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◆
森篠 琳子
の場合。
春に寝子島高校を卒業して、もう3カ月。
激動の3カ月だったと琳子は思う。
まず第1に、毎日通う先が変わった。これまでずっと学校の制服を着て、学生かばんを持って、学校へ通学していたのに、今は寝子島信用金庫、通称ねこしんの制服を着て、出勤している。窓口係という役職名の下に『もりしの』との名前が書かれたプレートを胸に付けて、入出金や振り込みにやってくる人たちのお手伝いをしていた。
若い人はATMを使ってさっさとやってしまうので、窓口に来るのはもっぱら機械をうまく扱えない高齢者だ。そういう人たちから通帳を預かると共に、日付や金額、名前などを書く欄から教えて、手続きが終わるまで後ろのソファで待っていてもらう。彼らともすっかり顔見知りになって、お互い名前を覚えて、業務作業の合間に「体調はどうですか?」とか「これからお買い物ですか?」とか、簡単な日常会話をするまでになった。
「それがね、森篠さん、聞いてよ。うちのおじいさんったらねえ――」
といった具合だ。琳子は話し下手なので、もっぱら聞き役になって相づちを打ったり無言で聞いているだけだったが、それで彼らは満足そうだった。
何より話している彼女たちの表情が明るくて、楽しそうなのを見ていると、琳子もあたたかな気持ちになれる。
「最近、森篠くん目当てのお客さんが多くてね。きみが休みのときなど、僕が座っているのを見て、見るからにがっかりされたりするんだよ」
あるとき、上司に言われたことがあった。彼は面白がっているようだった。
「それは……すみません」
「いや? きみが入行してから預金口座数が増えたし、年金受取申込や保険加入の口数も増えてる。何より、お客さまが笑顔で来行されるのがいい。
テラー係は銀行の顔だ。この調子で頑張ってくれ」
「はい。ありがとうございます」
配属が決まった当初、本当に自分なんかに窓口係などできるのか、迷惑をかけるのではと内心悶々としていたりしたのだが、自分のしていることが間違っていないと上司に評価されているのを知ると、この仕事についてよかったと思う。
そして第2に変わったことが、
秋沢覚
という彼氏ができたことだった。
これまで一度も特別なお付き合いなんてしたことがなく、まさか自分なんかにそういった相手ができるなんて、まだ少し信じられない気持ちだが……電話の短縮やNYAINを見るたび、彼が自分の恋人であることをじわじわと実感する。
完全に実感しきれない理由の一つとして、最近なかなか会えないでいることもあるのだろう。
彼は同僚だが部署が違うし、夏のボーナス期を迎えた今、渉外部は怒濤の追い込みに入っていた。DMとSMSを使った勧誘とお得意先回りで、朝出行してからずっと、へたをすると夜まで(夕食後に資料を持って来い、という呼びつけもあるのだ)外回りをしている。もちろん平日働いている人たちは、平然と、「休日なら会える」と予約をつけるものだから、休日らしい休日もない。それが銀行の営業である。
受付係の琳子の元には融資の申し込みに来る人もいて、そういう人は予約の有無を確認した後、融資係の担当者へとつないだりするのだが、そういった際に彼らとのやりとりを見ているから、琳子もそういった大口客がどれほど横柄かを知っていた。
心身共にへとへとになって退社する営業マンたちを見ているので、琳子もあまり電話などを長引かせたりして覚を疲れさせたくないとの気遣いから、回数を控えるようにしていた。
少し寂しいけれど……しかたない。
退行のタイムカードを打つとき、覚のを見た。外回りに出てそのまま直帰、とある。今月はずっとそれだった。
たぶん、来月もこんな感じだろう。次に顔を合わせて話せるのは果たしていつか……ため息を押し殺して従業員用の通用口まで歩くと、なぜかそこに覚がいた。
いつからそうしていたのか、壁にもたれて腕組みして、出てきた琳子に「や」と声をかける。
「定時に出てきてくれてよかったわー。さっきから通る人通る人にいろいろ声かけられて、ほんまかなわんかったんや」
「……電話か、NYAINをくれればよかったのに」
彼が目の前にいる驚きからまだ少し冷め切らない感じで、琳子は気の抜けた声で返す。
