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幻の花<硝子彩華>の咲く頃に
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――此処はどこだろう。
そんな不可思議な日々は、日常茶飯事な寝子島で。
羽奈瀬 リン
はそう思いながら、まだ外も明るい謎の列車――『魔行列車 寝子島電鉄・霊界線』の車窓を眺めていた傍ら、隣に前足を揃えて座っていた『ひじき』と呼んでいる真っ黒い猫が、一声「にゃーん」と声を上げて座席から飛び降りるのを見た。
「ひじき?」
電車が停車し、ホームに止まる。『浅縹駅』そう少し年代を感じさせる駅名標がちらりと横目に飛び込んで来た。
リンが追い掛けるひじきと呼ばれた猫は、肉球をぽすぽすと音を立てそうな可愛らしい足取りで、開かれたドアからホームへとひらりと飛び降りる。
「『浅縹駅』……ひじき、この駅で降りるの?」
この猫とリンはとても不思議な関係だ。共にいる時間は長いけれども、飼い猫と飼い主ではなく、どちらかと言えば友達、更に言うなら相棒にも近い関係。
ひじきはリンが付いてくるのを当然と思っているかのように、一度だけこちらを振り返るとそのまま先に歩いていった。
もしかしたら、ひじきからしたらリンは手下かその辺りかと思われているのかもしれないが――
「今日はどこへ行くのかな。君と一緒にいると不思議で楽しい事が起こるから悪くはないけどね」
そう、この島でのそんな不可思議な日々は、リンにとっても悪くない。
「――という訳で、諦め半分最後のあがきで、ツアーを企画したのですよー」
「へぇ、人が集まってると思ったらそういうことか」
ひじきに連れられるように来た先には、胴が茶釜のたぬきと、脚力強そうなうさぎが並んで、自分より年上の金の髪が明るいひとりの少年に話し掛けていた。
どう見ても不思議なあやかしに囲まれても、臆することもなくこの世界に慣れた様子の少年――
桜井 ラッセル
は、リンの存在に気付くと軽く片手を上げて明るい笑顔を向けた。
「おっ、同じ迷い人発見」
「すみません。ここは、一体どこなのでしょうか?」
「おっと、そこからか。ここは――」
リンが礼儀正しく問い掛ければ、ラッセルは人懐っこい表情で、状況認識の追いついていないこちらに、ここ『霊界』についての己が知っている範囲での説明と、今丁度参加を決めたというツアーについて話をしてくれた。
「ふむふむ……『硝子彩華』という幻の花、ですか」
「ああ! 俺はもう参加を決めて準備もバッチリなんだけども――俺ひとりで行くってのもなんだし、あんたもどうだ?」
そう言うと、ラッセルはリンよりもずっと前からここに来ていたのであろう、しっかりとこの霊界で購入したキャンプ用のリュックなど一式を背負って準備万端の様子を見せる。
「そうですね……」
話を統合すると、ここで開催されているのは、硝子彩華と銘打たれた『自然があふれた朝焼けが差し込んで綺麗な水が流れる場所』でしか咲かないという、幻の花を探すツアー。
リンはちらりと、傍らで並ぶように足を揃えて立つ黒猫ひじきの姿を見た。何でも知っていそうな気がする顔つき、声を掛けてお願いすれば一直線で案内してくれそうな雰囲気。
――しかし、せっかくの探索の機会があるなら、少し自分の力で見つけたい。
「そうですね、ご一緒させていただければ。行こう、ひじき」
「よしっ、決定!
