this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
たとえば、こんな一日。
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
…
9
つぎへ >>
◆仙藤姉妹の場合。
「あっつー。まだ昼前なのに、なんでこんな暑いんだろ……」
ぼやきながら、
仙藤 蒼
は通学路を歩く。
顔の横で手をぱたぱた。
そうすると、少しは涼しくなる……ような気がする。
まだ7月なのに、この暑さはどういうことか。今からこんなに暑くてどうする? 魔の8月はこれからなのに。そう考えるとぞっとする。
夏はきらいじゃないけど、暑いのはきらい。肌が汗でべたつくし、むんむんする湿気も嫌。
太陽の照り返しで地面がまぶしくて目が痛いし、(まだそんなじゃないけど)じきに地面も熱を持って熱気が上がってくるだろうし。
なんでこんな思いをして、学校に行かなくちゃいけないんだろう? 休日なのに。
根っからのゲーマー少女である蒼としては、クーラーのガンガン効いた部屋でコントローラーを握り締め、キンキンに冷えたグラスを横に、モニターに向かっていたかった。だけど同じくらい、水泳で体力を作るのも重要だとわかっていた。一見、ゲームをするのと体力作りは関係なさそうに見えるかもしれないが、長時間集中してゲームをプレイするにも、複雑なコマンド入力を正確かつ高速で入力するにも、筋肉がいるのだ。
ただ、「やらなくては」との義務感が第1で水泳自体が目的ではないから、やっぱりモチベは低いし、気持ちがだらけてしまうのはしょうがない。
更衣室には誰もいなかった。もうみんな、プールに集まっているのだろう。
(今日は午前中だけだし、帰りにゲーセン寄ろう。いつもの面子がいなくても、オンラインなら誰か見つかるだろうし。あー、そういやこの前店員が、新型格ゲー入るとか言ってたっけ。もう入ったのかな)
ぼんやりそんなことを考えながらだらだら着替え、プールの金網をくぐったところで、蒼は驚きのあまり固まってしまった。
「な……、なんでここにいるの!?」
思わずそんな言葉が口から飛び出す。
その言葉に振り返ったのは
仙藤 紫
。蒼の姉だった。
「遅いわよ、蒼。ちょっとたるんでるんじゃない?」
紫は言葉でこそ注意を口にするが、目は隠しようがなく笑っている。そうなると思っていた、という顔だ。驚くその反応が見たくて、今日部活に顔を出すということを言わなかったのだ。
「なんで……」
「あら。前にも言ったでしょ? まゆ先生に――」
「頼まれたんだよね」
そうだった、と少し恥ずかしそうにしながら蒼が答えるのを見て、ふふっと笑う。
「あれから2カ月たって、どれくらい泳げるようになったか見せてもらいに来たのよ」
「お姉ちゃん、義理堅いっていうか、面倒見いいもんね」
やりっ放しにしない、引き受けたらきちんと最後までやり抜く人だ。
そしてそんな姉が研修に行ったまゆ先生に代わって部活OGとして面倒を見てきた1週間、一番時間を割いて、一番親身になって教えていたのが
宮内詠美
。蒼の同級生の女の子だった。
自分の成長を見に来られたのだと知って詠美は緊張しているようだったが、同じくらい、紫が自分を気にかけてくれていたと知ってうれしそうだ。
「それじゃあ全員そろったから、始めましょうか」
整列した水泳部部員たちに紫が声を掛ける。紫の先導でプールサイドで準備運動をして、部員たちは水に入った。
「まずは軽く、体をほぐす意味で泳ぎましょう。飛び込みはなし。平泳ぎでもクロールでもいいわ。途中で足をつけてもいいから、好きな形で25メートルを3本」
紫のホイッスルに合わせて一人ずつ、間隔を開けて順番に泳いでいく。紫にはああ言われたが、やはり美人の先輩にいいところを見せたい者も少なくなくて、彼らはきれいなフォームで力強く水をかいて泳ぐ。同じ部活仲間としてそういう気質を理解しているのか、自然と彼らとはコースを分けて、ゆっくりとならし泳ぎをする者たちもいる。そしてその隣のコースで、さらにぎこちなく手足を動かしているのが今年入部した初心者たちだった。
紫の視線を意識するあまり、緊張から普段以上に手足が動いていないように見える。
(うんうん、わかる。緊張するよね)
