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「なに? どうしたん?」
こんなところに呼び出して、と
芋煮 紅美
は笑った。
「告白でもする気?」
などと冗談めかして言うのだが、やはり変だと陣は気づいている。笑顔に張りがないし、口調も抑揚を欠いていた。顔がそっくりなだけの別人が『紅』の役を演じているかのような印象を受けた。
最初は店に誘ったのだが、「あんま気が乗らない」などと紅美が言うものだから、陣は『クラン=G』の閉店後、紅美自宅そばの公園で会うことを提案した。
六月の昼間は長いが、それでも空は暮れつつあり、ミネラルウォーターで薄めたような群青色の空に、ひとつまたひとつと星が顔を見せはじめている。
こんな時間だから公園を訪なう者は他にない。やたらキイキイきしむブランコに、陣と紅美はならんで腰を下ろしているのだった。
告白うんぬんは無視して、陣は単刀直入に切り出した。
「千絵ちゃんに聞いたよ」
「……」
黙って紅美はブランコをこぎはじめた。
やっぱおかしいな。
こういう状態の紅美を、陣は過去に見たことがある。あの吹雪の夜、店に来たときの彼女がこんな感じだった。
「何があった」
「何もないよ」
ブランコはもう止まっている。
嘘つけ、と思ったが口に出すより行動を陣は選んだ。無言でブランコから降りて公園の片隅、ジュースの自動販売機の前に立つ。炭酸飲料とスポーツドリンク、一本ずつ買って戻った。
「どっちがいい?」
「コーラ」
赤い缶をアンダースローで投げ渡した。
「サンキュ」
紅美はプルタブを起こす。炭酸が吹いていくらか中身がこぼれたが気にせず口にした。
ブランコに戻り、同じくスポドリを口にしながら陣は思った。
いまの紅って、まるで過去からタイムスリップしてきたみたいや。
しょうがない。なら僕はまた、鞭役をやらにゃならんようやな。
あのときとは外の気温と、おごってやる飲み物の温度が真逆やけど。
「そろそろ白状してもいいだろ。さぁ、とっとと吐け♪」
「何よ楽しそうに」
紅美の声に強みが戻っている。いい傾向だ。
「楽しいわけあるか。けどな深刻な話を、深刻そうに話してもしんどいだけやろ」
陣はグレープフルーツ味のスポドリをもう一口した。甘すぎず薄すぎず、冷えていて飲み心地がいい。
「そろそろ教えてくれ。僕たちが家庭教師した日のあと、何があった?」
「もうそこまでわかってるの?」
「まあな。三分の二くらいは憶測やけど」
「あの日、あのあと、声をかけられたんだ。真白ちゃんと別れてから……」
紅美の口調はぽつりぽつりとしたもので、時間軸もやや前後するところがあったものの、陣はおおよそのことを理解した。
「ほぉ……つまり、EABの時に出くわした女に過去のことを蒸し返された、ってことか」
紅美はうなずくだけである。
「……私って、無価値だよね」
「その女が言ったのか?」
「なんでわかったの?」
「なんとなく」
彼女と紅美の対面を直接目にしたわけではないので、陣が想像で補った部分も多い。
でも紅美が、過去の亡霊みたいな存在から淡々と口撃を受けたのだとは理解できた。女は紅美に、徹底的な批判、人格否定を加えたのだ。まるでカルト教団が、信者を洗脳するかのようにして。
メキっと音が立った。陣はドリンクの缶を握りつぶしていたのだった。中身がまだ残っていたので手が濡れた。
「おっと」
苦笑して陣は残りを一息であおり、捨ててくると言い残して自販機横のゴミ箱まで早足で歩む。
一瞬、ゴミ箱を蹴り飛ばしたいという衝動に駆られた。
はらわたが煮えくり返っていた。
こらえて紅美のところに戻ると、噴火しそうな怒りはなんとか鎮まった。それでもマグマのように熱いものは、陣の血管中を流れたままだ。
僕が怒り狂って解決するか? ……ちがうよな。
優先すべきは例の女に腹を立てることやない。紅のケアやろ?
