夏の林間学校、いざゆかん歴史と美食の郷！｜リアクション

夏の林間学校、いざゆかん歴史と美食の郷！

「Bop、ベンチに座っててね。記念写真を撮ろう」
　五色沼の入り口、裏磐梯ビジターセンターのベンチにて。
　稲積柚春はカプセルギアのBopを、濃い緑と青空を背景に写真を撮った。
「うん、いい感じだよ」
　Bopを肩に乗せ、他の同級生達に遅れないようついて歩く。
　柚春が林間学校でやりたいと思っていたことの１つが、Bopと一緒に絶景や美味しい物の写真を撮ることなのだ。
「えーっと、ここから一番近いのは、毘沙門沼……次に赤沼、みどろ沼……Bop、楽しみだね」
　ガイドさんの後をついて探勝路を歩き、これはと思う絶景の箇所で写真を撮影。いい構図を求めようとすると、ちょっと順路から外れてしまうこともある。
　――そんな折。
「そこの君！　茂みにはマムシ注意の看板もあるよ。危ないから、ガイドさんについて歩いて欲しいなぁ」
「は、はい！　ウォルター先生！」
　突然声をかけられて、驚いて飛び上がった。
　柚春が林間学校でやりたいと思っていたことの２つ目が、ウォルター・B先生と話すことなのだ。
　
（噂話では、誕生日とすごい家に住んでるって事ぐらいしか分からないし……少しでも知れたらいいなぁ）

「え、えっと、マムシが出たらどうすればいいですか、先生。見るのは平気だけど、向かってこられたら怖いかも」
「まぁ、刺激せずに逃げることだねぇ。僕も蛇が苦手だからそうする……っと、教師ですから、生徒の避難を優先するけどね」
「そ、そうですよね」
　稲積がほっと息をつくと、ウォルター先生は笑顔で言葉を続けた。
「怖いという気持ちは身を守るために大切なものだよ。順路を外れずに、皆について歩いてね」
「はい！」
　柚春はBopと目を合わせてくすっと笑い、ウォルター先生の後をついて歩くことにした。