夏の林間学校、いざゆかん歴史と美食の郷！｜リアクション

夏の林間学校、いざゆかん歴史と美食の郷！

「ふぅ、気持ちいいですね～」
　巫部紫苑は、のびのびと温泉につかっていた。
　五色沼での散策を終えた後は、日帰り温泉で汗と疲れを流すというスケジュールは、大きなお風呂が大好きな紫苑にぴったりだ。

（さっぱりしたら、近くにあるお蕎麦やカレーの店を食べ歩いて……夜はＢＢＱだし、そっちも楽しみです）

　温泉を出た後の食事を想像している紫苑のもとへ、女子生徒たちに囲まれたまゆ先生がやってきた。
　何でも、紫苑のスタイルの良さの秘訣を教えて欲しいんだとか。
「うぅ～ん、どうしたらスタイルがよくなれるか、ですか？」
「そうよ、そうなのよ！」
　紫苑は、ぷかりと湯に浮かぶ自らの双丘を見やり、言葉に困った。

（特別なことは何もしていない、とは……言いづらい雰囲気ですね）

　自分と同じようにスタイル抜群の智依子に目を向けると、小声で「私も聞かれたの」と教えてくれた。
「や、やっぱり……食事と睡眠の快適さについて追求することが……大切だと思います……私、割とどこでも寝られるので……」
「そ、そうなのね！」
　まゆ先生がキラキラした瞳で納得してくれたので、紫苑としては一安心だ。
　その後もまゆ先生は、真白の元へも『スタイルの秘密』を求めて突撃したものの、「身長なら私の方が欲しいよ！」と逆に泣きつかれ。
「五色沼キレイだったね～」と盛り上がる絢たち３人組に混ざって、キャッキャ騒ぎながら背中を流したりしている。
「……高校生に混ざっても、全く違和感が無いな。美魔女ってやつかしら」
　仙藤蒼は、そんなまゆ先生に驚きのまなざしを送りつつ、汗を流してお風呂をあがる。
「ふー、さっぱりしたらお腹減ったなぁ」
　あの温泉にどんな効用があるのかも気になるが、空腹の方が勝ったので『おそば』の暖簾をくぐる。
「やっぱ、夏は冷たいお蕎麦だよねー」
　ぶっかけ蕎麦をつるつるっとすすって店を後にしたけれど、まだお腹が満足していないと感じ、別の店を探す。
「次はガッツリしたものを……カツカレーにしよう」
　サクサクのカツと、甘めのルーを別々に味わったり、どっぷり浸したりして食べると、どうにか人心地ついた。
「……む。そういえば夜はＢＢＱだったな。少し食べ過ぎたかも」
　ＢＢＱは少し減らすか、と考えながら、蒼はバスへの道を歩き出した。