今日は、校長先生、
雨宮 草太郎の全校集会の時間。
皆、講堂に集合しますが、まともな全校集会だと思っている人はほんの僅か一握り。
生徒にとっては、周りの子と小声で雑談して過ごす楽しい時間であったり、勉強を要とする生徒にとっては、この時間で勉強したいという熱い思いを焦がす時間。
そんなことから、重要視こそされてはいないが、校長先生の全校集会は、確かに大切な「フツウ」の一つだった。
ゆっくりと校長先生が壇上に立つ。
一部の生徒はその違和感に首を傾げる。校長先生に……何か足りない。
「ちゃお……」
マイク越しに、呟かれたいつもの挨拶は、今にも天国に召されそうな勢いで弱々しい。
そして、まるで彼岸の彼方を見るような眼差しと共に、生徒を見ているのか見ていないのか分からない瞳で、校長先生はマイクにポツポツと話し始めた。
「今日は残念なお知らせです……。
先生の、大切な蝶ネクタイが盗まれてしまいました……」
生徒の視線が校長先生の首元へと集中する。確かに、いつもそこにあるはずの、ネクタイが……無い。
「孫から毎年1年に一色ずつ贈ってもらって、やっと孫の大好きな虹色にまで集まった蝶ネクタイが、今日お昼に校長室で並べて日陰干しにしている、まさにその間に……!!」
校長先生は壇上で泣き声と共に、あまりの悲しさに悔恨の涙を流しながら、マイクでやはりぽそぽそと呟きます。
そこには、いつもの穏やかな声と良く冷えたギャグ要素はまるで見受けられません。
まわりも、これは流石におかしいと校長の声に耳を傾けます。
「そこで皆さんにお願いがあります。この学校内で、私の蝶ネクタイを見つけた人がいたら教えて欲しいのです。
私も探しますが、是非こちらまで届けてもらえたらと思います。
──もし、届けてくれる人がいたら、私のポケットマネーで焼肉にご招待しましょう──!」
その言葉に、何時も飢えている欠食学生達が声を上げました。
他の生徒達は食には困っていないものの、校長先生のホームルームが毎回蝶ネクタイなしのローテンションでは気が滅入ってしまいます。
どうでしょう、ここは一人のお年寄りが困っていると思って、人助けなどは如何でしょうか?
はじめまして、冬眠と申します。そして初めましてではない方には、病気で離れていた為に、ご心配をお掛け致しまして、誠に申し訳ございませんでした。
この度、めでたく復帰することと相成りましたので、早速畏れながらガイドを書かせて頂きました。宜しくお願い致します……!
今回のミッションは、校長先生の何時もつけている七色の蝶ネクタイを取り戻そうというものです。
しかし、今回、校長先生の蝶ネクタイは若干特殊です。取り扱いにはどうぞお気をつけ下さい。
【PL様情報】
[犯人について]
・犯人は、2人。
校長先生が大好きすぎて、健全な道を全力で踏み外した寝子校に通う兄弟です。
・一人は、妄想が行き過ぎて、校長を万能神だと信じてしまった校長教の、あだ名:【信者】です。
・一人は、やはり妄想が行き過ぎ、校長をストーキングして常に頬ずりして匂いをかいでいたいというヘンタイさんの、あだ名:【変態】です。
※捕まらない為に、二人別々に行動していますが、まだ学園内におり、なおかつ蝶ネクタイを付けたいという欲望に負けてつい身に付けてしまっております。
知っている人ならば直ぐに分かるでしょう。
※犯人は「潜在的もれいび」です。こちらのろっこんは正常に発動します。
時間軸は夕方。人気はまばらですが、念のため学校内なので他の人目にも気をつけて。
※運動能力・体力は二人とも、もやし。殴ると飛びます。
[蝶ネクタイについて]
・蝶ネクタイは、持つと必ず身に付けたくなります。(ルックス、性別問わず)
運搬には一工夫しないと装着が必須となります。お洒落な重ね付けも可能です。
※蝶ネクタイを手にした場合、一度は必ず身に付けたくなりますが、装着後ならば、名残惜しさに溢れるものの、外すだけの理性を保つことは可能です。
ただ、外すと半身を失ったような絶望的な気分になるかも知れません。(蝶ネクタイを無くした校長の気分が味わえます)
※蝶ネクタイ装着の間は、蝶ネクタイの能力の判明と使用が可能となりますが、代わりにキャラクター様個人のろっこんは確定失敗します。ご注意下さい。
【信者】が4色。【変態】が3色のいずれかの蝶ネクタイを持っています。
・蝶ネクタイを身に付けている間は気が付けば宿っていた神魂の影響により、「不思議な力」が宿ります。
例)赤い蝶ネクタイ:口から炎が吐ける(ただし生暖かい幻)
青の蝶ネクタイ:指先から水が出せる(ただし水鉄砲レベル)
黄の蝶ネクタイ:カレー味の吐息が出せる(まわりはおなかが減る)
緑の蝶ネクタイ:手から植物のツタが出せる(自由に動かせる)
紫の蝶ネクタイ:紫色のオーラが出せる(相手は校長先生の魅力に目覚める)
黄緑の蝶ネクタイ:指から蛍光色のフラッシュライトが出せる(少し眩しい)
水色の蝶ネクタイ:手のひらから氷が出せる(ただし自分の手も固まる)
※上記蝶ネクタイの特質は、能力を発揮する前に犯人が捕まってしまう等により、出番が無い可能性もあります。
※最初、窃盗犯達はこの力を駆使して抵抗してきます。
どれも命に関わる物ではありませんが、不意打ち・足止めに使われる可能性があります。
○ 今回のシナリオは大学生さん、社会人さんも参加可能です。その場合には、事情を知る偶然やきっかけ(OB・OG等)もしくは寝子校生の内部手引き者が必要です。アクションにその経緯を軽くご記入下さい。
長くなり申し訳ございません。ここまで読んで頂き、有難うございました。
次はリアクションでお会いできましたらこの上なく幸いで御座います。