窃盗事件発生！～奪われた七色の蝶ネクタイ～｜リアクション

窃盗事件発生！～奪われた七色の蝶ネクタイ～

　　【最強の変態あらわる！】

　屋上に飛び込んできた神野美野梨の叫び声に、皆の視線が桃原空音へと集中した。
　見れば彼女の胸には既に緑の蝶ネクタイが……そして、皆から明らかに距離を取っている。

　「ぐえーっへっへっへっへ！
　ついに触手の力を手に入れたぞーッ！」

　右腕から触手のツタをうねうねさせながら、彼女は叫んだ。
　そう……彼女はまさしくそれを狙っていたのだ。
　【特殊ジャンル：触手攻め萌え】
　そんな、全年齢にあるまじき分野に並々ならぬ努力、もとい命を注ぎ込んできた彼女にとって、緑の蝶ネクタイは至宝のものであったのだ。

　「さあ！　この桃原空音様を前に、怯えろ震えろ恐れ慄くのだ！
　邪魔する人はみんな掘る！
　近づいたり、視界に入った人も触手攻めなのだーっ！」

　そう叫んだ瞬間、陽波のろっこんにより回復し始めていた尾鎌蛇那伊が、鮮やかな触手捌きによって　パーフェクトなまでの亀甲縛りによって、中空に吊り上げられた！
　「あらっ！　いやぁっ、年頃の男の子がこんな事されたらお婿に行けなくなっちゃうっ！」
　「ぐぇーっへっへっへっへ！
　老若男女関係無しに……
　いや、多少は気にする時も無くはないけれども──皆新しい快感に目覚めるのだーッ！！」
　皆が一気に空音から逃げ出した！　しかし、振り向きざまに、小山内海がろっこんでビー玉を放ち、ツタを攻撃して蛇那伊をツタから開放する！

　「ほほぅ、この空音さまに逆らうとは……決めた！　次の触手は君だーーーっ！」
　「止めるんだ桃原！　小山内を犠牲にする位なら、次は俺を……！！」
　「刀くん……！！　大事な人を救う代わりに、自分がこの触手怪人モモハラんの触手の犠牲になるというのだね…！
　これはBL(男の子同士のイケナイ恋愛)だったなら、薄い本が出せるレベル！！　その要求呑んだ！」
　『かたなくん！！』
　助けに戻ろうとした海を桜庭円が断腸の思いで止める。
　「くっ、ほんの僅かな隙さえあれば……！！」
　「大丈夫…すぐに気持ちよくなるよ…ッ！
　触手でPi──したり、縛ったり、PiPi──すれば……！！
　(現在、全年齢の為、伏せてお送りしております)…イイ声聞かせてね？」
　空音の触手が、傍で起き上がろうとしている刀に向けられる。

　「隙なら……」
　事の次第にどこまでツッコミを入れていいのか、きわめて彷徨っていた亀頭出が、名案という顔をして自分のろっこんを発動させた！

　【発動条件】
　唐揚げを出したいと思う
　【能力】
　右手からアツアツの唐揚げを出すことができる

　「うりゃ、出さんのアツアツから揚げをくらえ！」
　刀が空音の魔手に掛かる寸前、出が投げた唐揚げが空音に投げつけられた！
　(※良い子は真似しちゃいけません)
　空音はそれらを触手で全てキャッチする。
　「こらーっ！　食べ物は粗末にしてはならないと教わらなかっ……」
　「隙出来たーーーっ！」
　「し、しまったーっ！　わーっ、能力限界で触手が出ないよーーーッ！！」

　こうして、危うく全年齢の枠を若干超えそうになった事件は、ほぼ全員が空音に集団で襲いかかり、蝶ネクタイは見た目一番安全そうで、かつ自己献身的と周りが判子を無理やり押し通した男、高城律が付けることによって、見事に収束された。

　「ウギャアアアアあたしの蝶ネクタイがーッ！！
　…はぁ…もうダメだ…触手がないなんて…生きる意味が無い……」

　こうして、桃色怪人モモハラんの悪事も、通常の蝶ネクタイを外した時以上の絶望と共に潰えたのである。

　【【変態】を制圧ーーーっ！！　リボンが全て揃ったーっ！！
　これにて、この臨時中継を終了させて頂きたいと思います！　それではまた会いましょう！　さようなら、さようなら！！】

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