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お墓参りに行きましょう
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◆
猫屋敷 姫
の場合。
寝子島は猫の島。数多くの猫がいて、ちょっと道を歩くだけで、塀の上で日なたぼっこしていたり、日当たりのいい草や土管の上で箱座りしていたり、追いかけっこしていたり、垣根の曲がり角からひょっこり現われたりする。
どの子もいわば地域猫。人なつっこく、気まぐれに、尾を振ったり一声鳴いたりと、いろいろな方法で応えてくれる。
だけどそんなにたくさんいる子たちなのに、なぜか死んだ姿を見つけることはめったにない。
いつの間にか姿を見なくなって、いつの間にか新しい別の子が縄張りの主となっている。
それは、人知れず他の猫たちによって丁重に葬られるからだ、と姫は思う。
なぜそれを知っているかというと。
(稀にあるです、仲間を託されること。お爺さんの徳なのか、はたまた御三夜様の導きなのか)
これもまた、寝子島の猫たちと共に生きる猫屋敷家の持つ不思議な縁。
そしてそれを踏襲することを、姫は何のこだわりもなく受け入れていた。
旧市街にひっそりと建つ動物霊園に着いた姫は、まず社務所に行って、顔を出すことにした。
「こんにちは。猫屋敷なのです。どなたかいらっしゃいますか」
「あらまあ姫ちゃん」
中にいたのはここの管理人の、元巫女の西藤
(さいとう)
さんだった。
嫁いだ本土の神社で長らく巫女をしていたが、夫の死を契機として息子夫婦に家と役目を譲って生まれ故郷の寝子島に戻ってきた。70近く、もう楽隠居しておかしくないお歳だったが、家にじっとしていても暇だから、とここの管理人を引き受けた。
ふっくらまん丸のお顔はどことなく今ここを縄張りにしている太っちょブチ猫にもちょっと似ていたりいなかったり。ほっこり笑顔でいつもにこにこ、霊園の掃き掃除をしたり、霊園を訪れる家族の方の話し相手をしたりと、楽しそうに忙しくしている。
「春のお彼岸ぶりかしらね。元気にしてた?」
「はい。西藤さんも、お健やかそうでなによりなのです」
行儀良く頭を下げる姫に、西藤さんはふふふと笑い。
「さあさあ。上がってちょうだい。今日はおじいさんと一緒じゃないのね」
と、ちゃぶ台でお茶とお菓子を勧めてきた。
湯呑みを片手に、塩まんじゅうにかぶりつきながら、姫は家の猫たちや祖父とのこと、学校のことなどを話す。
そうして小一時間ほどお邪魔して、この霊園であったことなどの話を聞くと、姫は暇乞いをして社務所を後にした。
「西藤さんのお話によると、初盆を迎える猫たちの墓はこっちなのです」
教わった墓を、順繰りに巡る。どれもここ2~3カ月に建てられた物で、比較的きれいで、人間の物などよりずっとおしゃれで個性的な墓石ばかりだった。
もうすでに墓参りを終えた墓もあり。色とりどりの花や線香、生前好きだった猫缶などが供えられている。どれだけ愛されていたか、その死を惜しまれているかが一目でわかる光景だ。
ちょうどお参りに行き当たったときは、ぺこっと頭を下げて会釈し。
「お悔やみ申し上げるです。こうして霊園に来て下さる方に飼われた方は、きっと幸せに生きたのです。御自愛なさるとよいです」
一緒に飾ってください、との意味を込めて花束を渡す。そうすると、最初はうさんくさがって距離を取っていた人たちも、姫が純粋に悼んでくれていることを知って「ありがとうございます」と謙虚に礼を返してくれた。
けれども中には、空虚な墓もある。
花立ては空っぽ、お供え物もなく、墓石には砂埃がうっすらたまっている。
動物病院からの寄付金などで合祀された、無縁仏用の墓だ。
「お参りにきてもらえてるあの子たちがうらやましいですか? うらやましがることはないのです。姫が今、おまえたちもきれいにしてあげるのです」
ゴム手袋をして、たわしを持ち。水の入った桶を横に、まずは掃除から始める。水でさっと洗い流し、乾いた布で拭き取って、ぴかぴかに戻った墓石をたくさんの榊で飾り、猫なら猫缶を、犬ならビーフジャーキーをと供えた。
