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◆
仙藤 蒼
と
仙藤 紫
の場合。
「おじいちゃん、おばあちゃん、来たよー!」
仙藤 蒼
は、久しぶりに会った祖父母に対するように墓石をぽんとはたいて声を掛けた。
「こら、蒼。何やってるのよ」
と驚いた母親がたしなめ、それを父が
「まあいいじゃないか」
となだめる。
「かわいがっていた蒼が来てくれて、おじいちゃんたちも喜んでいるよ」
「そうそう」
父親の言葉にちゃっかり乗っかる蒼に母親はふうと息をつくと、「おとしを洗って」と蒼に指示をした。
「はーい」
おとしというのは花立ての中に置かれたステンレスの容器だ。
前に来たときに供えた花は墓地の管理人が処理をしてくれているので、枯れた枝葉が差されたままだったり周囲に落ちていることはないが、容器には雨水がたまっている。
蒼はちゃっちゃと花立てから容器を抜いて、柄付きたわしを手に、雨水を捨てがてら汲んできた桶の水を使って中を掃除しようとする。
水の入った重い桶は、父親が運んでいた。
(父さん、どこに置いたのかな)
きょろきょろと見渡し、通路の端にあった桶の元へ行く。その脇では姉の紫がしゃがんで線香とろうそくに火を付けようとしていた。
「蒼。ちょっと手伝って」
「うん」
仙藤家の墓地は桜台墓地の桜川沿いのところにある。この墓地では比較的古い方だ。川から土手を上がって吹く風は、爽やかな青草のにおいと土のにおい、そして線香のにおいがする。
強めの風に邪魔されないよう手で風よけを作ると、紫はまず小さなろうそくに火をつけ、その火を使って線香の束に火をつけた。
線香の火は、口で吹き消してはいけない。
手首を利かせて、軽く振って線香に移った火を消す。ただそれだけのしぐさも、紫がすると様になるというか、とても気品のある所作になるから不思議だ。
容器を洗いながらぼんやり姉を見ていると、視線に気付いた紫が蒼を見返した。
「どうかした?」
「えっ? ううん。何でもないっ」
紫はくすりと笑い、立ち上がると墓石の掃除をしている両親の邪魔にならないように気を付けて、線香をお墓と、そして敷地の脇に置かれた古い3つの墓石の前の線香立てに順に立てていった。
仙藤家の墓は古くからこの地にあり、この小さな墓石たちは墓を今風に新調する前、150~200年ほど前に使われていた物だった。
線香の煙越しに見える紫のきれいな横顔を見て、どうしたら姉みたいになれるのかな、と思う。
「蒼、お花は?」
「あ、うん。できたよ」
母の催促の声ではっとなって、慌てて蒼は花を生けた容器を持って母の元へ向かい、花立てに入れた。
キンセンカ、ケイトウ、グラジオラス。夏の花らしい、濃い色の華やかな花だ。そこに母親がしきびを一緒に差し、父親が桶から汲んだ水を注いだ。
紫が包みを解き、祖父母の好物だった水ようかんを供える。
「さあ、手を合わせるぞ」
父親の合図で、紫と蒼も墓石に手を合わせて目を閉じた。
「ねえ蒼、覚えてる? おばあちゃんが生きていたころのこと」
「もちろん」
祖母が亡くなったのは5年前、蒼が10歳のときだ。
「じゃあ、私がおばあちゃんとけんかして物置に閉じこもったときのことは?」
「えっ? そんなことあったの?」
初耳、と見返す蒼に紫はほほ笑む。
「覚えてなくても無理ないわね、あなたは4歳だったもの。
あれは私が8つのときだった。けんかの理由なんてもう覚えてないけど、とにかく何かで私はおばあちゃんに腹を立てたのね。ものすごく頭にきて、私は物置に閉じこもったわ。「おばあちゃんが謝るまで絶対にここから出ないんだから!」って宣言をして」
そのときのことを思い出しているらしく、紫はくすくす笑った。
「内側から閂を掛けて、ドアに背を向けて。ドア越しにお母さんにどんなになだめられても、怒られても、「いや! 絶対に出ないんだから!」って大声で言い張り続けたの。ドアの前にごはんを置かれても、絶対出るもんかって我慢して……。
そのうち、あんなに呼びかけてきていたお母さんの声がしなくなったの。変だなと思ったけれど、出るわけにもいかなくて。しーんと静まりかえった中にずっと1人でいると――それに物置だからうす暗くて――だんだん心細くなってくるでしょう? でも、絶対出ないんだからって頑張っていたら、急に外が騒がしくなったの。なんだろう? って思ってドアに耳を付けて外の様子をうかがっていたら、お父さんの「おばあちゃんが倒れた!」っていう叫び声が聞こえて。あわてて飛び出したらおばあちゃんが本当に縁側で倒れているのが見えたの」
