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寝子島高校
幻の花<硝子彩華>の咲く頃に
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ガタン、と。ひとつ電車の揺れる音がした。
「――?」
梓 智依子
は、その違和感に閉じていた瞼をゆっくりと開く。
瞳に映ったものは、電車の座席シートと薄暗い外灯がちらほらと揺れては駆け抜ける、深い夜の闇が漂う車窓。
「ここは――?」
智依子は流れる景色に目を凝らす。自分は、先ほどまで可愛い娘と一緒にお昼寝をしていたはずだ。しかし、ここはどう見ても電車の景色。夢でも見ているのだろうかと思い首を傾げて、
「おや、まよい人がいる。こんばんは」
そこに、斜め向かいに座っていたサラリーマン風の男が声を掛けてきた。
「ここは霊界を走っている『魔行列車』って言うんだ。時々あなたみたいな人が迷い込んでくるんだよ。
乗っている間は、余程あやかしとの乗り合わせが悪くない限り危険はないけれども、帰る時は気を付けて」
「……夢?」
思わず不思議そうに呟く智依子に、男は微笑ましそうに小さく笑みを浮かべてみせる。
「ここに迷い込んだ人は、皆そう言うんだ。
――あ、僕はここで一度降りなくては。それではね、お嬢さん」
そう告げると男は席を立ち、ひとつ会釈をすると智依子に背中を向けて立ち去った。
男の伸びる足は、目を向ければ足下に近付くにつれて透けており、地面を見れば何処も触れてはいなかった。
「……」
寝子島において、初めて出会ったあまりにも不可思議な様子は、今まで普通に現実に触れてきた智依子にはどうしても理解が追いつかない。
やはり夢の中なのだろうか。しかし、自分の手に触れれば感覚があり、醒めない夢にしては、聞いた話は素っ頓狂に思えても妙に現実味があるように思われて。
瞬きひとつすれば、脳が告げるのだ。『ここは、現実だ』と。
「なるようにしか、ならないわね」
帰り方は分からない。しかし、智依子はそう口にすると、静かに己の心に覚悟を決めた。
なるようにしか、ならない。それでも、智依子は『なるように、生きてきた』――己の14歳の誕生日、愛しい娘を身籠もったと知った時に決めた決意は、今も変わることはなく。
――そのように、智依子は今までも見えない未来という道に向けて、今までずっと歩いてきたのだから。
そう決めれば、周囲の景色はより現実味を帯びて来て。これからどうしたものかと、辺りを見渡せば、不意に足の辺りから声が聞こえてきた。
「お姉さんもツアーに参加しない?」
「お嬢さんもツアーに参加せぬか?」
重なるように掛けられた声にそちらを見れば、目には胴体が茶釜のたぬきと、足の筋肉逞しそうなうさぎが二体。二本足で立っては、つぶらな瞳でこちらを見つめている。
「――」
やはり夢では、と思わなくもない。しかしそれにしては、目に映る質感がいよいよリアルだ。
「ずるいぞ、うさ美よ! こちらが先に声を掛けたのじゃ!」
「ぶー! ポン吉先生、うさ美ちゃんが先ですー!」
「……ツアーって?」
話し掛けてそうそう突然の喧嘩を始めた謎の存在二体に、智依子が声を掛ける。すると、ポン吉先生と呼ばれたたぬきは嬉々として智依子に説明を始めた。
まるでガラス細工のように美しい花――『幻の花』が咲くという現象。智依子には、それは不思議と、聞けば聞くほど自分はまるでその事象に呼ばれてきたのではないのかという気になって来た。
このツアーに参加すれば、終わった時にきっちりと元の場所――愛しい楓の元に帰れそうな気がする。
少なくとも、ただ、この電車に乗り続けるよりも希望が感じられたから。智依子はツアーの参加を希望することにした。
森の薫りを含んだ薄霧が辺りを包む駅を降り、渡されて仄かに周囲を照らす地図を手に、智依子は森の中を歩き始める。
ゆっくりと、一歩一歩を確かめるように、森の中へ。
暗い森は、道がきちんと踏み固められており、歩む分には困らないが、薄霧の向こうでも分かるぼんやりとした月明かりの下で何が飛び出してくるか分からず、思わず智依子の心にも、うっすらとした不安が滲む。
それでも、ゆっくりとした緊張すら感じられる足取りで進んでいく。一人が心細くないと言ったら嘘であろう。それでも、前に向けた足は止めない。
そこに思うのは、今、おそらく家に置いてきてしまったことであろう娘の存在。
――きっと帰れると思う。いいえ、絶対に帰ってみせるわ。だって、私には楓がいるんだから。
胸に呟けばそれだけで、進む足は力強く。
その心には、一時晴れた霧の向こう、天上に輝く星のように照らし差し届く、愛しい娘という星の光が。
幾つかの候補地を巡って、地図を見ては思案を繰り返す。
見晴らしの良い川の流れる道を進み、その効率の良さを示す歩みは、茂みの向こうに拓けた場所がある事を指し示す。
霧に濡れた茂みに触れるのは、あまり良い気分ではないが、恐らくここだと、直感が告げている。
――そして、掻き分けた茂みの先には、小さな空間ながらもその一面に花畑が広がっていた。
空が白む。霧の晴れた森の隙間から、夜明けを示す光の一筋が花畑に落ちた。
瞬間、響き渡る鈴を鳴らすような音。渦を巻くように花畑に光が奔り、その空間が柔らかでありながら燃えるような暁色に染め上げられていく。
光と共に開く花々は、まるで幾重にも重ねて尚透き通る紅葉のよう。
「……何かに残せないかしら」
智依子はその鮮やかさに言葉をなくしたままに、ふとこの光景を思い出だけではない何かに残せないだろうかと、己の携帯を取り出した。
この光景をカメラで残せたら、娘に見せられたらきっと素敵に違いない――そう思い、携帯の待ち受け画面を起動する。
待ち受け画面には、愛しい愛娘、楓の姿。
ふわりと、舞い飛ぶ蝶が鱗粉を燦めかせるように。
咲いている花々の燐光が、その存在を包み、祝福するかのように柔らかに輝いた。
話によれば。
透き通りながらも色の付く幻の花を見られたら、幸運の恩恵が受けられるという。
今――幸運の行き先は。
その携帯画面に映る、愛しき存在の健やかな成長へ――
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年11月15日
参加申し込みの期限
2021年11月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年11月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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