「姫が行くと知ったご近所の方々からも、おまえたちによくしてやってほしいとメッセージをいただいているのです。おまえたちは愛されているのですよ」
榊の葉に紙垂
(しで)
を貼りつけた玉串を供えて、あとは祈るだけだ。
そうして、あらためて墓石の前に立った姫は、喉を整えるようにこほっと空咳をする。
「えー、仏様、御三夜様、落神様……」
(神様、は、今寝子高にいるんだっけか。まあいいや)
「最近霊界とつながりやすくなってますし、もしかすると常世の寵愛により猫又となった方々もいらっしゃるかもしれませんね」
と、ご挨拶。おもむろにニ礼。
「合縁奇縁一期一会。良縁無縁何かの縁。悪縁は断ち切るものですがまあ置いといて。
多くの出会いと別れがあり御多忙の事と思いますが、無縁となりし猫たちの安寧も、毎年ながら猫屋敷が代わって心より御祈り申し上げるです」
ぱんぱんと2度、手を打ち合わせ、音を鳴らし。
最後にもう一度、90度に達する深いおじぎを行う。一礼。
日本古来の神道を用いて行っているが、これで本当にいいのか……そもそも本当の墓参りの作法とは何ぞや?
墓に水をかけてはいけないとか、かけてあげるべきとか、肩にあたる部分以上からかけるのは御法度とか、天辺からさーっと思い切りよくかけてあげなさいとか。人に聞くたび、ネットで調べるたび、真逆の意見が出てくるから、そんなもの、姫にはわからない。
口上だって、もしかしたら間違っているのかもしれないし、もしかしたら無言で手を合わせるべきなのかもしれない。
「しょせん作法なんて、人間が作り出したものなのです。さっきのだって、猫屋敷に別に伝わっていない、私おりじなるの口上だったのです。でも、次の人が同じことをしたら、私が作り出して以後継承されたものになるのです。そう思うと、おかしなものなのです。
ようは気持ちがこもっているかなのですよ」
おまえたちがいなくなったことを心から悼み、天国での安寧を祈る。痛みも苦しみも飢えもない世界で、毎日日なたぼっこして、追いかけっこして、楽しく暮らしていればいいなと願う気持ち。
思いが通じればいいのだ、との自分の考えに、うん、とうなずいて納得し。
「さあ、帰るのです。家では、あの子たちが私からの報告を待ってるのです」
わが家で待つ子たちの顔を1匹1匹思い浮かべながら、姫は家路を歩いた。
『お墓参りに行きましょう 了』
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あとがき
担当マスター:
寺岡志乃
ファンレターはマスターページから!
こんにちは。寺岡です。
当シナリオにご参加いただきましてありがとうございました。
いつか書きたいと思っていたお墓参りシナリオでした。
でも実際書くにあたって調べるまで、いろいろいろいろ知らなかったお墓参りの作法が……。
どれが正しいの? と頭を抱えました。
ちなみに私の所では、水はかけずに水で湿らせた布で拭くこと、となっています。
あと、祖母のいた町では、葬儀でお墓まで歩くとき、男性は竹の枝で作った筒状の帽子を、女性は手ぬぐいをかぶります。
宗教は関係ないみたいで、他で見たことがありません。
あれは何なのかなと、書きながら、何十年かぶりに思い出したりしました。
それでは、ここまでご読了いただきましてありがとうございました。
心より御礼申し上げます。
次のシナリオでもまた会えるとうれしいです。
もちろん、まだ一度もお会いできていない方ともお会いできたらいいな、と思います。
それでは、また。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年04月25日
参加申し込みの期限
2022年05月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年05月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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