寝子島ビーチグランピング！｜リアクション

寝子島ビーチグランピング！

●幸運

　八神修と七夜あおいは『寝子島ビーチグランピング　すずしま』にやってきた。
　オープン記念モニターとして寝子島の住人の中から無作為に抽選を行った結果、修とあおいがそろって当選した。その偶然と幸運をともに喜び、船に揺られて今に至る。
　荷物を置きにテントに向かうと、そこはホテルの一室のように豪華な内装だった。単なるキャンプではなく、グランピングなのだというのを実感する。

「まずはビーチに行こうか」
「うん！」

　ここに来たなら、やはり最初は海を見に行きたい。修はそう考え、あおいもその誘いに乗った。
　水着に着替えて海を訪れた２人を待っていたのは、雄大な景色だった。寝子島からも海は見えるが、それとは違った美しさがある。

「きれいだねー！」
「そうだな」

　修ははしゃぐあおいを見ながら、その水着姿にドキドキしていた。

「その水着、すごく似合ってるよ」
「あ、ありがとう」

　少し目線を逸らしつつも、あおいは嬉しそうだった。

「さて、リゾートを満喫だ」

　ビーチで泳いだり、ビーチバレーを楽しむ。まるで２人で夏を独り占めしているような気分だ。そうしてビーチを満喫した２人は、次に銛を使った魚突き体験に参加した。修たちはスタッフから説明を受けて、装備を整えると海に潜る。
　海中には太陽の光が差し込んでいて、地上とは違った輝きがあった。そのなかを魚たちが泳いでいる。修たちはジェスチャーでやりとりをしているので言葉は分からないが、この光景に感動していることはお互いに伝わった。
　そして肝心の魚突き。
　魚の動きを見つつ、自分の腕がどこまで届くのかも考えて銛を突く。まず修が１匹捕まえることに成功。その様子にうれしそうなあおい。

（なんとなくわかった気がする）

　修はこの経験をもとにあおいをサポートするように動き、彼女も無事に魚を捕まえることができた。２人は海面に浮上すると、魚を掲げた。　

「獲ったどー！」

　どこかで聞いたフレーズを２人同時に言うと、楽しそうにほほ笑む。その後も何度か潜って魚突きを満喫した２人はバーベキューをすることにした。野菜や肉、そして先ほど捕まえた魚を焼いていく。

「２人とも魚が獲れてよかった」
「修君のサポートのおかげだよ、ありがとう」

　そんな話をしながら焼けた食材を口にする。とくに自分たちで獲った魚は格別に美味しかった。それからジェットスキーなどと楽しんでいるうちに日も暮れ始めた。海に沈んでいく夕日を２人で眺めてからテントに戻った。
　あおいは少し休憩するようだったので、修はこっそり露天風呂に移動して体をほぐす。

（今もし、あおいが来たら……）

　修は彼女が遊び疲れたように見えたから、そっとしておいた。でもあおいだって体を癒すためにここに来ても不思議はない。

（それなら先に出るか）

　そう思って風呂から出て、ラフな格好に着替えると、ちょうどあおいがやってきた。

「修君、ここに来てたんだね。起きたら居なくって」
「ごめん。あおい疲れてそうだったから」
「ううん、ありがと」

　そう言って風呂に向かっていくあおいの背を見つめる。

（あのタイミングで風呂を出て正解だったかな）

　あおいが風呂から出てきた後、２人で星空を眺められるところへ行った。星座のことや今日捕まえた魚の話など、話題は尽きない。そうして２人は眠くなるまで、会話を楽しんだ。

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