ハッピーバースデー！　７月☆｜リアクション

ハッピーバースデー！　７月☆

●主役のお願い

　刀がそわそわしていると、出来上がったばかりの料理が運ばれてきた。
「お待たせ。冷めないうちにいただきましょう」
『たくさん食べて』
　さっそくいただこう、と刀は料理に手を付ける。
「肉だ！　うまい、美味い！」
　出来立ての唐揚げに大喜び。
「これも美味い！」
　次は、とチーズインハンバーグにがっつく刀に「お行儀が悪いわよ」と千歳が注意するが気にしない。

「美味いもの食べると幸せになるな。海、このままずっと俺の飯作ってくれ」
　美味い！　と連呼しながら、刀は次々に料理を平らげていく。
（刀、喜んでくれた。嬉しい）
　美味しそうに食べる様子を、海は微笑んで見つめる。

　料理を堪能した後は食後のデザート。
　チョコレートケーキを運んできた海は、それと一緒にプレゼントを刀に手渡した。
　プレゼントは蓋つきのタンブラー。
　家の中ではもちろん、持ち運びもできるから水筒代わりにもできるので使い勝手はいいかなと思い選んだ。
『刀ってよく運動するから、そういう時の水分補給用にどうかなって』
「ありがとう、嬉しいよ」
「私のプレゼントも受け取って」
　完成したデザートプレートを刀の前に置いてから、千歳もプレゼントを手渡す。
　プレゼントは財布。
「最近はキャッシュレスでスマホをかざすだけで決済できたりもするけど、寝子島だとまだまだ現金使う機会は多いでしょう」
「それもそうだな。ありがとう」
　
　千歳が作ったプレートを海が飾り付けしてくれたので、俺のためにここまで用意してくれたのか……と思うと刀は幸せな気持ちに。
　料理は海に食べさせてもらったので、ケーキは千歳に食べさせてほしいとおねだりする刀。
「しょうがないわね」
　苦笑しつつ、千歳はケーキを一口サイズに切り、フォークに刺してから食べさせた。
『フルーツも食べて』
　刀がケーキを食べ終えたところで、すかさず海がフルーツを食べさせる。
「食後のデザート、これまた秀逸。美味かった」
　本日の主役は、手作りの美味しいご飯とケーキを食べさせてもらってご満悦。

　ディナーとデザートを食べ終えたので、海と千歳が後片付けをしようとしたところで刀があるお願いを。
「プレゼントだが、もうひとつ欲しいものがあるんだが……」
「えっ？　刀君……今、プレゼントあげたばかりじゃないの……」
　他に欲しいものがあるのかしら？　と千歳が不思議がる。
　こんなことを言ったら引かれるだろうか？　と心配だったが、刀はおもいきって欲しいものを口にする。

「……海と千歳が欲しい。いや冗談じゃなくて、本気で欲しいです。欲しいです！」

　大事なことなので「欲しい」は二度、言いました。
　そう言われた海は、正直そんなことを言われると……と考え込む。
（私はシたくなる……でもするときは3人一緒がいい……）
　千歳はどうなのかな？　と見ると、考え込んでいる様子だ。
（海もいいみたいだし、これなら……）
　それからしばらくして、と千歳は刀にそっと近づく。
「もう、本当に仕方ないんだから……」
　そう言って、刀の頬にキス。
「今はこれだけだからね！」
　やっぱり恥ずかしいと、照れ隠しに、やっぱり恥ずかしいので、さっさと後片付けに入った。
　私も、と海は反対方向の頬にキスを。
　
（……やった、誕生日最高！）
　引かれるかもと心配したお願いが刀の思い通りだったかはわからないが、もうひとつのプレゼントをもらえたので上機嫌。
「今日という日を忘れないぞ！」
　タンブターと財布を大切に持ちながら、ハイテンション状態の刀はそう思うのだった。