「だって、それやと驚かしにならんやろ? ――っと。歩きながら話そか」
こちらへ歩いてくる他の者たちを見て、覚が促す。冷やかされるのは琳子も嫌だったので、彼について歩きだした。
「どこへ行くんです?」
「んー。寝子ヶ浜海岸。なんや、出てくるの待ってる間、夕焼け見てたらちょっと歩きとおなって」
「そうですか……」
「な? 俺があそこおって、驚いた?」
ニヤリと笑う。
「ええ」と答えると、覚はうれしそうに肩を震わせて笑った。まるで、いたずら成功と言わんばかり。子どもみたいと言っても、彼は怒らず、反対に喜びそうだ。
「外回りじゃなかった? こんな所にいて、大丈夫?」
ああ、これだと、追い払おうとしているみたい、と口にした直後に思う。本当はうれしいのに、良識が邪魔をする。
「その予定やったんやけどな、向かってる途中で向こうさんから電話きて。急に用事入ったから2時間後に来いゆうて。勝手やなあ。
で、琳子ちゃんと一緒に夕飯食べよて思うたんや」
「私の都合はお構いなしですか」
「ん? 何かあったん?」
「……ないですけど」
あっても変更する、とは言えなくて、唇をかむ。
そんな琳子を見て、覚はははっと笑った。
「あー、また敬語に戻っとる。さっきは普通にしゃべっとったのにな」
「……難しい、の。……始まりが、そうだったから……」
「うん。けど、今はカレシとカノジョやからな、俺ら」
覚から言われた、2人の関係性を表わす言葉に、カッと頬が熱を帯びた。
「……努力し……する、わ」
話し方が変わると、急に距離が縮まったみたいで……。もちろん覚は、それが希望なのだろうけれど……交際経験初心者のレベル1である琳子には、胸のドキドキが痛くて、恥ずかしさが先に立ってしまう。
そんな琳子の心中もお見通しのように、覚は琳子の頭に手を置き、髪をくしゃくしゃっとする。
「琳子は努力家やもんな。そんで、時間かかってもしまいにはちゃんとやり遂げるんや。めいっぱい期待させてもらうで!」
うれしそうに笑う覚の後ろに、夕焼けの空と海が広がっていた。
ポケットに手を入れ、波打ち際を歩く彼を見ながら、努力家なのは覚のほうだと思う。
覚は、一人で食事に行くこともできたのだ。せっかく出たのに、またここまで戻ってくるほうが疲れるし、面倒だったろう。なのにわざわざ戻ってきて、琳子が出てくるのを待って、一緒に食事をしようと誘ってくれた。
この関係を続けるために、彼は努力してくれている。
「さーて、どこ行こっか? 何か食べたいもんあるか? おごるで?」
「……よかったら、私の家に来ますか?」
「え? 手料理食わしてくれるんか!?」
「買い物したり、作っている時間はないので、あり合わせになりますが……」
が、覚にそれが聞こえている様子はなかった。
「彼女の家で、彼女の手料理を食べる……ええなあ、それ! 恋人同士ならではのイベントやで! さすが琳子ちゃんや!」
手放しで大喜びされ、期待の眼差しで見つめられて、なんだか落ち着かない気持ちになった。
そんなに期待されても困る。べつに、ごちそうでも何でもないんだから。
「い、妹たちもいますし、2人きりじゃないですよ。それに、さっき言ったように、あり合わせで……」
でも簡単な物ならできるかも、と家の冷蔵庫にある物を思い浮かべる。
そこには覚の好きな料理は何だったか、なんて考える自分がいて……。
「そうと決まったら、はよ帰ろ、琳子ちゃん」
手をつかまれ、引っ張られる。
帰る。彼と一緒に。同じ家に。
一瞬で頬が熱くなったが、悪い気持ちはなかった。
3カ月前には、男の人と一緒に手をつないで歩くなんて、想像もしてなかった。
こんなにも胸をあたたかくさせる想いを持てる相手ができることも。
なんて激動の3カ月だろう。
琳子はあらためて思い、覚の横顔を見つめた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年02月15日
参加申し込みの期限
2022年02月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年02月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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