寝子島ビーチグランピング！｜リアクション

寝子島ビーチグランピング！

●リゾート気分

　落合まゆらは上機嫌で鈴島方面に向かう船に乗っていた。

「まさか当選するなんてね」

　いま向かっている先には『寝子島ビーチグランピング　すずしま』というキャンプ場がある。そこがオープンを記念して一泊二日の宿泊券をプレゼントにした抽選会を行った。まゆらも応募していたが、当たると思っていなかったので放置していた。
　そのため当選の知らせが来た時には驚いた。でも折角当たったのでありがたく使うことにした。

「鈴島とはまた違うのかな」

　じつはMewTuberの企画に参加したときに鈴島へやってきたことがある。しかし、その隣の島がどんな場所なのかは知らないので興味があった。
　着いた先はまるで別世界だった。宿泊先のテントも豪華で、ここで過ごす時間を思うとワクワクした。荷物を置くとさっそく持参した水着に着替える。
　水色の縞模様をあしらったデザインで、外側を茶色のラインが綺麗にまとめている。ビーチは寝子ヶ浜海岸よりも綺麗で、まるで南国のリゾートにきたような感覚だった。

「これぞリゾートって感じ」

　しかし今回は抽選に運よく当たったから来ることができたが、まゆらにとって気軽に来られるわけではない。

（あたしも人気声優になってこんなところに来れる身分になりたいな……まだまだ前途遼遠だけど！）

　今後のことは一旦置いておいて、遊ぶことに専念する。ビーチでは浮き輪やバナナボートなどのレンタルもあり、退屈することはなさそうだ。そのなかで、まゆらが気になったのはジェットスキーだった。
　
「一度やってみたかったんだよね。とても爽快そうだし」

　インストラクターから一通り説明を受けてからライフジャケットを装備する。１人で操縦してみたい気持ちもあったが、ここのジェットスキーの大きさだと免許が必要らしい。インストラクターがハンドルを握り、その後ろに座る。
　ジェットスキーにまたがり、少しずつ動き始める。そして一気に加速するとビーチに波を作りながら駆け抜ける。

（これ結構難しい！　姿勢を安定させるだけで精一杯！）

　車に乗っていてカーブに差し掛かると、体が外側に傾くような感覚。それが何倍にもなってまゆらの体に襲い掛かってくる。

（とてもじゃないけど爽快さを楽しむどころじゃない）

　とにかくビーチに落ちないように必死だった。しかし感覚に慣れてくると、曲がるときの重心移動も楽になってきた。そうなると景色を眺めたり、波しぶきを楽しむ余裕も生まれる。

（最初はどうなるかと思ったけど、これ最高！）

　そして夕方までジェットスキーに明け暮れた。楽しかったものの、体力は結構使ったようで少し休憩する。その間も波の音や流れる風が心地いい。そうして過ごしていると、お腹が空いてきた。

「夕食はどうしようかな」

　色々選択肢はあったが、まゆらは寝子島海鮮づくしコースを選んだ。お造り、海鮮焼き、シーフードカレーなど、とても贅沢なラインナップだった。

「ん～、どれもおいしくて幸せ」

　海鮮づくしの名に偽りなし。最後までそれらの美味しさを満喫した。空腹も満たされたあと、露天風呂で汗を流す。まゆらは心底満足した様子で横になった。

「おやすみなさーい！」

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