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たとえば、こんな一日。
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◆
三毛谷 道哉
の場合。
7月。春を終えてもまだ本格的な夏の入りというわけでもないこの月は、秋のようにメランコリックになり過ぎることもなく、冬のようにどこか人寂しくなることもない。だんだんと夜のとばりが下りるに従い、暑さが少しだけ和らぎ、たまにだけれど涼やかな風さえ吹いてくる。そしてその分だけもの悲しさがちょっぴり増す。そんな夕刻。
日中の喧騒が嘘のように途絶え、ふと、道から人の姿が消えるときがある。
太陽が照るころは人通りでにぎやかな場所が、太陽が西に傾いたとたん、急に色褪せて活気を失う。
あんなにたくさんいた人は、一体どこに消えたのだろう、と首を傾げたくなる光景だ。
そこを、猫又の青年・道哉はふらりと歩く。
午前中は涼を求めて、とある家屋の風通しのいい木陰でまどろみ。
昼には置き網を引き上げて港に戻ってきた漁師からとれたての魚をお裾分けいただき。
夕方には人に化けて旧市街のにぎやかな通りを歩いて、声をかけてくれたご機嫌うるわしい顔見知りの人間たちのご相伴にあずかる。
別れるときには「お土産だよ」と新鮮な野菜までいくらか包んでもらったりなどして。
ああ今日もいい一日だったと、酔いざましも兼ねて家までの道のりを歩いた。
彼の横を、ランドセルを背負った小学生が追い抜いていく。追いかけっこでもしているのか、笑顔で楽しそうだ。
子どもが元気で笑顔なのはいいことだ。
「おーい、おまえたちも早く帰れよ」
と声をかけると、元気のよい声で「はーい」と返事が返った。
くつりと笑む。
お猪口に1、2杯。そんなに飲んだわけではないが、楽しいお酒だったから気分がよくて、心がふわりふわりとしている。
さて。このまままっすぐ帰るのもなんだかもったいない。どこか店に立ち寄って、何かつまみになるような品を買っていくか、それとももうひと散策しようか……。
そんなことを考えつつ、人気のない道を歩いていると、いつの間にか河川敷に来ていた。
川を渡って届く微風が帽子の下の髪先を震わせる、その心地よさに目を閉じて、一時、風に心を寄せる。閉じていた目を開いたとき。川のそばの草むらで、膝を抱えて座っている青年を見つけた。
ああ、幽霊か。
人ならぬ者同士の直感で、道哉はそれと見抜く。
よくよく見れば、彼の視線の先の草むらに、横たわった黒猫の後ろ足らしきものがあった。おそらくあれが生前の彼だろう。
どうやらまだ死んで間もない様子。だが幽霊ならばそのうち自然と行き先を悟って、ここからいなくなる――そう数は多くないが、似たような幽霊を見てきた道哉はそう思い、そのまま立ち去ろうとしたのだが。
藍の空の寂寥感と相まって、丸まった背中が途方に暮れているように見えて。見過ごせないというか……もし立ち去っても、彼のその後が気になってしまうだろうことがわかってしまって、結局声をかけてしまった。
「そこでうなだれているきみ」
「……僕?」
「そう、お前さんのことだよ。こんな所でどうしたね」
「あなた、僕が見えるんですか?」
「ああ見えるとも。私もちょいとわけありの身でね。だからお前さんが本当はそこで死んでいる猫の幽霊なのも知っているよ。
もしや、道に迷ったかい?」
「僕……そう、なのかな……?」
振り返って自分の死骸を見、ためらうように口にする。
「あなた、知りませんか?」
「何をだい?」
「僕が……どこに行けばいいか……」
自信なさげな、おどおどした話しぶりに、道哉は帽子の下で片眉を上げた。
「普通、お前さんのようなものは、どこへ行けばいいか理解しているものだけれどね。
本当にわからないのかい?」
「…………」
沈黙は、否定に感じられた。
彼は本当は、わかっているのだ。けれど何か心に引っかかるものがあって、その一歩を踏み出せないのだろう。
道哉は懐から煙管を取り出して火を点けた。
「行き先を思い出すまで、なんなら私の家で休んでいくかい? ここは寒くて冷たいからね、ますます誰も通らなくなる。お前さん、寒さはもう感じないかもしれないが、独りは嫌だろう」
青年はためらい。草むらの自分の死骸を見ながらうなずいた。
「……ありがとうございます」
「私は道哉。この先の古民家で、一人暮らしをしているんだよ」
道すがら、道哉は簡単な自己紹介をする。
「知っています」
「え?」
「あ、いえ。名前は知りませんでした。ただ、この道を通るあなたを、時々窓から見かけていたんです。
あのお家ですよね」
青年は道の先にある古民家――道哉の家を指でさした。
「あなたはいつも、あの暗いお家に一人でふらりと歩いて行ってて。……寂しくないのかな、って思ってました」
「寂しくは……あることもあるが、そういうときは客人を呼ぶからね」
「お客……知ってます。彼女もよく、お客さんを招いていました」
「お前さん、飼い猫だったのか」
