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明日(あした)はきっと風の中
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カレンダーは八月に入った。今日もまた真夏日、今月最初の月曜日だ。
月曜日は一般的に平日だが、
梓 智依子
にとっては貴重なホリデー、大型玩具店『ハローニャック』のバイト休みの日なのである。
朝からうんと晴れで猛烈に熱い。それは裏返せば、海水浴日和ということだろう。
なので智依子は寝子島海岸に来た。娘の
楓
を連れてきた。楓にとっては、今年三度目の海である。
海開きの日は同級生と一緒だったが、本日は親子水入らずだ。
俳句で『楓』は晩秋の季語になるが、楓は夏が大好きで、海ももちろん大好きだ。三度目だろうと四度目だろうと、嬉しくてたまらないらしい。海の家で着替えるのももどかしく、楓はさっさとワンピースの水着姿になるや、
「わーい!」
火傷しそうなくらい熱い砂浜をものともせず、ビーチサンダルもなしで海目がけ飛び出していく。四歳児は無敵の年頃、恐いもの知らずらしい。
「待って楓、待って待って」
勢い智依子も急がざるをえず、大きく腕をふって娘を追った。
白い砂浜が波をかぶり、ヤドカリをよけて波打ちぎわへ。浅瀬をばしゃばしゃと蹴立てたあたりで、ようやく智依子は楓をつかまえた。
「どんどん足が速くなるね」
「ママがおそくなってるんだよ!」
「言ってくれちゃって!」
たとえ十九歳の未成年であっても楓にとってはママ、立派な大人になるのだろう。
では立派な大人(?)らしく、お返しとばかりに智依子はしゃがんで、海の水をざばっとすくってかけた。
「やったなー!」
きゃっきゃと歓声をあげ、楓は両手で海水をかけかえす。日光を浴びて海水はぬるいが、それでもかぶると気持ちがいい。海水の粒に光が反射して、プリズムみたいに虹色となり飛び散った。
週明けということもありさほど混雑はしていないが、さすがの夏休み、ビーチは学生らでそこそこ賑わっているようだ。アイス売りや焼きそば屋の屋台もあるし、ビーチチェアに寝転んでいる姿もちらほら見かける。空はどこまでも青いし、海を楽しむコンディションとしては最良だろう。
泳ぎの練習がしたいと楓が言うので、浮き輪に体を通した楓の両手を智依子はもち、バタ足をさせてみた。はりきって楓は水を打つ。足の角度はひらきすぎだし、リズムもでたらめなのでまったく進まないが、それでも真剣に、
「よいしょ! よいしょ!」
と自分を励ますように声を上げるのだった。もちろん智依子も、進んでないよなどとダメだしはしない。「頑張って」と娘の奮戦を応援するのだ。もしかしたらこれが原体験となって、楓は競泳選手を目指すかもしれないから。
でも。四歳児の根気はつづかない。
「すなあそびするー」
と言うなり楓は、波打ち際にひっぱっていくよう指示するのである。まあそんなものだろう。
「はいはい」
苦笑して智依子は娘を砂浜まで運んでいった。浮かんだまま運搬されて嬉しいようで、これまたキャッキャと楓ははしゃいだ。
たとえ飽きっぽくても子どもは、一瞬一瞬にすごい集中力を発揮する。いまの楓がそうだ。どこからか拾ってきたプラスチックのカップに湿った砂を詰め、さかさにしてじわじわと出す。すると簡単な砂山ができた。この大いなる発見に興奮して、つぎつぎとカップの砂山を作る。積みあげる。無秩序に繰り返しているうちに、だんだん構造物のようになってくる。
「砂のお城だね」
智依子が声をかけると、頑として楓は首を振った。
「ちがう! これ、おくに!」
「お肉?」
「おにくちがう、おくに!」
「ああ、お国ね。お国だったらお城がつきものだよ」
「おしろない! おくに!」
どうもこだわりがあるらしい。お城がないということは民主制の近代国家ということ? はたまたそれ以前の集落といった段階なのかしら――? などと無意味なことを考えてみるのも楽しい。
楓の建国作業は、しかしまた唐突に終わりを告げた。