「えー! おばあちゃん倒れちゃったの!? お父さんたち、ちゃんと救急車呼んだ!? おばあちゃん大丈夫だったの!?」
「ふふ……。お父さんもお母さんも、おばあちゃんのそばですっかりうろたえていたわ。私ももうびっくりして、それまでの何もかもが吹っ飛んで、泣きながらおばあちゃんにすがって「おばあちゃん、おばあちゃん」って必死に名前を呼んだのよ。そうしたらぱっちり目が開いて、むくっと起きて、「見事引っかかったね」って」
「ちょ!? 何? もしかして、おばあちゃんみんなをだましたの!?」
紫の話から、祖母はそのとき本当に倒れたのだと本気で心配していただけに、それが演技だったと知って、蒼は怒ればいいのかほっとすればいいのか、わからなくなってしまった。
世の中には、していい冗談としてはいけない冗談がある。老人が倒れたふりをするなんて、絶対駄目だ。だがこれは遠い過去の話だった。
「ああ、そんなこともあったわね」
と、聞くともなしに話を耳に入れながらお供え物を下げる等帰り支度をしていた母親は、懐かしい思い出というように笑う。
「お姉ちゃんたち、怒った?」
「そりゃ怒ったわよ、あのときはね。でも今にして思えば、物置に立てこもって引っ込みのつかなくなった頑固な私を引きずり出すにはそれしかないって思ったのかもね」
「頑固……。
なんか、不思議だなぁ」
「そう?」
「うん。そんなことしたなんて、今のお姉ちゃんからはちょっと想像できないや」
「あのころの紫はこんなにおしとやかじゃなくて、強情だったからな」
と父が応える。
「これじゃあ大きくなったら苦労するんじゃないかと心配に思ったりもしたが、要らぬ心配だったよ」
「ふーん。
あ! じゃあさ、私もお姉ちゃんくらいの歳になったらお姉ちゃんみたいになれるってこと?」
「無理無理。紫はおまえの歳にはもうしっかりしていたからな」
わははと笑われて、蒼は「むう」とぷくっと片頬を膨らませた。
「蒼は2人のことで何か覚えていることある?」
「私? んー……」
蒼は記憶を探ってみた。今でこそゲーマーでインドア派だが、小さなころはそうでもなく。母親によると、学校から帰るとかばんを玄関から投げ込む勢いですぐに外へとって返し、暗くなるまで友達と遊び回っていたらしい。らしい、というのは、蒼自身はあまり当時の記憶がないからだ。
ただ、それでも祖父母との記憶として、1つだけ覚えていることがあった。
九夜山へ2人と一緒に上ったことだ。思い出といっても他愛のないもので、特に何か事件が起きたとかそういうこともなく、単にそこに咲いていた季節の花を摘んで祖母にあげたり、道端に落ちていためずらしい形や色のついた石を拾って祖父に見せたら、「なんと! すごいぞ、蒼。これはお宝のかけらだ!」と祖父が真面目な顔をして言って、そこから2人で突発的に宝探しごっこをやって、もっと落ちていないか探している間に祖父がこっそり草むらに置いて隠したお菓子を発見して喜んだりとか。
「たしか、5歳くらいのころだったと思う。なぜか覚えてるんだよね」
今考えるとお菓子がきれいな箱のまま草むらに落ちているなんてあり得ないし、それを拾って口にするなんて2人が絶対許したりするわけないんだけど、当時はそんなこと疑問に思わず「えらいぞ蒼。よく見つけた」なんて褒められて、うれしく思いながら食べていたのだった。
きっとあのころ、2人がいたから、外で遊ぶことが大好きだったのだ。外は冒険と発見の場で、きらきらとした輝きに満ちていた。
「さあ2人とも、帰るわよ」
「あ、うん」
両親はすでに小径に出ていた。そちらへ向かおうと踏み出し、振り返る。
「おじいちゃん、おばあちゃん、また来るからね」
墓石にばいばいと手を振る。
紫もあらためて墓石を見つめ。
「おばあちゃん、あのときはありがとう。強情な私を少しは素直にしてくれて。
また、会いにきますね」
と話しかけたのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年04月25日
参加申し込みの期限
2022年05月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年05月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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