それじゃ、行くか! 食料は二人分あるけど、これから買いに行くなら付き合うし」
ラッセルが、今は昼でも霧掛かってぼやけているこの場所を照らす、明るい日差しのような笑顔で笑ってみせると、リンに先行して歩き始めた。
「こういう、霧掛かった森ってドキドキするよなーっ」
「ええ、いきなり何か出て来たらと思うと――」
日はまだ高く、周囲は明るい。視界には困らない森だが、霧がうっすらと巡らされて全景がはっきりとはいかない中を、リンとラッセルは二人で地図を片手に歩く。
「そう言えば、ここの『霊界』というのは、どんな野生動物が住んでいるのでしょうか?」
「それが俺にも良く分かんねぇんだよなー。一度はお目に掛かりたいと思ってるところなんだけど」
それでも途中、立ち止まり地図を確認していると、すっと魔法のように霧が晴れる時がある。そんな時、思った以上に拓けた森は、湿度を伴う深緑の香りを視覚も交えて一際強く伝えてくるのだ。
「霧が晴れる時もあるんですね。夜なら、星は見えるかな?」
「見える見える! きっと綺麗じゃねーかなぁ」
時折見える晴れ間はとても澄んだ空の色。この空模様であれば、夜明けに霧が晴れれば十分に朝日が差し込むチャンスはある。
「こういう宝探しってさ、探してる最中が一番わくわくしねぇ?」
「ええ、硝子で出来ている花なんて、とても素敵だと思います」
「だよな! 見れるだけでももうけもんだし、せっかくなら幻の花をみて帰りたいよなー!」
心の勢いそのままに、ラッセルがぐっと胸元に、想像した感動を露わに両手で力いっぱい握りこぶしを作ってみせる。
「つーか、この地図。地図で自分の位置が動くのがナビみたいでほしいなー、妖力すげぇ」
「立地的に……場所的には、もう少し奥まった所の方が良いでしょうか?」
リンが指し示した地図の位置を、ひょいとラッセルが覗き込む。
「この辺か? ――ちょっくらカナリアで空から見てくるわ、少し待っててくれな」
言うが早いか、ラッセルは胸元から手にした金に小さな燦めきを伴うクローバーの鍵を握り締めると、ろっこん【黄色いピヨコ】でカナリアへと変身し、空へと羽ばたき舞い上がった。
「わ……っ」
リンは変身のろっこんを目の当たりに、大きく瞳を見開いた。寝子島では十二分に起こり得る光景。だが、驚きよりも何よりも――その鳥になれる、己の自由に見られる空は、きっと素敵に違いないと思えたのだ。
「見つけた見つけた、蕾の群生地。ホントにここからすぐだな」
帰って来て人の姿に戻ったラッセルとリンがしばし歩くと、川のせせらぎと共に、固く閉じられた蕾まで成長した花々が見えてきた。
ちょうど日も暮れてきた頃。二人がキャンプを設置しきり一息ついた時には、周囲は暗く焚き火の炎が煌々と辺りを照らしていた。
「このクッキー美味しいです。ありがとうございます」
「いや、丁度持ってただけなんだけどな。やっぱキャンプの最低限の飯だけだと足りない時あるじゃん?」
二人は穏やかに笑って、ラッセルの持っていたクッキーを食べる。ふと、リンが空を見渡せば、そこには月光に邪魔されない煌々とした星の光が光り輝いていた。
「――でも、水に塗れるとガラスみてーになる花って現実もあるらしいけど見たことなかったし、この機会に見れるといいな。
この蕾とか……気になる。――多分、これだと思うんだけどなー……」
夜は更けて、それでもまだ夜明けには間がある時間。昼間から歩き通しで心地良い疲労もあったのであろう、二人はどちらともなく、こくんと眠りに落ちて――はっと目を覚ました時、薄くなった闇から一筋の光が、蕾に落ちるのを見た。
ポンッ、ポンッ――まるで軽いポップコーンが弾けるような音と共に、花粉というよりは蝶の鱗粉を思わせる勢いで無色の光が散っていく。
音と合わせて咲き始めた花は、輪郭が際立ち光って反射する、本当にガラスのような硬質の花びら。
「――」
あまりの美しさに言葉を失ったリンの傍らで、並んでその光景を見つめる猫のひじき。
同じく声なく感動を言葉にし忘れて、広がる開花を見つめるラッセルの鮮やかな青の瞳は、その中に一輪の金色を見出した。
「……おおっ、色付きみれたよ」
「金、本当にあったんですね……」
透明な無色の光に、一際華やぐ黄金色の花にリンもラッセルと同じ感情で言葉を紡ぐ。
「ああ、本当に…透き通ってる。――金で俺とお揃いだなっ」
増していく陽光が、冗談めいて言ったラッセルの髪に揺らすような光を照らした。
些細な言葉と共に、それでも目だけは奪われたように釘付けで。水よりも硬く、氷よりも温かな花を見つめながら、我に返ったラッセルは慌てて自分の携帯を取り出し写真を撮ろうとカメラを向けた。
「あああっ、これも超常現象の類かーっ!」
リンが画面を一言、断りを添えて覗き込めば、そこには何も映っていない。
「あーっ! だめなら絵を描くまでっ!