紫に水泳を習っていたときの自分を思い出して、一人うんうんとうなずく蒼に、紫が声を掛けてきた。
「ねえ。あの子、確か……1年の宮内さん? よね?」
「あ、うん。そう。かなり泳げるようになってるでしょ」
紫の視線の先を追って、蒼は答える。
泳ぎだしては早々に足をついて立つ、というのを繰り返す姿を見ると、かなり、と言うのは語弊がある泳ぎに見えたが、2カ月前、紫と蒼の二人がかりで一日中指導してもどうしても5メートル泳ぐのがやっとだったことを思えば、7~8メートル泳げているだけで十分かなりの進歩と言えるだろう。
その姿を見ながら、紫はプール開きのときの彼女を思い出していた。
5メートルも泳げない子が50メートルのタイムアタックに参加させられて……何度も足をつき、溺れそうになっているのと大差ない姿であってもひたすら頑張り続け、リタイヤせずに泳ぎ切った彼女の姿は、紫の記憶に残り続けた。その後、プール開きのときどうしても泳げなかったのが悔しくて水泳部に入部した、というのは蒼から聞いていたけれど。
(辞めていなかったのね。よかった)
ほっとする。
「あの子、きっと速く泳げるようになるわね」
あれだけ熱意があるのだから、きっと大丈夫。そう思ったのだが。
「ん? うーん……たぶんね」
めずらしく蒼の返答が陰っていた。そのことが引っかかって彼女を見ると、紫のもの問いたげな視線に蒼は肩を竦めて見せた。
なぜ蒼が歯切れの悪い返答をしたかは、この後わかった。
指導の助手を務める部員にはプールの中にいてもらい、初心者たちを横のプールサイドに立たせて飛び込みの練習を行う。
「足は肩幅と同じか、少し狭いくらいの幅で開いて……足のつま先でプールの縁をつかむように立って。しゃがんで」
「だめ! ぐらぐらしちゃう……!」
パニックを起こして叫んだのは詠美だった。日常的にこうなのか、周りの者も、ああまた、という目を向けている。
「あせらないで。重心を前にかけすぎないようにすれば大丈夫。もし落ちてもこの高さなら平気よ。ほら、水面はとっても低いでしょう?
さあ、両腕を耳の後ろで前に出して。みんな、ストリームラインは習ってる?」
「はいっ」という返事をして、全員が頭を低くして、下になる手の甲にもう片方の手のひらを合わせて、上の手の親指で下の手をつかんだ。耳の横になっていないか、うまく後頭部を挟んでいるか、肘が曲がっていないか、一人一人紫は確認していく。するとやはり詠美が、今度は重心を後ろにやりすぎて背中が丸まっていた。
「背筋は伸ばして」
紫が両手を添えて矯正する。
「ゆっくり体を前傾させて、指先から滑り込むようにして、水の中へ入っていくの。決して飛んではだめ。膝の屈伸で落ちることを意識して――蒼?」
「うん」
蒼が手本を見せた。よくわかるように、なるべくゆっくりと水へ滑り込む。
「さあ、みんなも蒼のまねをして」
ピッというホイッスルの音に合わせて、端から順番に飛び込んでいった。が、やはりほとんどの者が着水を怖がり、見るために顔を上げてしまっていた。
こればかりは覚えるしかないと、先輩たちのマンツーマン指導で、着水の際の頭の固定と、飛ばずに落ちることを意識させる。
詠美の指導役は蒼だ。
蒼は紫も感心するくらい根気強く、見本を見せたり、手を添えて滑り込む補助をしたりしていたが、どうしても詠美は着水の瞬間、頭を上げることをやめられずにいた。
やがて他の者たちが一段階進んでスタート位置からの中腰での飛び込みを始めて、詠美だけがプールサイドに取り残される。
飲み込みが遅い。
何度やっても直らないことに蒼もため息を押し殺し。
「根を詰めすぎても良くないから、気分転換に泳いでこようか」
と提案をした。
同じ練習ばかりで詠美も煮詰まっていたのか、うなずいて同意し、2人で一番端の、初心者コースへ向かったのだが。
「詠美、だめだよ。そんなやけくそみたいな泳ぎ方じゃ長く泳げないし、速くもならないよ」
泳ぐ詠美を止めて、蒼は言った。
「だって……!」
「フォームには意味があるんだ。最も効率的に、最も速く泳げる方法を、先達たちが試行錯誤しながら編み出していった結果なんだよ」
とにかく何がなんでも10メートルは泳げるようになりたいと、なんとかしようとするその意気込み、執念は認めるが、努力する方向が間違っているのだ。