「……はい。僕は、あそこのお家の、どこかにいました」
青年が振り仰いだのはマンションだった。どの部屋から脱走したか、わかっていないのか。そもそもマンションという建物の構造についてもよくわかっていなさそうである。
(箱入りというわけだね)
この青年の、思わず手を差し伸べたくなるおぼつかなさは幽霊になったばかりというだけでもなさそうだと思い、そう思い浮かべたあと、ダブルミーニングだと気付いてちょっと面白がる。
「何か?」
「いや。
それで、逃げ出して、行き倒れてしまった?」
続きを促す道哉に、青年はうなずきを返す途中で首を振った。
「それはどっちかな?」
「僕は、病気だったんです。彼女にもらわれる前、兄弟たちと一緒に檻にいたときから。彼女は、「だまされた」というようなことをよく言って、怒っていました……。
でも、彼女は僕にとても優しくて。僕が具合が悪くて起き上がれないときなんかも、一日中そばについていてくれたりして。だから僕は、いつも申し訳なくて……」
だから死ぬ姿を見せたくないと思った。死ぬかもしれないと医者に宣告されるたび、泣き出す彼女を見て。もし本当に僕が死んだりしたら、きっと彼女はもっと泣いて悲しむと思ったから。
「死ぬ姿を見せなければ、彼女はきっと、僕はどこかで生きてると思ってくれるでしょう?」
そう言って、静かにほほ笑む青年は、だから彼女が洗濯物を干すためベランダに出たとき、強引に窓を押し開けて逃げたのだと告げた。
それは彼女を思ってのためだけではなく、彼の願いでもあったのだろうと、道哉は思う。
「でも、彼女と離れるのは寂しくて……あのお家から出てくる彼女が見たくて……あそこにいたら、本当に動けなくなってしまったんです」
青年は恥ずかしそうに締めくくると、少し考え込み、道哉に尋ねた。
「あそこにある僕の体……あのままだと、彼女に見つかっちゃいそうですよね?」
「それがお前さんの心残りかい?」
「そう、なのかな……」ためらった後、俯いた顔を上げて、思い切ったように道哉に訊く。「僕、きっと、彼女の元に戻っちゃ、だめなんですよね?」
幽霊になって、病気の苦しさやつらさがなくなって身軽になった青年は、飼い主の元に戻りたがっているようだった。けれども、幽霊として本能的に備わっている良識――成仏しなくてはとの衝動も心にあって、それでどちらにも歩き出せずにいたらしい。
「いや、そんなことはないさ。現に、上に上がらずにここ
(現世)
にいる幽霊はいっぱいいるよ。お前さんにとっては先達にあたる者たちに、なんなら紹介してあげてもいい」
先に立ち、からりと玄関を開けて、道哉は青年を振り返る。
「ちょうどよかったね。今日は客人を招いて、みんなで宴会をする予定なんだ。あと1~2時間もすれば現われる物の怪も出始めるだろう。
お前さんも参加するといい」
「え……でも……」
「気後れしないでいい。私だけが接点の輩がほとんどだ。お前さんのようにな。
それから、体のことも気にしなくていい。あとで私が埋めにいってあげよう。そうしたら、彼女はきっとお前さんを見つけられないよ」
道哉の言葉でためらいを払拭したらしい。青年はほっとした顔をして、「ありがとうございます。お願いします」と頭を下げた。
お別れや納得するには時間がいるだろう。今は実感がなくてそうは思えなくても、いつか心の整理はついて、おのずと何が自分にとって正しい選択かを理解することができるようになる。それから道を選んでも、決して遅くない。
時間がなんとかしてくれることもあるさ。
「お前さんはどうかは知らないが、こっちの世界
(霊界)
も悪くないよ」
庭へ続く障子戸を開けて月の光を受けながら、静かにそう言うと、道哉はお猪口を口元へ運んだ。
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あとがき
担当マスター:
寺岡志乃
ファンレターはマスターページから!
こんにちは。寺岡です。
当シナリオにご参加いただきましてありがとうございました。
遅くなってしまい、申し訳ありません。
皆さんの日常を垣間見ることができて、とても楽しく、筆が乗っていろいろいろいろ書いてしまいました。
このあと、彼らはどうなるんだろうな……と続きを想像してニヨったり。
またぜひ皆さんの日常を書かせていただけたらと思います。
そのときは、またぜひよろしくお願いいたします。
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担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年02月15日
参加申し込みの期限
2022年02月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年02月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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