紙ならもってる! 感動をっ!」
ラッセルが、急ぎリュックの中からスケッチブックと色鉛筆を引っ張り出す。
その瞬間、ふと。一旦それらを置いて、ラッセルは大地に燦めきを放ち続ける花の一輪にそっと、指を触れてみた。
そこにあるのは、硝子で出来ているようで、尚も保たれていることが不思議な植物特有の瑞々しさ。
「摘むのは、やっぱできねーな……花の命を奪っちまいそうで、昔からする気にならねー」
指に伝わる霊界にありながら、確かに感じ取る存在の躍動感。摘めば、もしかしたら残るかも知れない、しかし摘んだものが時間と共に消えてしまえば、自分はきっと深く後悔することであろうと、ラッセルは心に静かな納得を置いた。
「長く咲けよ。
そんで沢山の奴を幸運にしてやってくれ。
――俺はもう見れたのが幸運ってね」
花が見られた、それだけで満足だと、ラッセルが微笑む。
「『硝子彩華』が咲きそうなら、静かにでも大急ぎでポン吉先生とうさ美さんを呼んでこなくちゃ」
二体にとってはこの上ない朗報であろう。距離はそれなりにある場所だが、道は単純であったから、日差しがあれば戻り案内する事も容易であろうと、リンは頷く。
しかし、花の溢れる金色の光から目を離す前に、
「うん、僕も見られただけで満足かな、でも――」
もしも御利益があるのなら……あの子――スピカにまたもう一度会えますように。
――そこには、悲願にも近しい、心よりの大切な願いを託して。
リンがひじきと共に、坂道を降りていく様子を、声を掛けて見送って。ラッセルは、咲き誇る硝子の花々を見渡した。
「しかし幸福の御利益、か……。
あいつにも幸運あげたかったけど、これで我慢してもらわねーと」
そこにあるものは――スケッチブックに繊細に描き上げられた、透明感が色鉛筆であって尚伝わる黄金の花一輪。
「……やっぱり誘えばよかったな」
表情に、初めて浮かぶ微かな憂い。
「でもなぁ、忙しい背中を見てたらどうにもな。
……俺のおすそ分けで幸運になるといいな……なんてなーっ」
それは、半分は冗談で、半分は本心。
遠くから、ポン吉とうさ美の大騒ぎする声が聞こえて来た。ここまでかなり歩いたようで、思いの外近かったのかも知れない。
花を直接届けられなかった憂いを振り払うように、ラッセルは笑う。
心仄かに、思うのだ。
自分が幸運であれば、共にある大切な人も、きっと不幸になることはないはずだと――そう、少しは……自惚れてもいいであろう、と。
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あとがき
担当マスター:
冬眠
ファンレターはマスターページから!
大変お久し振りでございます。
今回は当シナリオにご参加のほどをいただきまして誠に有難うございました。MSをつとめさせていただきました冬眠と申します。
この度は、大変魅力的なお話を元にさせていただき、
皆様のアクションのお陰で、本当に素敵な思いでリアクションを執筆させていただくことが出来ました。
心より御礼申し上げます。
大変久方ぶりの執筆となりましたが、キャラクター様におかれましては、少しでも素敵な時間をお過ごしいただけましたならばと思われます。
それでは、この度は本当に有難うございました。また何処かでお目に掛かれましたらこの上ない幸いでございます。
皆様のらっかみ!ライフが、此度登場させていただきました花のように輝く事を願いまして。冬眠でございました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年11月15日
参加申し込みの期限
2021年11月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年11月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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