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幻の花<硝子彩華>の咲く頃に
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電車の揺れが心地良い。
しかし、自分がうたた寝をしていた場所は、果たして電車の中だっただろうか。
「――」
三宅 葉月
は澄み渡る泉の色を思わせる瞳を隠していた、長い睫をゆっくりと持ち上げた。
状況の理解があまりにもゆるやかで。葉月はぼんやりと、車内の揺れにしばし身を任せて考える。
少なくとも、ここは今までいた自分の居場所ではなさそうだ――何しろ、今、目の前には『あやかし』と呼ばれる人外の概念が普通に視界を往来しているのだから。
これは、もう一度瞳を閉じれば、元の世界に帰れたりするのだろうか。思案している内にも思考は先程よりも緩やかながらに覚醒していく。
体感としては八割、意識が戻ってきた。身動きの殆どする気もなかった気怠さも退いていく。葉月がゆっくりと改めて周囲を見渡すと、電車の中はそれなりに賑わいを見せており、言葉を無意識に拾えば、ようやく今まで聞こえていなかった声まで聞こえてくる。
――それは。葉月本人に掛けられていた声だと。ようやく自分の認識が追いついた瞬間だった。
「このお姉さん起きましたよー!」
「おおお、お嬢ちゃん。わしらと一緒にツアーに参加してはくれんかのー!」
「……ツアー?」
葉月は、まだ寝ぼけ眼で少し目蓋が重たくはあったが、それでも、このポン吉とうさ美と名乗ったあやかしの二体から、現状と話し掛けられたこの状況について詳しい話を聞くことが出来た。
この二体は『幻の花』命名【硝子彩華】と付けた花を、ずっとツアーを企画しては探していたのだという。幻の花は、命名通りガラス細工のようなもので出来ている花なのだという。
それはとても美しく、見る者を魅了する程のもの――であるらしい。
しかし、情報の何もかもがあやふやなのは、どうやら、それらは目撃情報が噂程度のものでしかなく、見た者が殆どいないからとのことだった。
「……まるで、雲を掴むような話……」
「言わないでくれじゃーっ、これでもこのメンタルハートは傷付きボロボロなんじゃー……」
頭を抱える胴体が茶釜で出来ているたぬき、ポン吉が唸りもだえ苦しんでいる。
173回もやって収穫無しのツアー企画。どうにも無駄足になる気配はするが、もしかしたらそれが見られるかも知れないという直感が、葉月の最後の眠気を吹き飛ばした。
「それなら……参加しても、いいかも」
葉月の言葉に、ポン吉とうさ美から拍手喝采にも似た歓声が上げられる。
そうして、葉月は地図を片手に渡されると、他は手持ち手ぶらのままに霊界線の浅縹駅から、森の中へとほっぽり出されるように降車してホームを後にすることになったのだった――
歩んでいく森の中はあまりにも静かだった。
危険な獣の気配はしない。しかし、しっとりとした薄霧に鮮やかな森の香りを纏った彼女の姿は、歩む都度、遠くから様子を見ていた小さな獣達の動きを止めさせた。
森の狭間に、思いの外しっかりした道に、歩いているのは彼女一人。
しかし、それはまるで本来この森の奥地を住まいとしている、高位の精霊が戯れに姿を現し、ふわふわと揺蕩っているのにも似ていた。ものを話さず、言葉すらも忘れたか、そも語る必要すらないかのように。
まるで人の感情も何処かに置いてきたように、恐れのひとつもなく歩く姿は、目撃者がいれば、まるで森の主が一時的に、彼女に己の存在全てを明け渡してしまったかのようにも映るであろう。
――しかし、葉月本人は、そのような事はお構いなしに、ただガラスで出来ていると云われる不思議な花を探して歩むのみ。
服が霧で微かにじわりと重たくなったような体感を受けつつも、地図も見ているのか見ていないのか分からない歩みで、森の中を進んでいく。
地図は時々確認する程度。しかし、地図通りに進んでも、そこには道を塞ぐ大岩があったり、古い巨木が倒れていたりと、少しばかりの困難に見舞われる。迂回し他の道を探しながら、段々と地図を持つ手を離してしまっても困らなさそうだという錯覚にまで陥り掛けた頃――
「……ここ」
葉月は、ふわりと立ち止まる。
歩き続けた森の最奥にも近しい場所。傍らを川が流れ、未明の夜にせせらぎが小さく耳をくすぐっていく。
その視界の先には固く、開く様子を待ち焦がれるかのような、狭くも存在感のある蕾の花畑が見えた。
これが幻の花である確証はない――だが、葉月には確信があった。
手首を彩る瞳の色に沿う翡翠を思わせる腕時計に目をやれば、日が昇るにはまだしばしの時間が掛かるのが窺わせた。
「誰も、いない森……」
それは精神を癒やし、心に創作意欲を灯すもの。
葉月は現在の位置だけを確認すると、夜が明けるもうしばらくの間、星空の下をまたふわりと旅立った。
りん、と。夜が明ける音は、まるで本当に細やかな鈴の音が鳴り続けるのにも似て。
その気配を感じ取り、葉月が元の場所へと戻ってくると、その瞳に陽光がちかりと光った。まるでそれを合図とするかのように、固い蕾であった花々が一斉に綻び始めていく。
広がるそれは、夜が白む気配よりも遥かに優しい木鈴を鳴らす音色を伴い。次々と開かれる透明に光り輝く花々は、まるでこの世界そのものを、広がりゆく幾万もの感情に喩えたかのように煌めき、葉月の心を震わせていく。
「――……」
全てを己の手で形取ってきた葉月も、この世界を別のもので喩える事は出来るだろうかと思わせる程の絶景。
しかし、ふと。言葉を無くし凝視する花畑の中に、葉月は一輪の、透明ながらも青緑に澄んだ硝子の花を見出した。
それだけが違う、一輪。まるで、美しくも孤独である葉月のような存在を示す花――
摘むかどうするかは、触れてから考えても良い……そう思い、葉月は光り輝く緑の燐光にそっと手を伸ばした。
触れた花は、見た目程に凍りついている印象はなく、幻想的でありながらも、生命の脈動に満ちていた。異物でありながらも、確かにそこに生きていた。
葉月の思考が覚醒する。今ならば、何でもカンバスに描けそうな気がした――躊躇いもなく、己がどうしても限界の手綱を握ってしまう想像力の限界も無く。それこそ今の自分ならば『神の概念』すらも、今を生きるこの世の誰よりも明瞭に描けるであろう。
「描かなきゃ……」
心が沸き立つ。このような胸の高鳴りを感じたのは、何年振りだろう。葉月はこの場に絵具を持ち込めなかった事をもどかしく思いながら、急ぎその場を離れていった。
その後ろ姿を、響く柔らかな音と共に、光り輝き咲き誇る、美しい花々が見送っていく――
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年11月15日
参加申し込みの期限
2021年11月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年11月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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