陣は大きく深呼吸をしたが、あまりにわざとらしかったので紅美にはため息に聞こえたかもしれないと思う。
いや、それでええんや。
ネコ型ロボット風(旧作版)の作り声で陣は言った。
「きみはじつにばかだな」
「うん、私は馬鹿だよ……どうしようもない……」
ちがうちがうそうじゃなくてと言い直す。
「しょうもない話で悩むな、って言いたいだけ! そんな女の口車に乗ったらダメだって話! いいか?」
ブランコをまたぐようにして座り直す。
「価値がないとかどうしようもないとか、なんでそんな、紅のことよく知らない第三者に決めさせとるんや。そもそもその女の言う通りなんだったら、僕がわざわざ芋煮家に実家凸(トツ)して強制家族会議するわけないだろって話になるんですけど? 価値がない人にそんなことする? コミュ障の僕が!?」
それに、とトーンを落としてつづけた。
「仮に、本質や本性……根底にうしろ暗いモノがあったとしてもだ。今この瞬間のおめー自身はそれを実行したいって思ってんのか? 人を傷つけたいとか、そういうことを」
紅美は首を振った。
良かった。救いはある。
「ならそれでいいんだよ。……つーか、明らかに不審者の言うことを真に受けんな。僕にはそいつが、紅をおとしめて愉悦したいようにしか思えん」
自分が一方的にヒートアップしてしまうと、それはそれで紅美をコントロールしようとする試みになりかねない。頭を冷やすべく陣は、またぐように座るのをやめて普通の座りかたにもどした。
「何より……お前がどう思ってようが、紅はもっと誰かに頼っていいし、甘えていいし、助けられてもいいと思うんだよ。そうじゃなきゃ、つりあいが取れないだろうが……いままで傷付いたぶん、倍返しで楽しく過ごしてほしいわけよ」
照れくさかった。自分はこういうセリフの似合うキャラじゃないよなと思う。
でも言っておきたかった。本心だから。
「笑ってるほうが……紅には似合ってると思うし?」
紅美は何も言わない。
静かだ。
通りを挟んだ向こう側の、道路を走る車の音が聞こえるほどに。
沈黙に耐えられなくなって、陣はひとこぎしてブランコから飛び降りた。
「はい! というわけでこの話は終了、閉廷、解散! ……いや解散じゃなくて次の勉強の日程決めや! 足踏みしてる暇なんてないんやぞ」
ここでようやく紅美が口をひらいた。
「何よ、自分ひとりできれいにまとめてくれちゃって」
憎まれ口こそ叩いているが表情はニヤっとしている。陣を見上げて言った。
「でも、ありがと」
「お、おう……」
「言っとくけどこれコーラのお礼だから。どうせならバニラコークが良かったけどね。寝子島では丘の上の自販機でしか売っていないという伝説の」
「ゼータク言うな」
つられて陣もニヤリ笑いになった。紅とはこういうやりとりをしていたい。
「でも、ま」
ブランコから降りると紅美は、ブラックジーンズの尻をパンパンとはたく。
「あんたの長口上もそれなりに効いたわ。一応、心にとめておく」
「一応かよ」
不満げに陣は鼻を鳴らしたものの、それでいいと思っている。どちらかと言えば彼女の本心は、『心にとめておく』のほうだろう。
「じゃけん、変な女との出来事はちゃっちゃと記憶から消去して、その分を数学公式その他モロモロで埋めましょうね~! またそいつに出くわしたら、ガン無視かつ中指立てて失せろバーカ! で追い返しとけ」
これも陣が言いたかったことである。すっきりした。
じゃあ帰るわ、と言う紅美に、
「家まで送るよ。もう暗いしな」
と告げて陣はもう歩き出している。
「いらねーよ。ウチ、すぐそこだよ」
などと言いながらも紅美は陣の隣を歩く。
途中で妙な光景にさしかかった。電柱の影に、段ボールが乱雑に積みあげられられているのだ。まともに束ねてもいないし、一部は箱の形状のままでバラされていない。たしかにこのあたりはゴミの集積所のようだが、立て看板に何気なく目をやると、段ボールのような資源ゴミの日はかなり先だとわかった。
「これ不法投棄だよ。キモっ。昨日からあんの。メーワクだなあ」
紅美が言った。
「ルール無用の悪党がいるみたいだな」
応じて陣は顔をしかめる。
近くで見たら本当にひどい。段ボールは穴だらけなのだ。竹串、いや、もっと太いものところかまわず突き刺されている。激しく切り裂いたような痕跡もあった。
「ひでーことするな。むちゃくちゃやんか」
「昨日も段ボールはあったけど、こんなグサグサになってなかったよ。超キモ」
「うーん、おかしなヤツがストレス解消でやったのかもな」
陣は段ボールに触れた。力強く突き刺されている。誰がやったか知らないが、激情に駆られての行動という印象だ。
「カッター? いやナイフか?」
「アイスピックだと思う」
言われてみればたしかにそんな形状だ。
「アイスピック? 見たのか?」
ううん、と紅美は首を振った。
「そう思っただけ。なんとなく」
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年10月16日
参加申し込みの期限
2021年10月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年10月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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