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霊界の空を幽霊船の飛ぶ
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六月の夜に舞い上がった金色の蛍が、漣寄せる砂浜へ次々と飛び込んで行く。宵闇にも白い波が、海蛍の青光に染め上げられる。
海に咲く光の花に目を奪われる
四ツ葉乃 キィ
の黄金色の瞳に映るは、青白い光の波に浮かぶ幽霊船。あちこち壊れて古びてはいるものの、海蛍の光に揺れる船はひどく美しかった。
「ステキ……!」
今はひとの姿を取っているキィの本来の姿は、十九世紀に作られたオルゴールの鍵だ。
相方であるはずのオルゴールはオルゴールのまま、持ち主の懐に入れられ呼びかけられてあちこちに連れ出された鍵だけが付喪神として目覚めた。
付喪神として目覚めてこの方、夜になると持ち主の傍を離れて寝子島を歩き回っている。
神さまが落っこちて来て、神魂があちこちにばらまかれた寝子島はよく不思議な出来事が起きる。それはそれですごく楽しかったり時にはちょっぴり怖かったりもするけれど、その経験とも言えぬ経験のほとんどすべてが持ち主の懐から覗き見たもの。
オルゴールの鍵が付喪神であることなど知らぬ持ち主の傍を離れて夜に散歩して回るのは、だからもしかしたら自分のこの身でこの瞳でさまざまの経験をしてみたいからなのかもしれなかった。
「……霊界てすごいのね」
お散歩の半ばで蛍を見かけ、ふらふらと追いかけた果てに見つけた幽霊船を見上げながらキィは小さくひとりごちる。
神さまの落ちて来た寝子島にも興味はあるけれど、持ち主が己を手放した暁には霊界に渡って暮らすのもいいかもしれない。もっとも、彼が己を必要としてくれているうちは傍に居ようと決めている。
(相方はいないけれど……)
金の羊のように波打つ短い髪を夜風に揺らし、砂浜を歩いて幽霊船に近づいてみる。砂浜に寄せる度にゆらゆらと光を帯びる海蛍に、光に浮かんで見える幽霊船に瞳を奪われそうになりながら、キィは幽霊船の前に立つ老人と少女に丁寧に会釈をした。
「こんばんわ」
少女の周囲には無数の蛍、蛍の光に照らし出される老人の影には猫耳と尻尾。あやかしらしいふたりを前に、付喪神であるところのキィは鍵のかたちに戻らずとも平気だろうと判断する。
「立派な船ね」
キィの言葉に老人は穏やかに笑った。聞けば、目の前の幽霊船は誰かの話を聞くことを自らの動力とし、そうして空へと飛ぶらしい。
(船も幽霊だから飛べるのかな)
折れた帆柱に蛍たちが遊ぶのを眺めながら、キィは少し思案する。
「お話、何でもいいの?」
もちろん、と頷く老人にキィは小さく頷き返した。
「それなら、私が生まれた時の話を」
今は海蛍の青い波に浮かぶばかりの幽霊船に向き直り、キィは語る。
「最初に気づいたのは声だった――とっても大きな弾んだ声」
物であるはずのキィの心にまでも届くほどその声はどんどん大きくなって、
──見えるか
初めて『聞こえた』声はその一声だった。
──お前のおかげで俺は飛べるんだぞ
主の愛称をキィは口にする。キィが付喪神であることを知らない彼は、キィにそう呼ばれていることもまだ知らないけれど。
「よく、私に、鍵に話しかけるの」
彼の声を聞くまではずっと静かなところにいた──否、『キィ』という存在すらあるかも分からぬ存在だった。
その存在を目覚めさせたのが今の主だった。毎日毎日呼びかけては外気にさらすから、きっとそのせいでキィは付喪神として目覚めた。
主は、鍵を強く握りしめることで黄色いカナリアに変身する。
鍵であるところのキィは、いつだってカナリアとなった主の首にぶら下げられていて、
「付喪神として、カナリアになった主の身につけた鍵として空をみたのが、」
キィは微笑む。
「初めての記憶よ」
キラキラだった、と瞳を輝かせる。
世界はキラキラ輝いていた。とても広い世界だった。
その広い世界を眼下に、キィは己が存在していることの不思議をまず思った。
鍵であるはずの己は、ここにいていいのだろうか。
「私は、音になりたかった。『私』の、キィの対であるオルゴールが奏でる音に」
オルゴールの存在があったから、『音』は知っていた。己が音であればオルゴールの傍にずっと在れたのではないかと考えた。
「でも、私は鍵──物だから。音になれないのも当たり前よね」
少しだけ、主を憎んだ。神魂を憎んだ。
己を己たらしめてしまったものを憎く思ってしまったのは、対であるオルゴールが付喪神になれていなかったからだ。それが後ろめたくて寂しかったからだ。だって二百年を共にしてきた対の存在なのに。
「なれなかったことには、今は開き直っているけどね。少しだけ」
しょうがないもの、と今年二百一歳になる少女のかたちした付喪神は黄金の瞳を細める。
それでも、決めている。
「……一緒にいるんだって、決めているの」
オルゴールが付喪神になれるその時まで。
鍵が朽ちるその時まで。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年10月22日
参加申し込みの期限
2021年10月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年10月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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