彼女に10メートル、20メートルと泳げるようになってもらいたいから蒼はあえて口にしたわけだが、今このとき。それはあせる詠美をますます追い詰め、意固地にさせる結果となってしまった。
「うるさい! あんたも、あんたのお姉さんも、ひとのやることにいちいち口出ししないでよ!!」
「なんだって!」
「私は好きでこうしてるの! なのに横からああしろこうしろって……、あなたの「正しさ」を私に押しつけないで!!」
「……っ、このっ!」
詠美のために言ってるのに。
頭にカーっときて思わず言い返そうとしたところで、紫が間に入って止めてくれた。
気付かなかったが、2人してかなり大声を上げていて、プール中の目を引いていたらしい。「はい、そこまで」と紫に後ろから口を両手でふさがれて、そのまま先輩たちのほうへ行くように、視線と手で合図をされた。指示に従い、そちらに向かいつつも、目は彼女たちを見続ける。紫は詠美について、今にも泣きだしそうな、悔しそうな、複雑な表情で俯いている彼女に、何か優しく話しかけている。そしてそれからはみんなから距離を取って、プールの隅で2人でフォームの練習をしていた。
部活が終わる時刻になっても、2人の練習は終わらなかった。
「無理をしないで。今でも十分良くなったわ。これ以上は、また今度にしましょう」
と紫はさとしたのだが、詠美の気は変わらず
「もうちょっとでつかめそうなんです! お願いします!」
と頭を下げて懇願されて、押し切られてしまったのだ。
3人以外誰もいなくなったプールで、蒼はぷっかり仰向けになって水に浮かぶ。
さすがにもう頭は冷えて、詠美に対する怒りはない。というか、あれは売り言葉に買い言葉というか、一瞬カッとなっただけの衝動的なものだし、と思う。
自分は間違ってなかった。でも、完全に正しくもなかった。
そんな思いを抱えたままゲーセン行っても居心地悪いままだし。詠美と話をつけてからにしよう、と思ったら、思った以上に長引いてしまったのだった。
そうしてだんだんと夕暮れに変わっていく空を見上げながら、ちゃぷちゃぷ耳元の水音を聞いていると、詠美に指導していた紫の言葉が、「じゃあ一度挑戦してみましょうか」との提案に変わった。
(ん?)
とそちらを見ると、詠美がスタート位置の飛び込み台の横に立っている。そしてしゃがんで、ストリームラインのポーズを取ると、前傾と同時にプールの縁を蹴って水に滑り込んだ。
きれいな飛び込み姿勢だった。蒼が見ていたものと全然違う。そして驚いて見守る蒼の前、なんと詠美は改善されたクロールのフォームで25メートルを一度も足をつけずに泳ぎきり、それだけでなく、反対側にタッチするとぐっと両足を引き寄せ――さすがにクイックターンはまだ無理だった――壁を蹴ってストリームラインのフォームで5メートルラインを越えたのだった。
「30メートル!! すごいよ、詠美!!」
思わず夢中で拍手した蒼を、詠美は見つめる。
「1日でこんなに上達するなんて! やっぱり詠美、才能あるんだね。お姉さんが言ったとおり、きっともっと速く泳げるようになるよ。
ああ、でも悔しいなあ。私がもっと教え方うまかったら、もっと早くこんなに泳げるようになって、みんなにも詠美の泳ぐ姿を見せられたのに」
手放しで称賛し、本気で悔しがる蒼を見て。詠美の固く強ばっていた心もほどけたようだった。
ぽろっと涙がこぼれる。
「うん……うれしい……。ありがとう、ごめんね、蒼」
仲直りする2人を見つめて、紫は声をかけるのはもう少し待とうと思った。
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
…
9
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
たとえば、こんな一日。
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年02月15日
参加申し込みの期限
2022年02月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年02月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!