「ママー、おなかすいたー」
なんだかんだでビーチに来てから、小一時間ほど経ったところである。そろそろとは思っていたので智依子も意外ではない。
「お昼にしようか?」
「うんっ」
手を引いて海の家に向かった。
「えっ」
そこで智依子は意外な顔を目にした。
「クリスさん……?」
長身の、非常に長身の女性だった。長い金髪を背でまとめ、サングラスをかけている。背丈のおかげか髪型のせいか、海外セレブみたいにこのサングラスが似合っていた。
クリス・高松
、ハローニャックでの智依子の同僚である。大柄だが気が弱く、いつもおどおどしている。いくつかの出来事があっていまや智依子とは、親しいと言っていい間柄だ。涼しげなチェック柄のワンピースを着ている。円環をくみあせた太いベルトが目立っていた。
奇遇ですねと言うより前に、あることに気がついて智依子は言い直した。
「いえ……ナターシャさん、ですね?」
クリス・高松は一種の二重人格者で、もうひとつ、
ナターシャ・カンディンスキー
という人格をもつ。クリスとは正反対の性格で、辛辣な言葉にも暴力にも躊躇がない。かつては非合法活動にも手を染めるエージェントだったという。もっとも、ナターシャによれば自分こそが本来の人格であり、クリスに体を明け渡しつつあるのが真相だということだ。智依子がふだん付き合いがあるのはクリスのほうだが、ナターシャともいくつかの場面を乗り越えた経験がある。
まちがいなくナターシャだ。顔つきがちがう。猫背気味の背がまっすぐにのびている。黙っていてもピリピリした感覚が伝わってくるところもクリスとは一致しない。
「そうだ。私だ。まさか休日に入れ替わってしまうとはな」
「今日は……どうして?」
昨日まで智依子はクリスと話していたのである。一ヶ月以上ナターシャを見ていなかった。
「特に理由はない。だから困っている。目覚めたらこれだった。外の空気を吸えば戻るかもしれんと思って出てきた」
嘘ではなさそうだ。言葉尻からもナターシャの当惑が感じられた。
視線をナターシャは下げた。サングラスを外した。青い眼を見せて智依子に問う。
「この子は?」
「あずさかえで、よんさい!」
「娘です」
「そうか。智依子に娘がいることは聞いてはいたが」
さすがにナターシャも驚いたらしく、しげしげと楓をみつめて言った。
「こんなに大きいとは……!」
「よんさいだから」
得意げに楓は言う。
「四歳……私は、四歳というのはもっと、小さいと思っていた。すごいものだな。この子が特別なのか?」
「平均的だと思いますよ」
「そうか。あの女(※クリスのことだろう)ならこんなことで驚かなかっただろうな。私は無知だ」
恥じるようにつぶやいて、ナターシャは楓に名乗ったのである。
「私は、クリス……」
「ナターシャさん。やめましょう」
智依子に諭され、仕方ないというようにナターシャは名乗り直した。
「ナターシャ・カンディンスキーだ。クリスというのは、妹の名だ」
妹――!
智依子ははっとした。とっさについた嘘なのかもしれないが、そうとらえることができるようになったのは、ナターシャにとって一歩の前進かもしれない。
よろしくと言って手を差し出す。
智依子にとっても意外だったのは、楓がためらいなくナターシャの手を握ったところである。
「よろしく、おおきいおねえちゃん」
「大きいお姉ちゃんか……」
このとき智依子は意外なものを目にした。もしかしたらはじめてかもしれない。
ナターシャが口元をほころばせたのである。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年03月21日
参加申し込みの期限
2022年03月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年03月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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