!」
意気揚々、大福をまねて石を放った。最初の1投は2回跳ねただけで終わった。
「ありゃ」
「ふっ」
口元にあてた手で隠していたが、なんだか大福はうれしそうだ。
それを見た楓香はむうっときて、次の石をつかんだ。
今度こそ、と投げる。が、今度は跳ねずに水中にドボン。
「もー、なんで???
そっか! きっと、ハルくんのまねしてるからいけないんだ」
「は?」
「ハルくんに勝つには、ハルくんのまねしてちゃ駄目だよね!」
謎理論で納得して。石も自分で探してきて、それを思いつく限りの投げ方で投げる。
オーバースローにバックハンド、そして水平打ち!
絶対に大福に勝つんだ! という思いで、とにかく水切りについての知識を思い出せるだけ思い出して、それを武器に大福に挑んだ。
「……7、8。やったね!」
ハルくんに追いついた! とぴょんっと跳ねて喜んで、隣の大福を見上げた。
「次は追い抜くんだから!」
今まで兄のまねをする妹を見るようにあたたかい目で見守ってきたが、そうやって挑まれると、大福も平静ではいられない。
男はいくつになっっても心の中に子ども心を持ち続けているもの。
大福の中で眠っていた、小学生キッズが目を覚ます。
「フッ。そうやって挑まれちゃあしょうがねえ。いっちょ俺の本気を見せてやるか」
指をポキポキ、手首ふりふり。
――ハルくん、キャラ変わってませんか?
「今こそうなれ! 俺の右腕!
ギャラクティカエクスペリエンスロイヤルエクスプロージョンバーンナックルスペシャルーーーッ!!!」
「おーっ! なんだか知らないけどすごそうな技名だーー!!」
いけいけごーごー!
楓香もノリノリで大福を応援する。
そして本当に必殺技的なアレをしたのかどうかはわからないが、そのとき大福が投げた石は確かにすごくて、18回も跳ねた。
「やったぜ! 今までで最高記録!!」
「すごい!! すごいよ、ハルくん!!」
楓香も興奮して手をたたく。
「じゃあ今度は私の番だね!」
肩をぐるんぐるん回して石を投げる。だけど結果は5回で終わった。
「む~」
「手首のスナップがうまく石に伝わってないんだ。石はこう指を引っ掛けて持つんだ。ほら、持ってみろ」
大福に指の掛け方から教わって、それから何回も交代で投げる。大福には及ばなかったが、楓香も跳ねる回数を伸ばすことができた。
「……9、10、11。11回かあ」
「お互い、10回は安定して超えるようになってきたな。
続きはまた今度。そろそろ帰るか」
との大福の言葉に「あともう1回だけ」と言って石を探す楓香の目に、濡れた砂の上できらりと光る何かが入る。
「何?」
拾ってみると、シーグラスだった。中央に青い線が入っている。
満月の夜。寝子ヶ浜海岸。
「……ああ、そっか。水切りが楽しくて、すっかり忘れてた。
ネットで売れるかな? これ」
ほほ笑んで、そんなことを口にしながらも、元の場所に戻す。
学校に行ったとき、ほしい人がいたらあげちゃってもいいかもしれないけど……。きっと、本当に欲しいと思う人が見つけて、見つかったこの子のことを喜んで、大切にしてくれるだろうから。そのほうがいいと思った。
めずらしい物かもしれないけれど、大福と笑いながら競い合った水切りが、本当に楽しかったから。
それ以外の思い出は、いらない。
そんなことを思いながら大福のほうを見ると、大福は海を眺めていた。
遊び終えて、リラックスしきった横顔は、月の光に照らされているせいか普段と少し違って見えて、胸の鼓動が速まった。体温も少し上がった気がする。
モデルのようにかっこいいけれど、だからじゃない。大福だから、こんなにも胸が高鳴って、ずっと見ていたいと思うんだ……。
やがて視線に気付いた大福が、こちらを向いた。
大福にも、今の楓香は普段の楓香と違って見えた。
(おかしいな。さっきまで子どもの頃みたいにはしゃいで、石投げて遊んでたのに)
やってることは同じなのに、体も、心も、全然あの頃とは違う。
どうしてあの頃みたいに単純に、あー楽しかった、だけじゃ終われないんだろうか。
(でも、これが高校生活最後の夏に俺ができる精一杯だ)
大福は就職組だ。きっと、楓香たちとこんなふうに過ごすのも今年が最後だろう。
寂しさはあるが、しかたがない。
「すんだ? じゃあ、帰ろうか」
遅くなるといけないし。
そう続けようとした、次の瞬間。
楓香が駆け寄ってきて、大福の上着に手を掛け、つま先立って頬にキスをした。
(――!?)
「え……? は? ……ええっ!?」
なになに!?
「今日は私の夜遊びにつきあってくれて、ありがとう。
ハルくんのそういうとこ、大好き」
返事はすぐに、あっさりと戻ってきた。
「……はは、ありがと。すげえうれしい。俺も楓香のことは好きだよ」
お礼のキスだと知って驚きが消えて、浮かんだほっとした表情に、ほらね、と思う。
大福の口にする「好き」と楓香の「好き」は違う。彼女見る目に、彼女が大福を見るときのような熱はない。
そのことにそんなにショックを受けないのは、わかっていたからだ。
大福は変化することをよく思っていない。変わることで、これまでの関係が崩れることを何より嫌がっている。
大福は卒業すれば縁が切れると思っている。
「卒業したら、もう会えないだろうからさ」
なんて口にしたのがその証拠だ。
寂しいとは思っているかもしれない。だけど、どこかほっとしてもいるのだ。
(ここで終われば私たちの関係は永遠にこのまま、変わらないと思っているんでしょう?)
もちろん、そんなことにはしない。簡単に切れる縁じゃないってこと、これから時間を掛けて教えてあげる。
大福には、たった一人の愛する人はまだ存在しない。
(だったら、いつか私がそれになれる可能性だって十分あるわ!)
好きと言われたことで意識しだして、ということだってあるし、いつの間にか大切に思う気持ちが愛に変わっていた、ということだって、なくはないのだ。
時間は可能性に満ちていて、それは2人が生きている限り存在する。
楓香は未来を信じていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年05月03日
参加申し込みの期限
2022年05月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年05月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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