異世界転生・ギガンティックバトル｜リアクション

異世界転生・ギガンティックバトル

【驚愕】

　突如として現れた超巨大ビースト――オブリタレイターの正体は、異世界転生した吉住志桜里であった。
　オブリタレイター。その意味するところは『排除する器官』。
　志桜里はその名に違わず、立ちはだかるもの全てを容赦なく踏み潰していった。
（ふふふ。私は全てを排除するもの。皆踏み潰して、私の殺戮スコア、しっかり見せてあげるわ）
　志桜里は悪役令嬢のごときディランに徹しきっていた。
「ちょ、ちょっと！　なにアレ！　いくらなんでもデカ過ぎでしょ！？」
　真白はサンダーカノンの火線を集中して、志桜里の動きを止めようとするが、彼女の黒い鱗はダメージをまるで通さない。
『――手負いの者は速やかに後退せよ！　機体の損傷の少ない者のみ前へ！』
　指令本部から、荒太郎の通信が入る。
『前線の二機のハンターのパイロット聞こえるか？』
　続いて音声が割って入ったのは、技術武官の修だ。
『今、システムで奴に解析をかけている。現時点でわかっているのは、そのビーストの身体はハニカム構造の鱗で覆われていることだ。中途半端な攻撃はヤツには通用しない。注意してくれ』
『いや、どう注意するのよ！？』
　真白の反応はもっともだが、修も現時点ではまだ有効な打開策を見つけられない。
『もう少し時間を稼いでくれ。そうすれば、何かヤツを倒すヒントを――』
　と、そのとき。
「――時間、あなたたちに稼げますか？」
『『『……っ！？』』』
　突如聞こえてきた声に彼らは目を見開く。
『……怪物が喋った？』
『嘘でしょ？』
　真白と想花の声は、知らずのうちに震えている。
　と、そのときまた新たな女性の声が通信に割って入る。
『――あらあらぁ？　みなさん、そんなこともご存じなかったんですかぁ？』
　新しく開かれたウィンドウには、Aエレノアの昏い笑みを湛えた表情が浮かんでいる。
『……どういうことだ？　あなたは――いや、お前は何を知っている？』
　スピーカーに割って入るのは、修の声だ。
「え？　え？　なに？　どういうこと？」
「まだぼく達の知らないナニカがあるってこと？」
　はたして、指令部で何が起ころうとしているのか、機中の二人にはまだ知る由もなかった。