寝子島ビーチグランピング！｜リアクション

寝子島ビーチグランピング！

●人生初のグランピング

　月守輝夜は自分宛てに届いた封筒を開けて驚いた。

「まさか当選するなんて……しかも２人分……」

　それは『寝子島ビーチグランピング　すずしま』で使える一泊二日の宿泊券だった。この施設はオープン記念モニターの抽選会を行っていて、輝夜はそれに応募していた。

（家族でキャンプは行ったことあるけどグランピングは初めて）

　誰と行こうかと考えたとき、青木慎之介の顔がすっと浮かぶ。

（慎之介くんを誘ってみようっと）

　浮かれる気持ちを抑えつつ、彼に連絡を取った。

　　　＊　　＊　　＊

　当日。
　待ち合わせ場所で合流すると２人で船に乗る。

「今日は誘ってくれてありがとな」
「こちらこそ、来てくれてありがとう」
「抽選に当たるなんて、月守は運が強いのかもな」

　やがて船は目的地に到着し、宿泊予定のテントに案内される。そこは一般的なキャンプで連想するようなものではなく、まるで高級ホテルのようだった。

「わぁ、ここに泊まれるんだ。お風呂もある！」
「すげえ！」
「私、グランピングって初めてだからすごく楽しみにしてたの」
「これならいっぱい楽しめそうだな」

　２人は荷物をテントに置くとビーチに向かう。その後お互い水着に着替えるため、一旦別行動をとる。

（この水着、似合ってるかな……）

　輝夜はリボンがついた、ビキニタイプの水着に着替えてから慎之介と合流した。

「いいね！　かわいいじゃん！」

　彼はすぐに思ったことを口にした。

「あ、ありがとう」

　輝夜は嬉しそうにそう言った。それからビーチボールやバナナボートでこのビーチを満喫する。ボートは乗ってみると意外と顔が近く、肌も触れ合ってて輝夜はドキドキした。

（嬉しいけど恥ずかしいような）　

　幸せな時間は過ぎていき、夕食となった。
　今回の夕食はテラスでのバーベキュー。スタッフがあらかじめ用意した食材を自分たちで焼いていく。

「海鮮、お肉、野菜……いっぱいあるね」
「どれもうまそうだな」

　大きめに切られた肉や、太い貝柱から、美味しそうな匂いがしてくる。

「これもう焼けてきたかな？」

　その１つを皿にとって口に運ぶ。

「美味しい！　慎之介くんもどうぞ」
「サンキュー！」

　彼はそれを自分の口に運ぶ。焼いただけとはいえ、輝夜自身が調理したので少し緊張する。

「どう、美味しい？」
「……うまい！」
「よかった……いっぱい食べよう」

　慎之介の一言に安堵すると、輝夜は次の食材を焼き始める。いっぱい食べて満足した２人はテントでのんびり過ごす。

「うまかったな」
「そうだね」

　そんなやりとりをしていると日も沈み、暗くなってくる。輝夜は露天風呂に向かうと手足をぐっと伸ばす。その雰囲気を満喫してから出ると、少し火照りを冷ますように夜風にあたる。

（今日だけで色んなことをやった気がする）

　風が出てきたところで輝夜はベッドに移動すると、満天の星空を見上げる。
　そこに慎之介もやってきて、同じベッドに横になる。あとは眠るだけなのだが、このまま眠るのはもったいない気がした。

「慎之介くん、楽しんでくれた？」
「ああ、もちろん！　月守はどうだった？」
「私もすごい楽しかったな。いっぱい遊んで、いっぱい食べたし。こうして並んで星も見れたし」

　視線の先には星の輝きが空一面に広がっていて、とても幻想的だった。

「本当に誘ってよかった。まだ寝れそうにないからお話しようね」

　輝夜の話に相槌をしつつ、慎之介も今日のことを振り返る。

（朝、慎之介くんを起こしてあげるつもり。だって寝顔が見たいんだもん）

　彼女は明日のことを思いながら眠りについた。